#木枯らし
ある寒い秋の日、彼奴が言った
「明日の風はね、冬の来る知らせなんだよ」...っと
聞いた当初はふーんとしか思わなかったし
その内忘れるからいいやとも思っていたし
聞いてもないのに、他にも色々言っていた気がするが
そんな事より、目の前にある甘味の方が
おれには余っ程魅力的だった
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「...なのに、んで今になって思い出すかねぇ」
惜しむ様に落ちていく葉を見詰める
思っていた通り殆ど覚えていないが
何故か今、その話の記憶が浮かんできた
だが、こう言う変な事ばかり記憶に残るのは
もはや人間の特性なのではないだろうか
ポッケから煙草を一本取り出し、火をつけて
そのまま一息、空へ向かって吐き捨てる
今になって思い出してみても
あれは何の変哲もない、雑談の一つだった
...そうだった、はずなのに。
あの時、木枯らしは秋と一緒に
彼奴まで吹き飛ばしてしまった
秋と違うのは、巡って戻ってくる訳じゃない事
どうせなら、秋と一緒に...
そうしたら、少しの間離れる事くらい...
―――そこまで行って
半分もある煙草を灰皿に押し付けた
どうやらこの風は
冬と一緒に、俺の変な気まで運んできたらしい
全く、ただでさえなのに勘弁してくれよ
そう思いつつ、俺は部屋へと引き返した
いつの間にあの葉っぱは
どこかへと姿を消していた
1/17/2026, 2:17:38 PM