そもそも、ないものねだりをする人は、欲深いが努力をしない人だと思う。
その前に、他人の芝生が蒼く見えることから始まる。
人を妬んだり、羨んだりしたら、自分が惨めになるだけだよ。
欲しけりゃ努力して、自力で手に入れようとしなきゃね。
羨ましがられる程のなにかを持っている人とはいったいどんな人で、いったい何を持っている人なのだろう?
なぜ比べる?
他人と自分の持ち合わせてるものを何故比較する?
違って当たり前。
相手の良さを認めつつ、自分は自分の進む道ではダメなのか?
羨んだり、ないものねだりしても、それだけではホンモノは手に入らないよ。
みんなそれぞれ、素晴らしい何かを持っているはずなんだから。
朝日が美しく、キラキラ光る空気のプリズムを見た。
久しぶりにさわやかな朝に感動していた。
さぁ、今日も頑張ろう。
車を出して職場までの25分。
晴れた空を見上げながら、大好きなCity POPが流れる車内。意気揚々と出発した。
フロントガラスに水滴。
え?雨?
こんなに晴れてるのに?
これが本当の天気雨というものかな?
それもまた久しぶり。
春だね。狐もお嫁に行くんだね。
不思議だな。同じ雨でも、こんな晴れの日の雨は憂鬱じゃない。
花粉で汚れた車は、パラパラ雨では余計に汚れが酷くなる。
ワイパーを動かすと、なんだか更にフロントガラスは汚くなった。
あー。もっと沢山降ってくれないかな?どうせなら洗車機みたいにザーっと。
願いが届いたのか、たぶん傘無しでは歩けないほど降って来た。
空はまだ晴れて輝いていた。
狐がみんなに祝福されてるんだ。
ライスシャワーじゃなく、シャワーだね。
『おめでとう』の天気雨。
確かに若い頃はよく口にしたと思う。
『あの人は私にとって特別な存在だから』
と。
今、その特別な存在の人を上げてと言われても、どこを切り取ってこの人が!と言えるのかわからない。
今も仕事であったり、プライベートであったり、年1回しか会えない人でさえも、みんな特別と思って交際している。
その他大勢とは違うから、特別なんだよね?年齢を重ねて、それぞれ忙しく過ごしているし、家庭内の時間が増えて行くのが普通だし。そうした上でも、たまには会って時間の許す限り楽しんで、またいつか!と分かれて。
頻繁に一緒にいる人や、秘密を知ってる人だから特別な存在なんかではないな。
お互い、大切に思いやりを与え合える人であれば、最高の特別な存在の人。
あの頃も同じ気持ちで終わったんだった。
『煩わしい』と言われた事。
性格はまったく違った2人だったけど、最終的には、似たような人だったな。
病気を克服したり、新しい就職先を見つけたり。
今、自分が抱えている不安が消えつつあって、なんとなく新しい明るい未来が見えて来ると、それまで一生懸命助けて来た人を邪険に扱う人達だった。
最初の人は、癌だった。
健康診断で癌が見つかって。でも、不幸中の幸いで、それを取り除けば、後の心配はないと医師から言われた。
片道2時間の県外だったが、私は彼女の通院に付き添った。
発達障害もあり、鬱もあり。
屈折した物の見方、捉え方をする事が、病気をしっかり治す足かせになるタイプの人だった。
今思えば、彼女にとっては矢継ぎ早に感じたかもしれない。
自分の意思で決めていく事を、ただ見守って応援して欲しかっただけだったかもしれない。しかし、それがあまりにも的外れな決定で、治るどころか自滅していくのは目に見えて意見せずにはいられなかった。
悪いことは重なる。
彼女は自分の身体の心配を抱えつつ、義母の急病に、仕事もそっちのけで看病に張り付く夫から、『母親が死にそうなんだから、自分の通院はキャンセルして付き添え!』『お前には思いやりというものはないのか!』と説教された。
どちらも大切なのだが、その夫の心無い言葉に鬱が加速した。
能面のような無表情を見るのは辛かった。
けれど命さえあれば、この先にはきっと良いことだってある。
今は仕方ないと割り切って、彼女の通院に付き添った。
状態が安定していると医師から言ってもらえば彼女な顔色も良くなるだろうと期待していた。
どのくらいかして、通院の期間を長くする事が出来るほど回復した。
説明を受ける時、私も医師の説明を一緒に聞かせてもらえる事になった。
経過は良好で、予定よりも早く治療を終えても大丈夫だと聞かされた。
『あー!良かったね!』私は医師の前で彼女の顔を見てそう言った。
しかし、彼女はまるで他人事のようにニコリともせず、黙ったまま視線を落とし、はっきりとはわからない程度にうなづいた。
次の予約を取り終え、病院をあとに駐車場に停めた私の車に乗った。
それからも殆どくちを開く事なく、表情も暗いままだった。
ただ、送迎のためだけに片道2時間の道のりを走り続けた1年間。
病状は完全に回復していくのに対し、彼女の表情は曇るだけ。
夫が彼女の身体の心配をほぼしないからなのか?
