学生時代、机に彫刻刀で傷をつけたり、先生に隠れて石ころを遠くまで投げたり、トイレの扉を外したり、そんなことをする生徒が何人かいた。バカみたいと思った。でも今思うと不満な感情が溢れ出ていて可愛らしいと思う。
バカって何だろう?ボクが思うのは疑問を考える心の余裕がなくなると馬鹿になるんだと思う。それと自己評価がやたら高い人。敬意がない人。
自分のことをバカみたいと思えるなら、きっと苦しい経験が多かった優しい人。いつか本当の意味でバカみたいって笑える未来になれたらいいな。
題『バカみたい』
実家暮らしだと土日祝日が地獄だったりする。何処にも逃げ場がない。心身がフリーズして何も出来なくなる。家に誰もいなくなってから初めて今日が始まる。その数時間後には今日が終わる。常に無意識の警報装置が鳴り響く。大体いつも電池切れ。それなのに何故か生きてる。話は変わるけど『バカって言う方がバカなんだよ』は割と的を得ていると思う。
あまりに放置され過ぎて心が腐っていく。慰めや同情の態度を表に出してほしいのに、反抗心を感じる。他人に期待するのは間違いだし自分の望む対応でないと怒りを感じるのも良くないことだと思う。それでもまるで元気かのように扱われるのが凄く嫌だ。だからキャベツ一口で食事を終えたり、ずっとベッドに潜っていたり、風呂キャンしたりする。それでも何も心配してくれない。元気な時でも具合の悪い演技をしたくなる。同情されないとガッカリして色々な事のやる気が削がれる。「大丈夫?」「可哀想」そんな言葉をかけてほしい。悲しみの表情を浮かべてほしい。最近はムッとした表情ばかり。こんな事ならレアチーズケーキなんか作らなきゃよかった。いっそのこと身体中に目に見える異常が出たり、一気に体重が減ってほしい
死に近づかないと構ってもらえない。
題『二人ぼっち』
箸を噛む。口の端から涎が垂れる。口蓋が爛れる。放っておけば食べるだろと言われる。もうどうでもいい
食べるかどうか悩んでいる間にも次々と家にあるお惣菜がレンジで温められていく。声を出して止めようか悩んでいる間にも処理されていく。待ってよ、今は考えが纏ってないのに。明日なら食べるかもしれないのに。温めた後で一口食べるかなんて訊かれたって心が動揺から帰ってきていない。残ってるのは食べたくないものばっかり。馬鹿、いっつもそう。言われる方も嫌だろうけど、される方も嫌。それを周りが聞いてテンションが下がるのを見るのも嫌。それで食欲なくして殆ど食べないで部屋に引き篭もって後になってからストレスで爆発するんだ。おまけに次の日の朝もむしゃくしゃしていて大抵調子が悪い。無口になるし顔も見たくない。買ってくるのは肉ばっかり。父親が買い物に付き添っている日は大抵気に入らないものばっかりで冷蔵庫が埋められる。気に入らない。お土産だと見せられたものでストレスが溜まる。テレビの相撲中継が喧しい。叫ぶし独り言ばかりだし咀嚼音もクシャミの音も全てが気にいらない。同じ空間にいられない。何を食べてもゴミみたいな価値しかない。風呂に入れるタイミングもなければ余力もない。もはやベッドの中で休日が過ぎ去るのを待つことしかできない。ベッドの中が唯一の防空壕なんだ。夢じゃない。現実だ。
題『夢が醒める前に』
答えを諦めた瞬間に見つける事がある。数日考えても分からなくて諦観の念を抱いて半歩下がると足元に答えがあった。灯台下暗しとはこの事だろう。朝のルーティンを終え、いまだ寒い室温のため湯たんぽを膝に置く。手を温めて気持ちを落ち着かせて本を開く。良かった、合ってる。ずっと頭と胸がもやもやしていた。何度考えても答えが合わなかったから。脳はオーバーヒートしていた。紙には書かない。布団に潜りながらずっと考えていた。この答えは『苦労した』という思い出が付加価値として付与された。だから印象深いし納得感もあって満足感もある。胸が高鳴る。同じ答えに辿り着くにしてもYouTube の動画やAIによる解答では「ふーん、なるほどね。分かった」としかならなかったと思う。そしてその知識が必要になる時に表面上の記憶として記憶の波を探しにいく。けれど苦労に苦労を重ねて得た答えは既に自身の中にあり瞬間的に電気信号を本能で結びつけて理解を助けてくれる。こういった記憶こそが人生に喜びを与えてくれる。簡単に得た答えは簡単に忘れる。苦労して分からない答えが分かった瞬間、胸が高鳴る。
題『胸が高鳴る』
どれだけ素晴らしい才能があってもコンクリートで種が育つことはない。生まれた環境に大きく依存する
貧乏なら栄養不足で脳も身体も動かないし、親が子を放置するなら未来の選択を間違える可能性が高い。自分の努力の成果だと思うことは簡単だが、偶々努力が出来る環境で運良く実っただけに過ぎないかもしれない。だからいま苦しんでいる人は努力しなかった訳ではない。というより努力しない人なんていない。この世界は不条理で努力に比例して幸福になる訳ではない
題『不条理』