多田野一人

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1/28/2024, 2:30:31 PM

街へ
寺山修司の、書を捨てよ町へ出よう、って本を読んだ…高校で知った劇団の代表の作品で、著者の本を漁り読んでいた…田舎生まれの田舎育ちで、都会に憧れていた頃で、このタイトルに惹かれた…テレビの画面に映る街の様子は、十代の私には、刺戟的で夢が溢れているように見えた…溢れる人波、お洒落な人々、煌めく街の灯り…そんな街の中に溶け込みたい…

1/27/2024, 2:37:41 PM

優しさ
あなたが悪いんじゃない…悪いのは私だから…って云う君の瞳は、哀しそうにこちらを見ている…突然告げられた、別れ話に心が追いつかなく…理由も云わずに、ただ、ごめんなさい…を繰り返す君が、遠くなってゆく気がして…そんなの、納得出来るはずがない、初めての恋が、モノクロの日々に、色を付けてくれたのに…本当は、最初からわかっていた、この二人の関係…でも、いつの間にか、一人で舞い上がって一人で浮かれていた…あなたの優しさに、少しだけ、期待していた…けど…

1/26/2024, 2:43:17 PM

ミッドナイト
番組のオープニングテーマと、DJの陽気な声が、ラジオから流れて来る…ヘッドホーンで音を洩れないようにし乍ら、机の周りの明かりも小さくして、教科書とノートをわざとらしく広げて、軽快なトークに夢中になる…時折かかるリクエスト曲を小声で歌い、葉書きの内容に、相槌をうち、少し大人な話にドキドキして…楽しくて、ついつい遅く迄聴いて、翌日…というか、数時間後の授業て居眠りするんだろうなって、想像しながら、いつの間にか寝てしまう…

1/25/2024, 2:51:44 PM

安心と不安
あなたと過す夜は、とても心が安らぐ…同じ私の部屋なのに、一人の夜にはない、言葉には出来ないけれど、優しい空気で充ちている…部屋の明かりも、いつもはただの光なのに、あなたが居るだけで、もっと明るくて、優しい感じがする…なかなか一緒に過ごせないぶん、電話よりも、もっと幸せになれる…最初は、声だけでも良かったのに、どんどん欲張りになってゆく…そして、一人の夜は、不安でたまらなく淋しくて…ずっとあなたと一緒に過ごしていたい…

1/24/2024, 2:55:12 PM

逆光
ゆっくり登る始めた階段…大きな鳥居をくぐると、何段あるのか判らない長い石段と、木立と澄んだ青空が見える…駐車場にあった案内板には、御祭神や由来や歴史等、色々書いて有り、そんな事を思い出し乍ら、一段一段進めていく…途中途中にちょっと広めの段があり、3つ目の場所で一息ついた…其処からあと半分位はありそうな石段の上に、長い髪の女性が立っていた…今から降りて来るのか、私が今しがた昇ってきた方を見てるように見えた…一瞬、何処かで見たような気がしたけれど、逆光でよく見えない…その瞬間、石段を昇ってきた胸の動悸とは違う、胸の高鳴りを感じて…

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