海月

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【エイプリルフール】

今年も来た。この時期が。もう4月だ。
桜は咲き、花びらはまだ散らない。
儚く、短く美しい花の笑い声が飛び交う季節だ。
その桜の下、僕は君にこう言った。

「もしも大人になったら、結婚しよう。」

付き合ってもない。ただ、お互いに昔からの幼馴染だった。
君はエイプリルフールだからでしょ。と、笑って見せたが、僕は真剣だった。
「エイプリルフールは午前までだよ。今は午後、嘘じゃない。僕は本気で言ってるんだ。
君も僕も大人になって恋人が出来るかもしれない、
本当に好きな人が出来るかもしれない。
けど…、
けどもしも、大人になってもそんな感情を持つ人がいなかったら、君と結婚したい。」
君は目を見開いて、驚きで固まって声も出さぬまま、顔を赤らめて、泣きそうな程に潤んだ目で、
「なら、今からプロポーズして?」
いつの間にか、彼女は泣いていた。
僕は予想外の言葉に驚き、固まった。
今度は逆に、僕が泣いて顔を赤らめて、君と抱き合った。今日はエイプリルフール。皆が軽い嘘や冗談を言い合う日。
だが、このプロポーズも感情も言葉も、全て嘘じゃない。

「改めて、僕と結婚してください。成人しないと結婚はできないけど…、今から、僕が予約して、君を独占したい。エイプリルフールじゃなく、本気で、僕は君を愛してる」

4/1/2026, 11:44:46 AM