そのまま彼女の自宅付近で車を停める。
少しはお茶でもして、たまにはそこで病気とは関係ない会話などもしてみたかったが、彼女から1度もそんな言葉など出された事はなかった。とにかく、送迎のみで1日食事せずに終わる。
彼女が車から降りるいつもの場所に着く。
お疲れ様とか、ゆっくり休んでねとか、そんないつものありきたりな言葉をその日も言った。最後に彼女は『もう来てくれなくていい。煩わしい』そう言った。
『え??』耳を疑った。
『わずらわしい??』
バカみたいではなく、自分だけバカだった。
自己満足でしかなかったんだ。
調子が良い時は、いつもありがとうとか、そばにいてくれるから、頑張れるとか言ってくれた。
あれは何も心がこもってない挨拶でしかなかったんだ。
それから私は連絡を取り合う事も辞めた。
もちろん、通院の送迎も。
複数の出来事を同時進行させる事が苦手な人だから、私に気を遣いながら闘病するのが面倒だと思うだろう事も理解する。
けれど、ズバリを言われたら関係は終わる。
お見合い相手に
『禿げてる人は好きにはなれない』
『出っ歯はみっともない』
なんて、断る理由に普通は使わないのと同じ。
それきりになって4ヶ月程経過したある日。名前表示のない着信があった。
それは彼女からの着信だった。
私は彼女の連絡先をすべて消したので、携帯電話の番号も暗記していたわけでもなく、それが彼女からだと気づく事もなく無視してしまった。
誰からなのかがわかれば、折り返し電話するか、LINEでも使って電話に出られなくてごめんなさいと連絡するのがいつもの私だが、それが彼女からだとわかっていても、きっともう電話に出る事はなかっただろう。
それからというもの。
私の誕生日にも着信があったが、運転中だった。それから、また数ヶ月後に。今度は勤務中だった。
こうしてすれ違って、完全に縁が切れるのだろう。
煩わしいという言葉の意味を理解して投げたのかわからないが、それを言ったら関係は当たり前に終わる。
もとに戻りたいとか、また会えないかとか、そんな事を言いたくて電話をしてきたのなら、人の事をなんだと思ってるのか。
芸能人のように、周りに色んな人がいて身の回りの世話までしてくれる、そんな助っ人的な存在の人が多すぎて、贅沢な思いとは知りつつも、たまには1人にして欲しいという気持ちが発生するのならなんとなくわかる。
けれど、彼女が癌と闘っていた事など、家族しか知らない。その家族でさえも、必死になって支える態度もなかった。
転院するためのセカンドオピニオンも、手術の同意書も、私はなんのために関わったのか。
言ったら終わりの言葉を平気で言ってしまう人というのは、先の事もこの言葉の質も、そして2人の関係性も。すべてまとめて、なんとも思ってないし、何も考えてない。大切になんて思ってないから、何を言ってもずっと変わらないと思っているのだろう。ま、こちらが思うほど、相手は私の事を大切には思ってくれなかったという話だ。
『〜〜してもらって当たり前』
という感覚で王様のような人は、気づいたら誰もそばにいなかった。。というのが、当たり前なんです。
トラブルが起きた時はショックだし、心もどんよりするけど、こんな低レベルな事にクヨクヨしているとチャンスも逃す!
今日は雨だが、なかなかやれなかった事をやろう!!
なにをするにも
いつも2人だった。
2人の間には、知らない事なんてなかった。
ずっと2人ぼっちでいいと思っていた。
その方が楽しかった。
逆上すると、人間性を疑う態度に凶変する彼女。そこもよく理解した上で、何度か同じような内容の喧嘩もしてきたけれど、それも仕方ないと受け入れてきた。
ここでついに本音が出た。
逆上した。久しぶりに。
どんなに腹がたっても、この人にはその言葉をぶつけたら、取り返しがつかないよ、という言葉ってあるんじゃないか?
あんた何様?
私の事奴隷だとでも思ってるの?
私がなんでも言う事を聞くとでも思ってるの?
一瞬、顔を見てしまった。
どんな顔つきでそれを言えるんだろ?と。。
奴隷。なにも与えずに、私はあなたの嫌がる事まで強引にやらせていた?
私はあなたに、どれほど時間もお金も、あなたが困らないようにと掛けてきたかわからない。あなたをいつも優先していた。
これを平気で奴隷と?
あなたが、癌の疑いだと病院へ行く時も、あなたを助けたくて、私は何度も動いたよ。
もうあなたには、関わらない。
あなたの『ごめんなさい』は、何についての謝罪なのか、通じない。
まだ離れずに一緒に居られると思う?
都合良すぎるよね。
何様のつもりだ?って、こちらが言いたいセリフだよね。
あなたは、何を言っても全て許されるとでも思ってるの?それこそ何様?!
もういらないから、私の繋がりから消えてくれ。いい歳をして、言葉の選択も出来ないほど制御ボタンが壊れてる人を、人として見れない。
もういらない。