海月

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4/3/2026, 1:33:50 AM

【大切なもの】

学校の授業で大切なものという内容の作文の宿題が出された。みんな不満そうにしていた。そんなもの分からない。
口を揃えてみなそう言っていた。僕は、昔誰かから聞いたことを書くことにした。次の日の学校では、順番に読んでいくことになった。みんな緊張したり、ふざけたりしながらも読んでいた。僕の番が来て、僕は立ち上がって読み始めた。

「大切なもの。
これは、とある人から聞いた話で、僕はこれをずっと覚えています。その人の言葉は、
"自分が好きな人より、自分を好いてくれる人を大事にしなさい。"というものでした。僕は、何故だろう。と思いました。自分が大事だと思っている人、好きだと思う人、本当はそんな人達を優先した方がいいと、その時までは考えてました。ですが、そのとある人はこう言いました。
この世には何億人の人がいると思う?
そんな中で自分を好いてくれる人なんて貴重な存在でしかないんだよ。
例え、自分がどんなに嫌いな人が、自分のことを好いていても、それも、何億分の一かの確率で自分のことを好きになってくれたんだよ。だから、自分が好きだと思う人も大切に大事にすればいい。
だがそれよりも、自分を好いてくれる人が、どれだけ貴重なのか、それを忘れちゃいけないよ。
いつかその有難みが、きっとわかる時が来る。
けどね、どうしても無理なことがあると思う。
その時は、無駄に傷つけずに、そっと離れなさい。それが、いちばん大切なんだよ。人間いつか、みなどうせいずれ死んで同じ骨の屍に、ムジナになるんだから、今居てくれる人を大事にね。失ってから初めて気づくこともあるけど、それじゃ遅いんだよ。」
作文が終わると、みんな少し潤んでいた。
泣いている人もいた。教師は、驚いていた。
でも、少しだけ何故か、クラスの雰囲気が軽くなっていた。確かにそうだ。みんなが頷いた。大切な物は、いつも近くにあると、その人は教えてくれた。

4/1/2026, 11:44:46 AM

【エイプリルフール】

今年も来た。この時期が。もう4月だ。
桜は咲き、花びらはまだ散らない。
儚く、短く美しい花の笑い声が飛び交う季節だ。
その桜の下、僕は君にこう言った。

「もしも大人になったら、結婚しよう。」

付き合ってもない。ただ、お互いに昔からの幼馴染だった。
君はエイプリルフールだからでしょ。と、笑って見せたが、僕は真剣だった。
「エイプリルフールは午前までだよ。今は午後、嘘じゃない。僕は本気で言ってるんだ。
君も僕も大人になって恋人が出来るかもしれない、
本当に好きな人が出来るかもしれない。
けど…、
けどもしも、大人になってもそんな感情を持つ人がいなかったら、君と結婚したい。」
君は目を見開いて、驚きで固まって声も出さぬまま、顔を赤らめて、泣きそうな程に潤んだ目で、
「なら、今からプロポーズして?」
いつの間にか、彼女は泣いていた。
僕は予想外の言葉に驚き、固まった。
今度は逆に、僕が泣いて顔を赤らめて、君と抱き合った。今日はエイプリルフール。皆が軽い嘘や冗談を言い合う日。
だが、このプロポーズも感情も言葉も、全て嘘じゃない。

「改めて、僕と結婚してください。成人しないと結婚はできないけど…、今から、僕が予約して、君を独占したい。エイプリルフールじゃなく、本気で、僕は君を愛してる」

3/20/2026, 12:30:02 PM

【夢が醒める前に】
とても柔らかく暖かい春の日差しに、小鳥の鳴き声、
子供の笑い声に新しい出会い、今までの関わりとの別れ、
新たな道。それが始まる頃にはきっと、また新たな決意は固まってるだろう。けどそれはいつか崩れそうになる。
夢から醒めかける。いつまでも夢のままでいたいと思っても、決して叶わない。それが現実だから。
そうなった時はまた、努力してる風の自分に溺れて、それに浸って勝手に妄想して満足してればいい。
また夢を見直せばいい。夢を見るのは、いつだって自由なんだから。
ただ、夢が醒める前に、僕らは現実と向き合って、戦わなくちゃならない。
様々な嫌なことから目を背けながらもやり続けなくちゃならない。嫌になってもまだ逃げ場はある。
大丈夫。僕が僕であるために、そのために逃げることは決して恥じゃない。また歩き出せるように少し休んでいるだけ。あぁ、もうすぐ夢から醒める。
さぁ、今日もまた新しい日が始まる。

夢が醒める前に、僕らは本当に大事な僕らを守るために、また努力を続けるんだね

3/17/2026, 10:11:19 PM

【泣かないよ】
僕達泣かないよ。だって、お兄ちゃん。お姉ちゃんだから
僕達泣かないよ。だって、泣きたくても泣けない人がいることを知っているから。
僕達泣かないよ。だって、今もどこかで続けられている止まない戦争の中で、大切な人を失い、苦しんでる人がいるのを知っているから。
僕達泣かないよ。だって、苦しいけど泣いていい理由がないから。
僕達泣かないよ。だって、この広い世界の中で、何十万何億人の人が必ずどこかで苦しんでいるのを知っているから。泣きたくても泣けない理由があるから。
僕たちは泣かないよ。
だから、無理せずに君らは泣いていいんだよ。
そして、本気で笑えるようになった時に、また素敵な笑顔を見せて。

一緒に笑おう

3/16/2026, 10:12:59 AM

【怖がり】
昔、とても綺麗な人にあった。その人は泣き虫で怖がりな僕の手を引いて、歩いてくれた。
顔も声も匂いも、今でもはっきりと鮮明に思い出せるほど、夢のように美しかった…。
僕は昔からよく迷子になったし、とある事に泣いて怖かっていた。そんな自分が嫌で泣くのを我慢したりしていた時もあった。だが、やっぱり怖がりも泣き虫も直せなかった。なぜ今それをふと思い出したかなんて分からない。
ただ、なんだかとても今泣きそうで、あの人の優しさを思い出した。
柔らかくて暖かい優しい手で沢山撫でてくれて、笑いかけて、慰めてくれた。
初めて感じた「これが幸せなんだ。」って、小さいながらに一瞬で理解出来るほどだったことを。
今でも忘れられないあの美しい人が、今、どこで何をして、どうしているのか。何故か涙が出てきた。

でも、なんでか今ならわかる。本当に弱かったのは僕じゃない。あの時、本当に弱かったのは泣き虫で怖がりな僕じゃなくて、それを本当の自分として認められずに、直そうとばかりしていたあの僕が、本当に弱かったんだと。
そして、あの女性はその僕さえも受け入れて愛してくれる、とても暖かい人だった。
僕は今、それを理解して怖がりを直そうとだなんて思わない。

これも、全て本当の僕だ。

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