【やさしさなんて】
今日は職場の皆で川遊びに行く日だ。
後輩の高橋を車で駅に迎えに行くとそこには女子用のスクール水着を着た高橋(男)がいた。
モッコリしている。
高橋「あ!先輩来たんですね」
私達が衝撃のあまり口を開けずにいると高橋が勝手にしゃべりだした。
高橋「あれ?もしかしてこの水着ですか?実は着たまま来たほうが効率がいいことに気づきまして。タイパですよタイパ!」
高橋「来るまでに職質に20回ぐらい会いましたけど全部撒いてきたんで大丈夫ですよ」
私「いや、それも気になるけど」
高橋「ああ!なぜ女性用の水着を着ているかですか?これ妹の水着なんですよ。もちろん許可は取ってませんけど、家族の物なんで犯罪じゃありませんよ」
コイツ無敵過ぎない?
私が高橋の才能を職場で生かす方法を考えていると
高橋「とりあえず車に乗りますね」
車に乗ろうとしてきた。
その時、
バチーン。
スクール水着が弾けた。完全にサイズが合っていなかったようだ。
高橋「あ、僕の立派なアレが、、」
そしてたまたま近くを歩いていた警察官に取り押さえられた。
警察官「早くその粗末なものをしまえ!」
それを聞いた高橋は崩れ落ちた。
私達は知らないフリをしてその場を去った。
【眩しくて】
突然だが津波警報が発令された。
おいぼれ老人「大変じゃ、わしの海が。海を見に行かねば」
村の衆「そんな畑みたいに」
そこで私は言った。
私「皆さん。老人のたわごとに耳を傾けてはいけませんよ!」
村の衆「おお!」
ここは皆の憧れである私がビシッと言わないと。
私「な〜にが、わしの海ですか。海はみんなのものですよ。あなたが独占していいものじゃない!!!」
村の衆「そうだ。そうだ」
おいぼれ老人「ぐぬぬ」
しかしこれではおいぼれの体裁も良くない。私は妥協案を出した。
私「ではこうしましょう。みんなで海を見に行くのです。これで平等ですよね」
村の衆「なるほど。賢い。彼は賢者だ」
おいぼれ老人「まぁ、それなら」
そうしてみんなで海水浴に行くことになった。めでたし。めでたし。
ちなみにみんな海に飲み込まれた。
【すれ違う瞳】
ホテルにて
「ふー今日も疲れたな風呂でも入るか」
とはいえ浴槽まで行くのも面倒くさい。
私は火災報知器をライターで炙ってスプリンクラーを作動させた。
「あぁ~きもてぃぃーー」
勢いよく水が吹き出し私は全身に力がみなぎってくるのを感じた。
疲れが全て吹き飛ぶ。
しかし。
バタバタ。ガチャ。
「お客様大丈夫ですか?」
なんと部屋にホテルのスタッフが駆け込んできたのだ。
「え?え?何?」
私は理解が追いつかずしばらく呆然としていたが正気に戻ると怒りがこみ上げてきた。
無許可で入浴中の客の部屋に入ってくるなんて非常識過ぎる。
「くっくるなぁぁーーー」
私は部屋に備え付けてあった消火器で抵抗を試みたが、スタッフも負けじとボウガンで応戦してきた。
長期戦が予想されたその時。
「ぐふぅっ」
私の腹にボウガンが突き刺さり貫通した。即死だった。
後日
ホテルは部屋で小動物が暴れていると思い誤って撃ち殺したと発表した。
完全にホテル側の過失だが、被害者がブサイクだったため特に問題にはならなかった。
【どこ?】
新人教育中。
「そこの右の棚に申請書が入ってるから」
ガラガラ。
私が指示をしていると新人が声を上げた。
「どこですか?入ってませんよ!」
「あっ嘘だったわ。左の棚の間違い」
すると新人が豹変した。
「嘘ってなんですか?先輩は新人にに平気で嘘をつく人間だったんですか?」
え?なに。
「いやそういうわけではなくて、、、言葉の綾というか悪意があって言ったわけじゃなくて」
「悪意の無い嘘なら余計にたちが悪いですよね?見損ないましたよ。そうやって新人をイビって楽しむのが趣味なんですか。時代錯誤もいいところです。僕は騙されませんよ!」
コイツは一体何と戦っているんだ。
「まあまあ落ち着いて」
私は臨戦態勢に入っている新人の肩に手を置き説得を試みたが。
「触るな!」
新人は私の手をはたいた。
「上手くいかなかったらすぐ暴力てすか。これがあなたのやり方なんですね。そんなことだから髪の毛も薄く─」
「あああああああああああああああああああたアタタタタタタタタタァーーーーー」
気づくと私は北斗百裂拳を繰り出していた。
ボロ雑巾のようになった新人は床に崩れ落ちた。
「あんま調子に乗るなよ」
私はその場を後にした。
即日解雇された。
【question】
家。
「あれー?ビンのフタが開かない」
妹が何か騒いていた。
私は仕方なく言った。
「は〜。まったくやれやれ。これだから女は非力で困る。ほれ、お兄ちゃんに貸してみな」
私は妹にビンを借りると持ちうる限りの力を総動員して回そうとした。
「ふん。ヒギィィィーー」
しかし。開かない。何だコレ。
「あれ?あれだけ言っておいてまさか開かないの?ダサ」
妹がちゃちゃを入れてくるが気にしたら負けだ。
「あああぁぁぁぁーーぎぃぃぃーーうぉぉーーー」
私は持てる力を全て振り絞った。
摩擦で肉はそげおち骨もボロボロになっている。
ピキッ。ゴキュ。パカ。
「ヤッタァーーーー」
ついに開けることに成功した。
しかしその代償は大きく右腕は変な方向に曲がっており感覚もなくなっていた。
「どうだ!」
すると妹は
「あれ?これよく見たら空だ。開けたかったのはこっちだった」
と言って別のビンを取りだした。
─その後
実はそのビンは調子に乗った男性を懲らしめるための道具だったらしい。
私がそのことに気づいたのは左手も犠牲にしたあとだった。