「ああ、なるほどね」と最も納得する答えであれば正当性は関係ない。感情から解き放たれた無色の発言は論理的に否定されない限り正当性を保つ。反駁するのであれば論拠をセットで主張しなければならない。「それは違う。何故なら〜」というように。
"終わらない問い"は存在しない。この世に変化しないものはないからだ。宇宙だろうと人の思考だろうと常に流動的であり続ける。数式でさえ"真である"と見なしているだけで確定ではない。「まず間違いなく正しいだろう」としているだけだ。100年後は前提が覆っているかもしれない。
ゆえに
"終わらない問い"は存在しない。
題『終わらない問い』
頼まれたから即座に動いて、そんな自分の行動力に誇りを持っていた。"事前に連絡していただいた方がありがたいです。折角きてもらっても居ないかも知れませんので"
「分かりました。次回からご連絡してから伺います」
"その方がいいですね"と遠回しに否定される。
ショックだった。心の中の揺れる羽根の先端がポキっと折れた。感謝ではなく否定。その自己評価との矛盾により相手の評価を1ランク下げる。
全ての人に「今からお伺いしてもよろしいですか」なんて聞かないと動けないなら、手間が多すぎて動けなくなる。必死に勢いをつけないと動けない人の気持ちは健常者には分からない。
僕がこの場に辿り着くまでに、どれほどの苦悩と葛藤と「えいやっ」という勢いがあったか理解できるか?
そこに追加で事前連絡が必要になったんだ
揺れる羽根の軽やかさに鉛玉がついて落下する。
地面にめり込んで絶望の沼に沈んでいく。
題『揺れる羽根』
秘密の箱には同居人に捨てることを拒絶されたモノや嬉しくないプレゼントが詰まっている。本当に大事なものは手放さない。しかし秘密の箱は必要である。何故なら、いまから「この話」を閉まってクローゼットの奥に隠さなければならないからだ。
題『秘密の箱』
そもそも家自体が常に緊迫感に張りためた無人島のようなものの為、誰もいないという環境は数時間の開放的な幸福を与えてくれる。そのあとで喉が渇く。生存の知識を持ち合わせていないため浄水フィルターが欲しくなるかも知れないし、寒くて防寒装備が欲しくなるかも知れない。手元に拳銃があるなら精神的な発狂から逃れられるだろう。何が起こって何が必要になるのか分からない。そのため無人島に行く前のセーブデータを保存しておいて欲しい。
題『無人島に行くならば』
自動販売機にHOTが売られておらず、急激な気温の変化に冷やし中華の看板は未だ取り残されていた。
石油の定期配達の連絡や冬タイヤへの切り替えも必要になってくる。秋風のように忙しなく冬の装いをする紅葉樹は足元に夏の名残を散乱させていた。区間賞を取る勢いで秋風が冬の季節にバトンを渡すだろう。
そのペースは年々速まっている。
題『秋風🍂』