ひろ

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既読がつかないメッセージ

「愛してる」

君に何万回言っただろう。

人目を気にして、真夜中に行く公衆電話、積み上げた10円玉、
1畳もない電話BOXで僕は、悲壮感で、心が打ちひしがれた。

先週まで、いい感じだった。
会える日は少ない、お互い違う学生、高校生と大学生。そして、実家と下宿。田舎から続く2年の恋が終わろうとしていた。

理由は、お互いにある。互いに近くを求めたのかもしれない。君を求める僕、愛を求めた君。

話は最後のクライマックスだろう。僕はまだ、いや、たぶん「愛してる」のか?君は、「愛してくれている」のか?

強い雨音が部屋を打ちつけ、悪い所が聞こえない。いいんだ、うやむやで、このまま、何日か後、「今度、いつ会おうか」とか、また話せるのかも。

悲壮感から、何ヶ月たっても、電話はこない。電話も出来そうにない。手紙も何通か送った。それなりの文章で、必ず「愛してる」をつけて。

でも、返事もなく。ただ、時間だけが過ぎていく。

うやむやの使い分けを僕は間違っていた。
君に対しても、僕に対しても、うやむやにしてはいけなかった。

「既読がつかないメッセージ」

今の時代なら、こう表せるのかな?

昔の若かりし記憶を、ふっ、とのぞいてみた
雨の日の夜の出来事だった。




うやむやから半年、僕から、君の思い出を送った。
君からも思い出の返事が届いた。

僕は、ある夜、下宿の庭先で思い出を焼いていた。自分に流す資格は無いかもしれないが、泣いていたらしい。
隣に座って、黙って一緒にいてくれた、親友が、そこにいた。


9/21/2025, 1:20:30 AM