仲間
久しぶりに、同級生からメールが届いた…メールや電話のやり取りをしているけれど、もう二十年くらい会って無い…
クラスでも浮いていたから、余り仲の良い友達も少ない…マンモス校と言われる学校に通い、同じ学年は、七百人余りなのに、会話をするのは、片手で余るくらい…そんな中のクラスメイトの何気ないメールに、少しだけ…
手を繋いで
どのタイミングで手を繋いだらいいんだろう…初めて言葉を交わしてからひと月…初めて、一緒に過ごす休日、待ち合わせ時間のずっと前に、来たけれど…胸のドキドキが激しくて、手汗も気になる…昨夜も、小学生の遠足みたいに、寝付けないくらいに…初めての休日デイト、周りの恋人同士みたいに、指を絡めて歩いてみたい…段々と近付く約束の時間、止まらない胸の高鳴りに…
ありがとう、ごめんね
何時でも、一緒だったね…中学生のあの日、桜の花びらが風に舞っていた午後の図書室の窓辺から、ぼんやり校庭を見ていた…その時に、君から声を掛けられて…其れからずっと、毎日のように、同じ時間を過ごしていたね…君の優しい瞳に、いつの間にか、片想いしていた…誕生日のプレゼントや、お土産だの、時折些細ながら、贈りあったこともあったね…君のその素敵な心遣い、本当に、本当にありがとう…そして、それなのに、ごめんね…こんな、事になるなんて…もっと君の側にいて、ずっと護っていくって誓ったのに…ごめんね、ごめんね…
部屋の片隅で
食卓から、何気に部屋の中をぼんやり見ていた…薄暗い部屋の片隅には、埃だらけの小さなテーブルの上に、熊のぬいぐるみが2つ、色褪せたまま、寄り添っている…君が突然出て行ってから、この部屋に帰るのが辛くて…でも、ひょっとしたら、君が戻ってくるかも知れない…そう思うと、一人で戻る日々を重ねた…ただ、一日の内、君と一緒に買ったこのぬいぐるみを見ながら、あの日々を思い出し乍ら過ごすのが、日課になっている…
逆さま
子供の頃から苦手…遊園地のミラーハウス、何処迄も、写る自分に囲まれて、こっちの方を見てる…段々と、今考えているのが、本当の自分なのか、ヒョとしたら、他の大勢の中に、本物の自分が紛れているのか…指先でなぞり乍ら出口を探し続ける…何処迄がこちらの世界なのか…目眩を感じ乍ら、答えを探し…