チャレンジ51(世界に一つだけ)
独自性のあるものを生み出すには、先人の作品から学ぶ必要がある。何度も失敗し、練習を繰り返す中で、ふと新しいものが生まれる。世界に一つだけの作品は、いきなりは生まれない。いま使っているスマホの文字入力機能も、研究と改良の末に生まれたはずだ。
特に努力しないでも「個性的」なのは、幼い子供たちだ。他人の評価を気にしない。好きなことをする。子供の落書きの奔放な線を見て、世界に一つだけの表現を感じるのは私だけだろうか。
チャレンジ50(胸の鼓動)
高校時代、好きな歌手のコンサートに行くことになった。チケットを予約し、当日を待つ。時間の経つのが、とても遅く感じられる。胸の鼓動が、日に日に高まる。あの人に会える。楽曲を聞くと励まされ、慰められる。一言でいいから、応援している気持ちを伝えたい。
当日、会場に向かうバスの窓から空を見ていた。あの人と同じ空の下にいる自分は幸福だ。また、胸が熱くなった。ドキドキした期待と、夢見ているような幸福感。
あの時の自分は若かった。そう言ってしまえば、それで終わりだ。胸の鼓動を感じ、何かに共感できる。しなやかな感受性を、私は失いつつある。
チャレンジ49(踊るように)
踊るように喜び 踊るように友を迎え
踊るように 空に手を伸ばしたい
踊るように飛び跳ねる
悲しみを燃やしつくすように
足がふらついて、踊るように転ぶ
老化の始まり
これだけは、ご勘弁を
チャレンジ48(時を告げる)
以前住んでいた街では、夕方5時と夜9時に防災無線のチャイムが鳴っていた。夕方は定番の、夕やけこやけ。夜はヴェルナーの野ばらだった。夜のチャイムの理由が分からない。子供を寝かしつける時間ということだろうか。
夕方といえば、工場地域のサイレンも忘れられない。仕事終わりの午後5時。ほっとするような、お疲れ様の言葉が似合うサイレンである。
チャレンジ47(貝殻)
貝殻の内側に、虹色に輝く皮膜がある。トコブシのしょうゆ煮を食べた後、淡い虹色を見つけて嬉しくなった。ほかの貝殻にも虹があるだろうか。そう言えば、父が着ていたワイシャツのボタンは貝ボタンで、かすかな虹色の光沢があった。虹色の光沢を持つ貝殻は、トコブシ以外にもあるのかもしれない。