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6/8/2024, 3:26:24 AM

「世界の終わりに君と…」

Z級映画のクライマックス。今は地球が隕石の落下と同時にエイリアンに襲撃され、未曾有の死に至る感染症が拡大し、異常気象によって全海面水位の急上昇と全火山の大噴火と大陸レベルの台風が発生し、AIを搭載したロボットが暴走し、各国が核戦争を始め、神が君臨して地球を滅ぼそうとしているところだ。

世界が終わり過ぎてる。もうなんかむしろ始まってる。ヒロインを抱きしめながら叫ぶ主人公の演技が頭に入ってこない。もうこれ以上情報量を増やさないでくれ。心の中で嘆いていると、中盤に出てきたゾンビとサメと恐竜と悪霊が台風で打ち上げれているのがチラチラと背後に映り込んで私は逆にこの映画を愛することにした。

6/7/2024, 12:02:36 AM

「ほんとさいやく」

頭でっかちな昔の僕は内心ぷんすかしていた。まず読み方を間違えているクラスメイトの発言。この世の最も悪いことなんて人が正確に分かるわけないのに。だから僕は最悪と表現を避けてきたというのに。昔の僕はそんなことでちっちゃく怒っていた。

今はというと、むしろその発言の軽薄さ以外のものを考えるようになった。「さいやく」。たぶん人から聴こえた音のまま言っているのだろう。それが今の僕には皮肉抜きに面白く感じた。

当たり前だが言葉は辞書的な意味付けをされる前から存在する。それは各々がその場その場でやり取りする為の道具としての言葉だ。そこではとにかく通じることが第一でそれが本質でそれが全てだ。

クラスメイトの間違いはその領域に回帰しているようにも捉えられる。赤ちゃんが言語を獲得する方法と同じで他人の音をとりあえず真似ている。そこで重要なのは音のだいたいの違いを覚えることであって厳密な意味の理解ではない。だからこそ、その領域の言葉は辞書から解放された生の道具のように思えてどこか魅力的だと感じた。

そもそも理念上の究極の悪はない。僕がこだわっていた最も悪いという辞書的な意味、いわゆる文字通りの意味についても善悪の観念を調べるようになってからそう思うようになった。ニヒリズムよろしくそこの意味合いに強くこだわる程の価値が無いと。だからこそもっと自由に意味を持たせていいと。

すごい悪いと思ったから最悪。感情の発露はそれぐらい簡潔でいい。もちろん学ぶことは大切で定義を把握することにも価値はある。だけどそれ以上に他人そして自分自身へのコミュニケーションを成り立たせることに意義を感じる。それさえできれば充分だ。頭でっかちな僕は自分への戒めとしてもそう思うようになった。

…ここまで書いておいてクラスメイトが言っていたのがほんとは最悪じゃなくて災厄だったらどうしようか。もしそうだったらそれはさいやくだ。

6/6/2024, 5:30:34 AM

誰にも言えない秘密はその内容よりも
言えない理由の方が気になるんです

秘密は内容よりも理由の方が
その人が表れている気がするんです

あなたが秘密にする理由はなんですか

6/4/2024, 1:18:42 AM

あぁなぜ彼は失恋しないのか

授業の為にかつて存在した惑星の歴史を学習用ゲームで予習しておく 水源が豊富なその惑星では知能水準の高い生物が科学技術によって繁栄しそしてそれにより滅んだという

最近私はヒトaとヒトbを頻繁に接触させている ミッションの「人口増加」をクリアしたいからだ 攻略情報によると彼らは関わる回数が多いと恋という状態異常になる それになれば繁殖確率はぐんと上がるとのことで私は何度も彼らを出逢わせている

しかし彼ら同士は一向に状態異常に陥らない ステータスをチェックするとどうやらヒトaはヒトb以外に恋をしているようでしかも恋の相手は彼が好む創作物の中の存在らしい

驚いた 繁殖不可能な相手に恋するとは しかも文化によってはそうなることは稀ではないらしい ヒトは非合理なことを好むとクラスメイトが話していたがそれは本当らしい

何かに恋した場合他の存在に恋する可能性は低くなる 私はそのヒトの習性に絶望した これではミッションクリアが遠のくではないか

しかし攻略情報によると恋が終わると失恋という新たな状態異常になりその場合はまた新たな恋の発生率が高まるらしい 希望が見えた ヒトaを今すぐ失恋させるのだ

とりあえず彼の創作物をすべて破壊する これで一件落着だ 安心してステータスを見るとヒトaは失恋していない むしろ恋の状態異常数値が悪化しているではないか

再び攻略情報を見ると ※恋の状態異常は刺激させると悪化する可能性あり と注意書きがあった

なんてややこしい生命体なのか bはそうではないのになぜaはそんなことになる 私はすべての個体に通用する普遍的な攻略を探す為に情報を調べた その結果多くの項目の最後にとある一文が添えられていることに気が付き私はそっとゲームを閉じた

(※ただしヒトによる)

5/30/2024, 12:01:40 PM

人生は終わりなき旅だと言う人もいるが
その人は光に近い速度で生きているのだろうか

もし本当にそうだとすれば確かに人生は終わりがない旅だ素人の私が聞きかじった相対性理論的に間違いない

しかし終わらないと感じるのは観測する他人からであって本人の体感では普通の寿命通りに終わりを迎えるはずだ

それを踏まえると終わりなき旅と言っているのは観測する側の人だろうか 知人の光速度おじさんの生き様を見た人が出した表現なのかもしれない おじさん自身は自分が終わりなき旅人であると気づきにくいはずなので十分あり得る

いや待て 光速度おじさんはありえない 観測側からすれば不死であり不老であるはずだ 訂正する だから発見されたのは光速度赤ちゃんだ 不老であるならこれで間違いないはずだ

いや待て待て 途中から光速度に目覚めたおじさんならあり得るのではないか? それならおじさんだとしても矛盾はない 取り消して訂正する やはり光速度おじさんだ

いや待て待て待て そもそも光速度おじさんは速すぎて観測者はそれがおじさんだと認識できないのでは? ただの光に見えるのではないか? まずい わからない ご覧の通り私にはまともな科学知識がほぼない アインシュタインの論文を遡れば光速度おじさんについての言及はあるのだろうか

いや待て待て待て待て もし光に見えるなら普段光を感じる度に光速度おじさんが前を駆け抜けて行った可能性が出てしまう 恐ろしい あの娘と一緒に見た夜空の煌めきも本当はおじさんの残像を見ていた可能性があることになる まずい 私の青春の一ページにおじさんの輝きが混入してしまう

いや待て待て待て待て待て そもそもアインシュタインこそがある意味光速度おじいちゃんとも言えて………

私の人生は有限なので話はここまでで

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