Question
どうしてだろう…最近、あいつと一緒に居ると、何だか、落ち着かない…もう、ずっと昔から、一緒にいるのに、調子が狂ってしまう…
普通に、肩組んだり、手を繋いだり、巫山戯て、チューしたこともあったのに…並んで歩くだけなのに、何かちょっと、気恥ずかしい…何かの弾みで、手が当たっただけでも、顔が熱くなる…
今迄も、異性だって解っていたし、何時も気兼ねなくしていたのに…
あいつと、違う家に帰るのが、ちょっと切ない…もっと、一緒に居たいって思うのに、口に出せ無くて…恥ずかしい様な、不可ない様な…自分でも、よく判らないこの気持ち…何だろう…
約束
遠い昔、近所の同じ年の女の子と、結婚の約束をした…取敢えず、蒲公英なんかで花束を作り、道端で、並んで写真を撮って貰った…
毎日、おままごとしたり、公園で遊んだり…こんな事が、ずっと続くと良いなと思い乍ら、仲良く思い出を積み重ねた…
でも、小学校に上がると、学区が別々で、なかなかあえなくなって、いつの間にか…
あれから、沢山の季節が過ぎて、女の子の顔も、段々ぼやけてきて…ただ、1枚だけ残る、あの日の色褪せた写真だけが、2人の想い出を繋ぎ留めている…
ひらり
春先の、まだ冷たい風に、微かに薫る、梅の香り…周りの木々は、枯れ木の様に、寒々とした姿の儘なのに…
東風が吹き始める頃、菅公は、何を思われたのか…小さな花に、何を託されたのか…
風に、ひらり舞う、この花の香りは、春の喜びを運び乍ら、何処か切ない哀しみを帯びている気がする…
誰かしら?
突然、声を掛けられて、振り向いた…そこには、見知らぬ人が立っていた…長い髪を、風に靡かせ乍ら、にこやかに、竚んで…
何処か、懐かしい面影を感じるけれど、他人の空似かも知れない…目尻の垂れ具合、ぷっくりした唇、特徴のある耳たぶ…でも、記憶を辿ってみても、思い出せなくて…
でも、本当に、誰なのか、思い出せないまま、何となく曖昧な笑みを返してみる…
芽吹きのとき
如月の未だ冬のなごりから、弥生の春の薫風が吹き始める頃…
時には、大雪で、真っ白に染まる大地が、数日で、また、茶色の様相に戻り…そんな二面相を繰り返し乍ら、春の足音を待ち続けるこの季節…
この、移ろう時期にも、冬から春への生命のバトンも僅かづつ、確実に受け継がれていく…角ぐむ木々の芽、大地に息吹く野草の芽吹き…
その、小さな積み重ねを、僅かでも、感じていたい、この移ろいの時間…