たくちー

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11/20/2025, 7:56:02 PM

「"でも"も"いや"も聞きたくない!」
自分でも気づかないうちに断崖絶壁の1歩手前まで来ていたようだ。大泣きした。「あぁ、ああぁ…!」と咽び泣いた。過呼吸で倒れそうになり、お湯を飲む。ビニール袋を口元に当て思いっきり深呼吸する。キャラメルを口に含んだが受け付けず吐き出した。出勤直前だった母が会社を休んでくれた。あまりに可哀想で放っておけないと。久々にゆっくりと話をする。誰からも見捨てられていること。ボクに寄り添ってくれるのは母だけだということ。その母から"でも"なんて言葉は聞きたくないということ。結局のところ限度があるのだ。どれだけ仲が良くても信頼してても100%の理解はあり得ない。60点くらいの解答が普通で時には赤点もある。当人には自覚がないため指摘されるまで何がグサっときたのか分からず、言われてからビックリする。1時間ほどかけてようやく気持ちが落ち着く。一緒に図書館へ向かい、読みたい本が見つからなかった為返却だけした。初めてスターバックスに立ち寄る。「一番甘いものをお願いします」と伝え、キャラメルラテをお勧めされた為それにする。追加でバスクチーズケーキを注文する。私にとっての普段通りの時間帯。10:30過ぎ。薬を飲み、飲み物とケーキだけのテーブルを見てホッとする。これでも食べ切れず半分くらい残すのがボクの生活リズムなんだ。母はそれを分かってくれている。

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(最近は兄と出かけると暴力的な量の料理を見せつけられて心が擦り減っていた。ボクが"注文は1品でいいから、ほんのちょっと分けてくれればいいから"と何度お願いしても頑なに2品頼んだ。そして全部食べ切った後に「あと何処も行く気分じゃないし帰るか」と言うのだ。兄はボクのことを大事に思ってくれているのかもしれないが本音をぶちまけることはなかった。少し心の苦しみを話し始めるとそれまで笑っていてもフゥっと鼻から溜息を出し、また始まったみたいな態度をとる。それで直ぐに心のシャッターを閉じて話題を切り替えてしまう。そんな兄と東京に旅行へ出かける日程が近づいている。正直言って辛い。旅行費として自腹で4万円渡しているのに苦しみしか感じない)
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話は戻り、スターバックスを出た後は古着を扱う店で気にいる商品を探したが見つからなかった。そんな店では安物ばかり扱っていると思っていたが、普通に数万円の値段がついていてビックリする。その後、別の店で気になっていた10万円のロングコートを母に見てもらった。率直な意見として金具の部分が気に入らないと言われ、またショックを受けた。値段的にも買える訳がないと言われた。店内の別の店でダッフルコートを見せようとしたが、どうやら売れてしまったらしい。セレクトショップにくる客は少ないのか皆から顔を覚えられており何とも居心地が悪い。頭の片隅にこびりついて離れないロングコートへの執着は別の店で見つけたカーキ色の服とスカートが一帯となったような服が払拭してくれた。欲しいという妄執を消滅させてくれるのはそれ以上の欲求しかないと感じた。スパッと想いを断ち切ることができ、ようやく一つの悩みが解決した。最後に馴染みの店で最低限の買い物を済ませ帰路に着く。父にはボクの具合が悪くて会社を休んでクリニックで点滴を打ってもらったことにして話を合わせた。そのため、その日は風呂に入らなかった。いろいろ危ないこともあったが本当に久々に満足のいく買い物ができた。寝る前に自室で母に伝える。
「今日は一緒にいてくれて嬉しかった」と。

死を目前とした時、目の前には何もなかった。過去も未来も走馬灯すらない完全なる無だった。今まで積み上げてきた日々や信念も。隣に立つものは何もない。あと少し泣き出すのが遅くなって独りぼっちになっていたら今日のボクはいたのだろうか。



題『見えない未来へ』

11/19/2025, 7:41:31 PM

 ベコっと凹んだペットボトルみたいに価値のない存在で、身の丈に合わない服に想いを馳せる。遺影用の写真にしたいくらい惹かれてる。服は皮膚の延長でカタツムリの殻のように私という存在を主張する。一生のパートナーを見つけた風見鶏がズボンの上から嘴で突いて知らせてくれているのか。それとも苦しみから逃れる為の単なる憂さ晴らしのような衝動的欲求なのだろうか。

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個人的な事に話は飛ぶが、胸の苦しみが限界に近い。19:00に布団に潜る。寝ること以外に苦しみから逃れる術がない。予約運転したヒーターから吹き抜ける風が部屋を暖めるには時間がかかりそうだ。
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着たところで全てが好転する訳でもない。私という存在は変わらない。ただ、どれだけファッションに無頓着な人でも裸で外を歩くことはない。興味がない中でも何かしらを選んで着ている。



題『吹き抜ける風』

11/18/2025, 7:12:04 PM

「体重を減らしたいって訳じゃないんだよね?」
精神科の医師が念入りに確認する。

「はい…怖くて食べれないんです…」
男性なのに体重は36kgになっていた。

「うちは精神科だからさ、具体的な病名を書けないとどうしようもないんだよね」

どうやら拒食症には体重増加への不合理な恐怖が必要らしい。体重が減り続けるのは同じなのに、診断結果は本人の気持ち次第だ。

記憶のランタンに記述されているのは拒食症と摂食障害、あとは過食症。その他の名前のない苦しみをランタンが照らすことはない。ちょっと煤や埃が溜まっているな程度の認識だ。

誰にも理解されないSOS。
こうして人は追い詰められていくんだろうな。



題『記憶のランタン』

11/17/2025, 7:37:23 PM

 冬は餌の奪い合いだ。そのため競争率の低い食材を有効活用しなければならない。身体を丸めながら走る。氷点下-2度の風が剥き出しの顔に突き刺さる。走行フォームなんて気にしてられない。ガソリンを節約して近所のスーパーへと走る。安い白玉粉を買う。砂糖と水さえあれば電子レンジで餅が作れる。とにかく節約しなければ。生活費の高騰は止まらない。でも悲しいかな。私だけが節約しても変わらない。お願いだから娯楽費・食事量を抑えて。少しは我慢するという事を学んで。冬へ向けた意識改革を推奨する。


題『冬へ』

11/16/2025, 7:48:29 PM

どうしてずっと上を向いてるの?
「うん…」
月を見上げながら答える。絞り出した無声音に言の葉が降りてくるまでに数秒かかった。

「羨ましいなって思って」
自然と涙が溢れていた。

こんなふうに考えるのも悪いんだろうけど、誰かに命令できる立場になってみたかったな。ジャイアンって分かるよね?ドラえもんに出てくる。あんな風にガキ大将みたいな事をしてみたかったな。

上を向いたまま話し続ける。

ほんと…どこで間違ったんだろうね。
転げ落ちた暗闇は深すぎて月の光も届かない。



題『君を照らす月』

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