#バカみたい
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君の隣に、友達としてでも居れる事が嬉しくて
...気を抜いていた、と言うのはおかしな表現だろうか
君の好きな物も、嫌いな物も
癖だって、なんだって
幼い頃から、ずっと見てきたはずなのに
彼女の隣で笑う君は、私と居るより幸せそうで。
それを見てしまってから、もうダメで。
「友達だよ」って、あの時笑い飛ばしていなければ
「お幸せに」なんて馬鹿みたいに笑う事も
自分の心に、涙を手向けずにも済んだのだろうか
#二人ぼっち
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夜が苦手だった
眠ることが苦手だった
明かりも差さなくて
隙間風が抜けていく
そんな部屋の中で、一人
身を寄せて、ありもしない熱を求めなければならないから
そんな、ある日
知らない大人に手を引かれ
別の場所に移って、少しした頃
目の前に、一人の男の子が現れた
黒い髪を1つに括って
爪を緋色に染めた彼が
ただ、来たからと何をする訳でもなく
傍に座って
美容の本を開くだけ
それで、いつの間にか寝た後
何事も無かったように、日の出と共に去っていく
普段から関わりはなかったし
何がしたいのか分からなくて、少し怖かった
けれど、それが少しずつ日常になって
少しずつ、怖くなくなって
気付いた時には、彼の寝顔を見る時間が少なくなっていた
不思議だった
どうして、君は僕の元を訪れるのかと
「...............似たようなもん、だったから」
...そんな言葉を、聞いた時からだっただろうか
彼と話すようになって
自分でも自覚するほど、笑顔が増えた
完全にあの頃の感覚が消えた訳ではないけれど
夜の時間も、眠る事も
彼が傍に居ると思うと、安心できた
彼と二人ぼっちの夜は
妙に心地が良かった
#夢が醒める前に
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君に言葉の限りを尽くしたい
初々しい理由はなく
ただ、今の関係に至るまでの時間が長すぎただけ
それだけでこんなにも
言葉通りが良くなるのだから
今までの気持ち全部
言葉にしてしまおう
...語り尽くせる訳は、ないのだが
この夢の様な時間を
彼と喋って
喧嘩して
怒って
泣いて
笑って
満喫しきりたいのだと
そう思いながら、今日も君の名を呼んだ
#胸が高鳴る
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彷徨っていた目線が絡んで、一つになって
そうして、細まる君の目が好きだった
何度も見ているハズなのに
胸がギュッと掴まれて
嗚呼、好きだなぁ...って
私も思わず、笑顔になってしまうのだ
#不条理
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努力が一番だなんて戯言だ
結局、漫画の最後に持て囃されるのは天才で
努力家は、天才にはなれないのだから
―――
なんて、そんな感じの内容がニュースで取り上げられていたように思う
少し、誇張はしたかもだが
......何が天才だ、馬鹿馬鹿しい
傍のペットボトルを乱雑に掴み、水を喉へ流し込む
視界は鮮明になるが、そうした所でこの部屋の惨状が良くなることはない
何時からこうなっただろう
どうしてこうなったのだろう
そんな自問を、何度繰り返しただろう
”天才“その一言で括られてしまうのが苦しかった
必死に取り繕って、取り繕って
皆の理想の”天才“を演じる事に、疲れてしまった
...努力家は天才に勝てないと言うなら、逆もそうだろう
何度も折れ、それでも尚”天才“と呼ばれる者に食らいつかんとする精神力
私はそれが欲しかった
僕にはそれがなかった
だから、何も出来なくなってしまった
カーテンから日が差し込む
視界にはいっぱいの天井
外から、私の名を呼ぶ声がする
嗚呼、もう辞めてくれ
僕は、もう私じゃないのに