【すれ違う瞳】
ホテルにて
「ふー今日も疲れたな風呂でも入るか」
とはいえ浴槽まで行くのも面倒くさい。
私は火災報知器をライターで炙ってスプリンクラーを作動させた。
「あぁ~きもてぃぃーー」
勢いよく水が吹き出し私は全身に力がみなぎってくるのを感じた。
疲れが全て吹き飛ぶ。
しかし。
バタバタ。ガチャ。
「お客様大丈夫ですか?」
なんと部屋にホテルのスタッフが駆け込んできたのだ。
「え?え?何?」
私は理解が追いつかずしばらく呆然としていたが正気に戻ると怒りがこみ上げてきた。
無許可で入浴中の客の部屋に入ってくるなんて非常識過ぎる。
「くっくるなぁぁーーー」
私は部屋に備え付けてあった消火器で抵抗を試みたが、スタッフも負けじとボウガンで応戦してきた。
長期戦が予想されたその時。
「ぐふぅっ」
私の腹にボウガンが突き刺さり貫通した。即死だった。
後日
ホテルは部屋で小動物が暴れていると思い誤って撃ち殺したと発表した。
完全にホテル側の過失だが、被害者がブサイクだったため特に問題にはならなかった。
【どこ?】
新人教育中。
「そこの右の棚に申請書が入ってるから」
ガラガラ。
私が指示をしていると新人が声を上げた。
「どこですか?入ってませんよ!」
「あっ嘘だったわ。左の棚の間違い」
すると新人が豹変した。
「嘘ってなんですか?先輩は新人にに平気で嘘をつく人間だったんですか?」
え?なに。
「いやそういうわけではなくて、、、言葉の綾というか悪意があって言ったわけじゃなくて」
「悪意の無い嘘なら余計にたちが悪いですよね?見損ないましたよ。そうやって新人をイビって楽しむのが趣味なんですか。時代錯誤もいいところです。僕は騙されませんよ!」
コイツは一体何と戦っているんだ。
「まあまあ落ち着いて」
私は臨戦態勢に入っている新人の肩に手を置き説得を試みたが。
「触るな!」
新人は私の手をはたいた。
「上手くいかなかったらすぐ暴力てすか。これがあなたのやり方なんですね。そんなことだから髪の毛も薄く─」
「あああああああああああああああああああたアタタタタタタタタタァーーーーー」
気づくと私は北斗百裂拳を繰り出していた。
ボロ雑巾のようになった新人は床に崩れ落ちた。
「あんま調子に乗るなよ」
私はその場を後にした。
即日解雇された。
【question】
家。
「あれー?ビンのフタが開かない」
妹が何か騒いていた。
私は仕方なく言った。
「は〜。まったくやれやれ。これだから女は非力で困る。ほれ、お兄ちゃんに貸してみな」
私は妹にビンを借りると持ちうる限りの力を総動員して回そうとした。
「ふん。ヒギィィィーー」
しかし。開かない。何だコレ。
「あれ?あれだけ言っておいてまさか開かないの?ダサ」
妹がちゃちゃを入れてくるが気にしたら負けだ。
「あああぁぁぁぁーーぎぃぃぃーーうぉぉーーー」
私は持てる力を全て振り絞った。
摩擦で肉はそげおち骨もボロボロになっている。
ピキッ。ゴキュ。パカ。
「ヤッタァーーーー」
ついに開けることに成功した。
しかしその代償は大きく右腕は変な方向に曲がっており感覚もなくなっていた。
「どうだ!」
すると妹は
「あれ?これよく見たら空だ。開けたかったのはこっちだった」
と言って別のビンを取りだした。
─その後
実はそのビンは調子に乗った男性を懲らしめるための道具だったらしい。
私がそのことに気づいたのは左手も犠牲にしたあとだった。
【終わらない物語】
今日は会社の新人とお好み屋さんに来ている。
「久しぶりに豚たまでも食べるかな」
注文してしばらくすると店員が料理を運んできた。
店員「おまたせしました。豚は─」
「私です」
バチーン。
返事した瞬間私は店員にビンタされた。
店員「豚は喋らないでもらえますか。汚らわしい」
「え?どういうことで─」
ガッシャーン。
店員は豚たまを床に叩きつけた。
当然グチャグチャである。
「お好み焼きは床に置きましたので豚さんは這いつくばってお召し上がり下さい」
何この扱い。怖い。
そういえば以前先輩がSMオプションがあるお好み焼き屋があるって言っていたような。
仕方がない。
新人には悪いが店を変えよう。
「おい。店をでよ─」
ボキャア。
私が口を開いた瞬間新人に殴られた。手にはメリケンサックが付いている。
新人「家畜風情がさえずるな」
「え?」
その後、私は店員に鞭で殴られながら床に落ちたお好み焼きを這いつくばって食べることとなった。
帰り道
新人「あの店ヤバいっすね。客に暴力を振るうなんて。僕も何度か文句を言おうとしたんですけど相手が女性なもんで言いにくくて、えへへ」
は?
【ありがとう、ごめんね】
休日のある日。
私はいつものようにブリッジしながら修正液を舐め回していた。
「あっあっあああー。浄化されるぅぅーー」
1人で叫んでいると玄関の呼び鈴が鳴った。
「お届けに参りました。ピザF◯CKです」
どうやら頼んでいたピザが来たようだ。
私はすぐにピザを頬張ったが違和感に気づき吐き出した。
これは、、、
「ピザから修正液の味がする!」
ビターン。
ピザを投げ捨て怒り狂った私はすぐさま店にクレームを入れることにした。
店員「お電話ありがとうございます。ピザF◯CKです」
私はすぐに本題に入った。
「あなたの店のピザから修正液の味がしたんですけどなんの嫌がらせですか?」
するとゴミ店員は反論した。
店員「お客様。失礼ですが修正液を飲みながらピザを食べてませんか?」
意味がわからない。
「そんなアホなことやるわけありませんよ。もしそうなら切腹してやりますよ」
店員「分かりました。では今から人を送るので事実確認が出来たら弁償いたします」
ガチャ。
態度は気に食わないがどうやら返金してくれるようだ。
安心した私はしかしふと机の上を見て青ざめた。
机の上に修正液が山積みになってる。
まずい。これでは私がピザに修正液を入れたようにしか見えない。
事実無根だが誤解を与えないためにも早く隠さなければ。
しかし
「ピザF◯CKの調査官です。」
全身武装した男たちがドアを蹴破って侵入してきた。
電話を切ってから約1分後の出来事である。
調査官は私が修正液を抱きかかえているのを発見するとニヤッと笑い日本刀を構えた。
「事実確認完了。刑を執行する」
「いや。これはその違くて、その、話を、、いぁぁぁーーー」
私は細切れにされた。
─後日
ピザに修正液が混入しているという苦情がピザF◯CKに相次ぎ店は営業停止に追い込まれた。