たくちー

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12/13/2025, 6:46:25 PM

 言葉のハンマーが側頭部を直撃して肉体から精神を吹き飛ばした。「はぁ?なんだそれ?」一度は言われた事があるのではないか?部活を辞める際。仕事を辞める際。ボクはどちらでも言われた。そうなると相手は"どうせ辞める相手なんだから"と本性を露わにして何の制限もなく言葉の暴力を畳み掛ける。これらの行為は誰の目にも触れられないバックヤードで行われる。それこそ遠い鐘の音が微かに聴こえるような場所。だがこれで良かったのだ。日本ではこの状態になると次の仕事は相当厳しいが、命の危機から逃げ延びなければならなかった。その結果さらに苦しむことになるのだが、その時は自分の努力よりも運の無さを悔やみ、泣きながら足を引きずって前へ進もう。そうして今まで生きてきた。

"決して努力不足なんかじゃない。ただ運が悪かっただけだ。祝福を知らせる遠い鐘の音はもうすぐ聴こえるはずだ"



題『遠い鐘の音』

12/12/2025, 7:02:24 PM

 Let’s snow と書かれた雪だるまの木板がサンセベリアにぶら下がっている。玄関には有名なネズミのキャラクターがサンタ服姿で飾られていた。杉の木を模したガラスの置物はキラキラと七色に変化している。
冬がきてしまった。雪が積もると何もかもが億劫になる。体温維持にエネルギーの大半を消費する。もはや動くのが嫌になってしまった。外出する事もないため散文的な文章しか思いつかない。このまま雪と一緒に溶けてしまいたい。



題『スノー』

12/11/2025, 6:59:12 PM

 "オムライスが食べたい"と言われてオムレツを作った。お気に入りのチャンネルの料理動画で作っていたのがチーズオムレツだったから。フライパンの取手が取れないタイプだった為オーブンに入らず、見た目はパンケーキのようだった。ケチャップで推しキャラのサインを書いてあげた。オムレツってこんなのだっけ?と言われつつ「予想以上のものが出てきた」と味は好評だった。
料理の先には家族の笑顔があり、夜空を越えたような達成感があった。そろそろ「趣味は料理です」と胸を張って言えるようになってきた。



題『夜空を越えて』

12/10/2025, 7:13:26 PM

 炬燵に衣服を入れて温めておくような、チチチチっぼっという音をたてて稼働する石油ストーブにお尻を向けて待ち侘びるような。かつて少年時代を過ごした思い出の家の記憶。階段が急勾配で手摺りもなかったから何度も転げ落ちた。祖母の部屋には団子虫や蛙や蝙蝠などを見かけたし、台所の近くからはチューチュー鳴く鼠の存在を感じた。自室はタバコのヤニで黄ばんでおり、兄の部屋より2畳ほど狭かった。それでも家族としてバランスの取れた素敵な生活だった。今の家は誰からも羨まれる。だけど、"前の家に戻りたい…あの頃に戻りたい"と叶わない過去に縋りつく。家族と過ごす時間は前よりずっと多いはずなのに、"ぬくもりの記憶"が存在しない。悲嘆的な感情の牢獄で、いつの間にか誰かに"ぬくもりの記憶"を与えてあげるような年齢になっていた。



題『ぬくもりの記憶』

12/9/2025, 7:14:08 PM

 凍える指先は爪に縦線が入りパックリ割れた皮膚は黄ばんでいた。ビタミン不足な末端組織に栄養が行き渡っておらず、指紋認証も正常に作用しない。五臓六腑への支援が最優先であり、凍える指先は常に酷使されている。
いつだって切り捨てられるのは端っこからだ。



題『凍える指先』

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