NotNoName

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5/30/2024, 12:01:40 PM

人生は終わりなき旅だと言う人もいるが
その人は光に近い速度で生きているのだろうか

もし本当にそうだとすれば確かに人生は終わりがない旅だ素人の私が聞きかじった相対性理論的に間違いない

しかし終わらないと感じるのは観測する他人からであって本人の体感では普通の寿命通りに終わりを迎えるはずだ

それを踏まえると終わりなき旅と言っているのは観測する側の人だろうか 知人の光速度おじさんの生き様を見た人が出した表現なのかもしれない おじさん自身は自分が終わりなき旅人であると気づきにくいはずなので十分あり得る

いや待て 光速度おじさんはありえない 観測側からすれば不死であり不老であるはずだ 訂正する だから発見されたのは光速度赤ちゃんだ 不老であるならこれで間違いないはずだ

いや待て待て 途中から光速度に目覚めたおじさんならあり得るのではないか? それならおじさんだとしても矛盾はない 取り消して訂正する やはり光速度おじさんだ

いや待て待て待て そもそも光速度おじさんは速すぎて観測者はそれがおじさんだと認識できないのでは? ただの光に見えるのではないか? まずい わからない ご覧の通り私にはまともな科学知識がほぼない アインシュタインの論文を遡れば光速度おじさんについての言及はあるのだろうか

いや待て待て待て待て もし光に見えるなら普段光を感じる度に光速度おじさんが前を駆け抜けて行った可能性が出てしまう 恐ろしい あの娘と一緒に見た夜空の煌めきも本当はおじさんの残像を見ていた可能性があることになる まずい 私の青春の一ページにおじさんの輝きが混入してしまう

いや待て待て待て待て待て そもそもアインシュタインこそがある意味光速度おじいちゃんとも言えて………

私の人生は有限なので話はここまでで

5/29/2024, 11:41:37 PM

「ごめんね パジャマは持ち帰るよ ありがとう!!!」

ホテル清掃中に部屋から回収しなければならないパジャマが見つからず探していたところ、そのような意味合いが英語で書かれているメモをテーブルの上に見つけた

そこにはこれで勘弁してくれと言わんばかりに百円にも満たない額の小銭も乱雑にメモの上に添えられていた

どうしてもパジャマが欲しい
→でも売ってなさそうだし買えなさそう…
→じゃあ盗むしかない
→でも黙ってやると後で色々と揉めそう…
→💡
→メッセージとお金を残せば言い訳になるはず!
→よし盗もう!

そんな思考回路が見えてきてなんだか笑えてきた すべて勝手な推測だが盗人のくせに微妙にナイーブな思考パートが挟まって完全には猛々しくはないのが余計に面白く感じる

そして盗んでおきながらごめんねという謝罪から始まり最後に駆け抜けるような感謝で〆るメッセージに二度笑った

まったく持ってヒドイやつだがどこか愛くるしさがある

おかげでメモと小銭だけで知らない誰かに親しみを覚える貴重な経験をさせてもらったよ ありがとう!!! ゆるさん

5/28/2024, 11:46:27 PM

犬も服を着る今の時代だから未来の人型ロボットも夏は半袖とか着るのだろうか SF映画で薄着のアンドロイドを見た記憶は一度もないがロボットに季節感を与えるのも人に近づく良い方法に思える

一番ロボットから遠い言い換えれば人間らしい服装はなんだろう やはりフォーマルよりカジュアルだろうか タンクトップにステテコを着たアンドロイドとか良い線だと思う

麦わら帽子とかも味が出る 冠婚葬祭にいなさそうな格好が良さそうだ 靴はなんだろう クロックス 便所サンダル辺りが妥当そうだ もはやとことんダサくすることが人間らしい気がしてきた

待てよ もしかしたら夏に現れるダサい人達はわざと人間に擬態する為にそうしているアンドロイドなのでは?流行を追えない人間ではなく本当は最先端のロボットなのでは?実は何かのプロジェクトが既に動き始めているのでは?

いややっぱりその線はやめとこう 僕もアンドロイドになる

5/28/2024, 10:12:44 AM

天国と地獄の原材料はなんだろう

人の感情だろうか 感情が物事を判別し価値付ける為のものだとしたら正と負の二つの方向性に対応する象徴的な二つの世界が創られるのは自然な流れのように思える

しかしなぜそのような世界を必要とするのだろう

生の目的作りだろうか それとも死の謎を説明する為か
はたまたそれらを利用し大衆を先導する為か
きっとそのすべてが必要とする理由に成りうるだろう

思えば死後について別の世界を使って説明することは原理的に解明不可能なものを原理的に解明不可能な概念で説明しているだけだがなぜそれがこんなにも力を持つのだろう

きっとそれは知り得ない死という未知の恐怖を誤魔化してなんとか和らげさせてくれるからなんだと思う

何もわからないよりはとりあえず仮設したもので言い換えられれば人はそれだけで少し安心する

だから天国も地獄も超常的な世界のようでその実態はとりあえずで傷口に貼る絆創膏のようなものなのかもしれない

もしくはそれよりも「痛いの痛いの飛んでけ」のようなある種のおまじないに近いものなのかもしれない

願うことでそういうことだとするようなものに

5/26/2024, 6:22:17 AM

その日は晴れと晴れの間を作るような短い雨が降った。
咄嗟に何かなかったかと鞄の中を探ると折り畳傘が見つかった。たしか数ヶ月前に使ったきりで奥に眠っていたそれはいつの間にか汚れていた。

数字が散りばめられた変わった柄に錆びた骨組み。人には見せられない物になったそれを恥を感じながら差し、いつもより早足で帰宅した。

水滴を払い玄関で傘をどこに置こうか考えたとき。目に映るその汚さに悲しみを憶えた。それが幼い頃に貰った母からの譲り物だということを思い出したからだ。今の自分では選ばない柄の訳がわかった。

この傘は何回雨を凌いできたのだろう。昔の記憶を重ねていくうちに母との思い出が浮かぶ。遠足の日に雨足が早まったときに一応と渡された。珍しい柄だと喜んでいた私を見て母も喜んでいた。

記憶が綺麗なほど目の前の汚れが私を責める。私は物を大切にできない。それは昔から母に指摘されてきたことだ。大人になった今でもそれは変わらなかった。変えられていなかった。大切な人からの物も大切にできない。

沈んだ意識がしばらく続いた後にふと外の雨音が聴こえなくなったことに気付いた。そうだもうしかたない。誰もいない玄関でごめんなさいと呟き折り畳んだ傘をゴミ箱へ捨てた。

薄情者は今も度々思い出す。あの短い雨が知らせたことを。

降り止まない通り雨。

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