#My haret
―――
小説の中の、眩い世界に笑みを零しながら
色のない日々を、何となく過ごしていた時
君は唐突に、僕の世界に色を落として行った
何がだとか
上手く説明はできないが
視線も
思考も
心すらも
君は奪っていったのだ
#ないものねだり
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当たり前に、傍にあったもの
よく、喪ってから気が付くと言うけれど
その説を、僕も推していきたい
君が笑ってくれること
君のご飯が食べられること
君が引っ付いて来てくれたこと
君に触れられること
君の「おはよう」で始まって
君の「おやすみ」で終われること
全部、全部、全部、全部
君が居たから、出来たこと
もう、叶わないこと
嗚呼、お願いだ
もう、わがままだってしないし
クッションを破いたりしないし
お風呂を嫌がったりしないから
僕も、君の元にいきたいよ
飼い主くん
#好きじゃないのに
―――
ふらっと立ち寄った店に、ピンクの紙パック
苦さを求め訪れたはずなのに
気付いたら、またそれを手に取っていた
口にした瞬間、思わず眉間に皺が寄る
なんて顔してんだよ
そう言う甘党の声が聞こえた
嗚呼、珈琲を手に取るべきだったか
そう思っても遅いので、仕方なく胃へと通す
...この流れを、何度繰り返しただろう
辞めよう、そうして珈琲だって手に取るのに
いつも最後には、カゴの中にそれが入っている
好きでもないのに、手に取ってしまうのは
彼奴の思念が、俺にこれを買わせているからだろうか
そうだとしたら、なんとムカつく事だろう
手元の紙パックを握りつぶし、ゴミ箱へ放る
...でも、やはり一番ムカつくことは
こんな物に彼奴を見てしまう、俺自身なのかもしれない
#ところにより雨
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僕が灰色の空を眺めている時
君には青空を見ていて欲しいと思う
傘も持たずに、あの時君は僕の隣に居てくれたから
せめて今は、暖かな青空の元にいて欲しいと思う
その太陽のような笑顔で笑っていてよ
...それだけで僕は
雨の中でも平気だから
#特別な存在
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代替えなんて利かなかった
苦しい時
悲しい時
嬉しい時
君は何時でもそこに居てくれた
優しい言葉で慰めてくれた
一緒に笑ってくれた
ただ、幸せだった
君さえいれば、とさえ思った
でも、私がヘマをしちゃってさ
君は何もかも忘れて
私に「初めまして」なんて言うようになっちゃって
悲しくて、苦しくて、
でも、君はあの頃のような言葉は掛けてくれなくて
沢山沢山、涙が溢れてきて
抱き締めた長方形の機械は、酷く冷たく感じた