『ぐるぐる思考』
ぐるぐる
ぐるぐる
ぐるぐる、
終わることのない
ぐるぐる
ぐるぐる
ぐるぐる、
黒いなにかが
ぐるぐる
ぐるぐる
ぐるぐる、
頭の中に
ぐるぐる
ぐるぐる
ぐるぐる、
「なんで?」「どうして?」
ぐるぐる
ぐるぐる
ぐるぐる、
円環に嵌って
ぐるぐる
ぐるぐる
ぐるぐる、
「無意味」を知って
ぐるぐる
ぐるぐる
ぐるぐる、
行き着いた先は、
ぐるぐる
ぐるぐる
ぐるぐる。
………………。
光。
『ホントノハナシ』
僕は衣替えをしません
おかしいと思うでしょう
衣替えをしないなんてへんでしょう
いい加減変えろと
暑さや寒さで死んでしまうぞと
何度も何度も家族は季節の変わり目に言いました
おかしいと思うでしょう
なぜ変えないのだと思ったでしょう
だけどもう
自分自身どうでも良くなったんです
暑さや寒さを感じてるときが
唯一生きてると感じるから
自分の体をぞんざいに扱っているとわかっていても
唯一生きてると感じるから
ただそれだけなんです
『ココロのケンコウ』
きょーもわたしは げんきです
はーとは どくどくうごいてます
にこにこ えがおいつもどーり
こころは けんこー
まいにち けんこー
だけどあるとき音がした
パラパラパララ
グチャグチャ
ピッ
あれあれ あれれ
変な音
どこかで鳴ってる変な音
はーとの音とは違ってる
不思議な音が響いてる
はーとのどくどく 煩くなって
おめめがお水でいっぱいだ
心チクチク
苦しいの
ねえ。
私
どうしちゃったの…
『案山子の夏』
金色の太陽が山に沈んでゆく
昼間の鮮やかな緑の水田も
今はなんとなく物悲しい色になっている
赤い空にイタズラからす
みんな山に帰っていく
目の前では男の子が走ってる
遠くでポツリポツリと光がみえて
きっとどれかがその子の家
「日が沈む前に帰らなきゃ。」
暗くなってゆく畦道を
少年は走りつづける
イタズラからすは帰っていく。
少年も帰っていく。
だけど僕だけ帰れない
田んぼの真ん中で
両手を広げて立っているだけ
僕の頭の上でいつのか分からない麦わら帽子が
カサカサと風で音を立てている
僕と麦わら帽子。
二人きりの夜はもうすぐだ
『猫』
冷たいコンクリートのビルの隙間
ネオンの光も幽かに差すだけの誰も知らない隙間
その隙間から闇色を纏った一匹の見窄らしい猫が
美しすぎる金色の瞳に疲れ切った都会を映している
猫は光の中に飛び込むわけでもなく
ただ暗がりから街を見つめ
やがて暗闇に吸い込まれていく。
かつて我が物顔で歩いていた気高く美しい猫達は
ネオンに夜を奪われた。
彼らは光も差さない物陰で
街の明かりが消える日を待っている。