『時はピンクと青の狭間』
よくわからないの
貴方の言っている言葉
一緒に過ごした日々が全て嘘で
貴方が本当に愛していたのは私じゃなくて…
どうしてと訊いても
曖昧な台詞が吐き出されるだけ
私そんな
空っぽの言葉を聞きたかったわけじゃないわ
ピンクと青の混ざった
夕の空
その下に黒のシルエット
私と彼
夕焼けチャイムにかき消されて
貴方の声がよく聞こえないの
だから別れようだなんて私の聞き間違え
そう思いたかった
『街が消えた日』
どかーん、と
爆発一つ、二つ、三つ…
真っ暗闇の空から光の雨が降り注ぐ
それが家や地面にぶつかって
どかーん、と
爆発一つ、二つ、三つ…
昨日まで確かにあった
僕の家も
学校も
人も
街も
ぜんぶ、ぜんぶ
どかーん、と
爆発一つ、二つ、三つ
簡単に吹き飛んで消えていった
僕らの3月9日東京
『気ままに旅人』
のんびり気ままに歩いていたら
目の前にある道、ふたつ。
どちらに行こうか考えて、
心のままに道と道の間を
真っ直ぐ歩いてみる。
草をかき分けちょっと傷だらけ
だけどそれでいい。
ちらり横みて左
きれいな石畳のくねくね道
ちらり横みて右
荒れ果てたまっすぐ道
そして戻って前は草の壁
少しかき分け歩いて、またかき分ける
大変な道だけど、ほら。
きれいな花を見つけたよ。
気のゆくままに歩いて行けば
どんな道でも、道でなくとも
不思議といいことはあるもので。
だから僕は気ままに旅人。
『わたしをみつめて』
誰かは言った。
見つめられると
怖くなる。
誰かは言った。
見つめられると
嘘がつけなくなる。
誰かは言った。
見つめられると
ちゃんとしなきゃと思う。
誰かは言った。
見つめられると
嬉しくなる。
あなたの見つめる先には
どんな人がいるんだろう。
そう思いながら
わたしはあなたを見つめる
『朝露』
さらさらと
少し冷たい風に押されて
細く長い尾を風に靡かせる
ススキの群れ
ゆらゆらと
揺れるくすんだ金色は
いつまでも変わらない
秋の景色
ぽろぽろと
項垂れた姿に伝う雫が
小さく朝焼けの渦をうつしては
静かに、落ちた。