【ありがとう、ごめんね】
休日のある日。
私はいつものようにブリッジしながら修正液を舐め回していた。
「あっあっあああー。浄化されるぅぅーー」
1人で叫んでいると玄関の呼び鈴が鳴った。
「お届けに参りました。ピザF◯CKです」
どうやら頼んでいたピザが来たようだ。
私はすぐにピザを頬張ったが違和感に気づき吐き出した。
これは、、、
「ピザから修正液の味がする!」
ビターン。
ピザを投げ捨て怒り狂った私はすぐさま店にクレームを入れることにした。
店員「お電話ありがとうございます。ピザF◯CKです」
私はすぐに本題に入った。
「あなたの店のピザから修正液の味がしたんですけどなんの嫌がらせですか?」
するとゴミ店員は反論した。
店員「お客様。失礼ですが修正液を飲みながらピザを食べてませんか?」
意味がわからない。
「そんなアホなことやるわけありませんよ。もしそうなら切腹してやりますよ」
店員「分かりました。では今から人を送るので事実確認が出来たら弁償いたします」
ガチャ。
態度は気に食わないがどうやら返金してくれるようだ。
安心した私はしかしふと机の上を見て青ざめた。
机の上に修正液が山積みになってる。
まずい。これでは私がピザに修正液を入れたようにしか見えない。
事実無根だが誤解を与えないためにも早く隠さなければ。
しかし
「ピザF◯CKの調査官です。」
全身武装した男たちがドアを蹴破って侵入してきた。
電話を切ってから約1分後の出来事である。
調査官は私が修正液を抱きかかえているのを発見するとニヤッと笑い日本刀を構えた。
「事実確認完了。刑を執行する」
「いや。これはその違くて、その、話を、、いぁぁぁーーー」
私は細切れにされた。
─後日
ピザに修正液が混入しているという苦情がピザF◯CKに相次ぎ店は営業停止に追い込まれた。
【脳裏】
「わー」
今日は後輩の田中と一緒に課長の新築祝いに来ている。
「いい家ですね」
私は社交辞令を言って適当に場を和ませていたが、
田中「なんか狭くないですか?」
ピシ。
後輩の何気ない一言により空気が凍りついた。
まずい。なんとかフォローしないと。
私の脳裏には怒り狂って暴れまわる課長の姿がよぎった。
私は壁に拳を叩きつけた。
「こら田中。本当のことでも言っていいことと悪いことがあるだろ」
壁には穴があいた。
課長「あ、」
私は続けた。
「なにがオンボロのほったて小屋だ!課長がこの犬小屋にいくらお金をかけたと思ってるんだ!」
田中「いやそこまでは、、」
私は言い訳をしようとする後輩を諌めた。
「口ごたえするな!」
ボン。
私は料理が並べられていたテーブルをひっくり返した。
ガチャーン。パリンパリン。
課長「君、そこまで言わなくても」
温和な性格の課長は気にしていないようだがここで新人に調子に乗らせていいことはない。
「課長!甘やかしてはいけません。彼はこの家をバカにしたんですよ。狭すぎて刑務所かと思ったとか、こんな家に住んでいる課長は犯罪者予備軍だとか。言われっぱなしでいいんですか?」
田中「いや僕は」
「いいから謝れ!」
私は壁に掛けていた絵を投げつけた。田中は避けたので絵はテレビに当たり2つとも壊れた。
課長「もうやめてくれ」
「は!」
課長の声で私は正気に戻った。
少しやりすぎたようだ。
収拾しよう。
「田中。反省しろよ」
私はタバコをソファに押し付けながら後輩に道徳を説いた。
それが後に火災に発展するとは当時の私は考えてもいなかった。
【眠りにつく前に】
夜中の出来事。
「はー花火楽しぃーーーー」
私はロケット花火を警察署に打ちまくっていた。
当然すぐ警察官が出てくるだろうがいつものように頭がおかしいフリをすればなんとかなるだろう。
これが処世術というやつである。
などと考えていると
「おい、何をしているんだ」
誰かが声をかけてきた。
私はとっさに鼻に指を突っ込み間抜けな演技で対応した。
「あひぃぃぃーーー?」
「あっ先輩じゃないですか!」
よく見ると会社の新人だった。
これは先輩として体裁的に良くない。
私は冷静に対応した。
「何か用かね?」
すると新人は
「花火ですか?皆でやりましょうよ!」
と言い出した。
見ると警察官がぞろぞろと出てきた。
手には花火を持っている。
意外だ。
「いいんですか?」
私が恐る恐る聞くと警察官は「皆でやれば怖くありませんからね。やりましょうよ」
と気さくに答えてくれた。
「いよっしゃぁぁーーーー」
言質を取った私は遠慮なく警察署に花火を打ちまくった。
─翌日
私は国家転覆罪で死刑になった。
ちなみに会社の新人はキ◯ガイの真似をして難を逃れていた。
【鋭い眼差し】
私はいい人。
人助けが趣味だ。
私があてもなく歩いていると公園で寝ている男性を見つけた。
注意してやろう。
私「昼間から働きもしないでいいご身分ですね。人生舐めてます?」
男性「なんすか急に。カルトの人ですか?」
私はあきれてゲロを吐いた。
びちゃびちゃ。
男性「え?やば。すみません。仕事サボって休んでるだけですけど何か?」
なんてやつだ。
これが日本型雇用制度の闇か。
私は男に鋭い眼差しを向けた。
私「お前みたいな奴がいるせいで日本の経済は停滞してるんだ。分かってんのか!」
バキィボキァ。
男性「痛。やめてくださいよホントに」
私「土下座しろ」
男性「え?」
私「土下座ちろぉおおおおぉぉぉーーー」
私はたまたま持っていた日本刀を抜いて切りかかった。
悪く思うなよ。これも全て私の視界に入ったお前が悪い。
そうして一人の儚い命が消えた。
〜その後。警察署にて。
男性「アイツは一体何者だったんですか?」
ポリスマン「ただの無職だよ」
【大事にしたい】
台風到来前日。職場にて。
「台風が来たら田んぼを見に行きたくなりますよねー」
新人の田中は言った。
毎年、台風が来ると田んぼを見に行って行方不明になる人が後を絶たないのは周知の事実である。
しかし田中が茶化したように言うのを聞いて私は思わず田中を殴り飛ばしていた。
「ぐふぅ。は?え?」
何が起きたか理解出来ていないままうめいている愚かな新人のために私は丁寧に説明した。
「はー馬鹿。ほんと馬鹿。救いようのない馬鹿だわ。お前みたいな浅はかな奴がいるせいで周りの人が迷惑してんだわ。少しは自重しような」
すると田中は理解したようで、
「サーセン」
と短く謝った。
〜翌日
私は台風が来ると思わず家から飛び出していた。
「風やっべぇぇぇーーーー雨も凄げぇぇぇーー」
そうだ。田んぼを見に行こう。
たしか近所に田んぼがあったはずだ。
見に行くついでに罠を張ろう。あと花火を股間に挟みながら◯ouTubeの配信もしないと。
私は田んぼに着くと服を脱ぎ興奮のあまり踊り始めた。
やはり台風といえば田んぼだな。
新人には見栄を張ったが気をつければ大丈夫だろうし。
しかし
「あっ」
私は足を滑らせて近くの川に落っこちてしまった。
なんとか上がろうともがいたが、自分が仕掛けた罠に引っかかり這い上がれない。
「チクショー調子に乗るんじゃなかったぁぁぁーーーーー」
そのまま私はどこかに流されていった。
命は大切に。