#木枯らし
ある寒い秋の日、彼奴が言った
「明日の風はね、冬の来る知らせなんだよ」...っと
聞いた当初はふーんとしか思わなかったし
その内忘れるからいいやとも思っていたし
聞いてもないのに、他にも色々言っていた気がするが
そんな事より、目の前にある甘味の方が
おれには余っ程魅力的だった
-
「...なのに、んで今になって思い出すかねぇ」
惜しむ様に落ちていく葉を見詰める
思っていた通り殆ど覚えていないが
何故か今、その話の記憶が浮かんできた
だが、こう言う変な事ばかり記憶に残るのは
もはや人間の特性なのではないだろうか
ポッケから煙草を一本取り出し、火をつけて
そのまま一息、空へ向かって吐き捨てる
今になって思い出してみても
あれは何の変哲もない、雑談の一つだった
...そうだった、はずなのに。
あの時、木枯らしは秋と一緒に
彼奴まで吹き飛ばしてしまった
秋と違うのは、巡って戻ってくる訳じゃない事
どうせなら、秋と一緒に...
そうしたら、少しの間離れる事くらい...
―――そこまで行って
半分もある煙草を灰皿に押し付けた
どうやらこの風は
冬と一緒に、俺の変な気まで運んできたらしい
全く、ただでさえなのに勘弁してくれよ
そう思いつつ、俺は部屋へと引き返した
いつの間にあの葉っぱは
どこかへと姿を消していた
#美しい
人によって、感じ方は違うだろう。
様々な、表し方があるだろう。
人は、言葉を探す
その想いを、余韻と共に表す為に
でも結局、最後にはその一言だけが残る
”美しい“
と。
心惹かれ、つい零してしまう。
そんなナニカに、何時か出逢いたい
#この世界は
最初から、光なんてなかった
心の埋め方が分からなくて
ただ縫って、繋いで
そうして自分のモノにするしかなかった
それも一時的で
飢えては縫って、飢えては縫って
ダメだと知った頃には、何もかも縫い目でぐしゃぐしゃで
ただ、終わりにして欲しいと
神様に縋るしかなかった
…そんな時、彼に出逢った
出会いは決して
良いとは言えないのかもしれないけれど
私にとっては、最良だったと思う
今にも解けてしまいそうなソレを
彼は乱雑に、でも何処か優しく引っ張り直してくれた
いるかも分からない神様とじゃない
彼と、私。二人の誓いを、忘れず叶えに来てくれた
…この世界は、私に光を差してはくれなかった
でも私には
光なんて要らなかった
一緒に闇を歩いてくれる、彼さえ居ればいい
彼は私の信じた
神様なんかじゃないけれど
私と彼、彼と私。それで良いって教えてくれた
きっと、彼を私のモノにはできないれけど
彼のモノになら、なっていいと思えたから
夜の闇に、手を繋いで、私と彼は飛び出した
―――天使に魅入った、とある魔女のお話
※勝手な解釈を込めた二次創作でした
#どうして
出逢わなければ良かった。
そうしたら
そうなっていたのなら―――
...そこまで行って、思考をくしゃりと丸めた
こうして残った虚しさを
少しでも吐き出そうと息をする
...広げては丸め、それを広げてはまた丸め
結局捨てる事も何も出来ずに。
もう何度悩んだ事だろう
...あの時、君が声を出してくれなかったら
きっと僕は、君の事を目にも留めなくて
こうして、生きていないけれど
今になって、悩んでしまうのは
もう、続けられないって
一緒に居られないって分かったから
やっぱり、苦しくて、苦しくて
...ねぇ、君はどう思う?
君も、同じ気持ちかな?
ねぇ―――
「みーちゃん...」
そうして名前を呼びながら
横たわる猫のみーちゃんを、そっと撫でる
宣告された事と、今の体調を合わせても
もうきっと
みーちゃんとは長く居られない
だからこそ、少し思ってしまった
こんなに虚しいのなら
こんなに、別れが苦しいなら
いっそ、出逢わなければ...と
でも、ふと我に返って
弱々しくも、手にすり寄ってきたこの子を見て
苦しかった事より、嬉しい事の方が多く浮かんできて
どっちなのか、分からないけれど
毎回毎回
涙が溢れてくる
それでも、僕はその度に涙を拭う
どうしてって問いかけても
君は僕を置いて逝ってしまうけど
君が最初、僕に笑顔を見せてくれたように
僕は最後に
君に笑顔を見せたいから
#夢を見てたい
もし、変えることが出来るなら
もし、別の未来が作れるのなら
…もし、望んで良いのなら
……現実には、叶わないから
私は、彼との先を想いたい
ただ、叶わないけど、幸せな
そんな、夢を見ていたい