「インターネットがある世の中でこうして巡り合えたことに感謝します。あなたの幸運を祈ります。良き人生を。」
砂浜で目に付いた波にさらわれた手紙が入ったボトル。
それを手に取り中の手紙を広げて読むと綺麗な手書きでそのようにメッセージが綴られていた。
スマホが当たり前の現代であえてのメッセージボトル。
知らない誰かの言葉で私はロマンチックな気分になり太陽を反射し綺麗に輝く淡い色のボトルと共にこの手紙を宝物として持ち帰ることを決めた。
どんな人がこんな素敵な手紙を書いたんだろう…
そう思いを馳せていると手紙の裏側にも何かが書かれていること気が付き急いで目を向けた。
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「インターネットがある世の中でこうして巡り合えたことに感謝します。」
表に書いてあったメッセージの真意を理解した私は宝物をすぐに引き裂いて地面に叩きつけ砂浜を後にした。
青春時代の記憶は眩しく
眩しいが故に上手く思い出せない
それでもなんとか記憶をたどって
その光源を探してみたが
意中だったあの子 と 担任のすかすかヘアースタイル
その2つしか浮かばなくて
今は青春時代が本当に眩しかったのかを疑い始めてるとこ
そもそも幸せって言葉を作って
人は何をしたかったんだろう
現代だと哲学的大喜利のお題になってるけど
もともとは何のためにできた言葉なんだろう
それこそ幸せになる為に幸せは作られた言葉なんだろうか
AirPodsはいつも片側だけ道に落ちているから
あれは実質手ぶくろだと思ってる
そう、私はただどこかに手ぶくろを落としただけ
白くて高級な
僕には明るい未来が待っている。
いつのまにか前よりも涼しくなった
額の端が僕にそう物語っているから。
だけど僕はそれとは別のもうひとつ物語を今から始める。
明るい未来から逃れるため、端が頭頂部に繋がる前に。
クリニックの予約は18時にもう取れている。
ミノキシジルとフィナステリドが僕の物語を作り出す。