【お題『星空の下で』】
今日は叔父様とキャンプに来てます。
天気は快晴で、星空が綺麗に見えるスポットを取ることが出来ました。
星空の下、焚き火を囲んで。私はココアを、叔父様は珈琲を飲んですごしていました。
叔父様は元軍人故の筋肉質で、服の上からもわかるくらいに大胸筋の辺りがしっかりしています。
性格はのらりくらりと昼行灯な叔父様で、いつものんびりだらだらと過ごされる方。
その叔父様の事が、私は好きで。
「星が綺麗ですね」。と、意味を込めて言ってみました。いつか見た小説の1文を思い出しながら。
緊張で声が裏返ったかな、震えてしまったかな、とドキドキしながら叔父様の反応を待ちます。
「うん、綺麗だねぇ」と叔父様は珈琲を1口呑んだ後へらりと返しました。
やっぱり、意味とかは伝わらないかな…としょんぼりしたその瞬間でした。
「…君と夜明けの明星を見たいくらいだ。」
え、と振り向いたその瞬間、叔父様の顔は至近距離にあって、信じていいのですか、と聞くと、叔父様は猫のようなお口を優しく微笑ませてこう言いました。
「信じていいさ。オジサンは最初からそのつもりだったんだから。」
そして、チュッ、という音と共に、
叔父様の珈琲の味が口いっぱいに広がりました。
【今日のお題 『見つめられると』】
陽だまりの書斎の中、本を読むおじ様。
おじ様は本を読むだけで絵になってます。
ぺら、ぺらり。
ページを1枚1枚、垂れ目で見つめていて、
時折考えるように、山羊のような顎髭をひと撫でしては、ゴツゴツとした筋肉質の男性らしい手でまたページをめくる。
そして時折、猫のような微笑みを常に浮かべてる口が口角を上げるのです。
私はこの陽だまりの、珈琲と煙草の香りを纏った部屋の、特等席のロッキングチェアでおじ様を見つめるのがお気に入りの日課です。
ぼーっと、おじ様を見つめる至高のひととき。
とても幸せで、とろん、と蜂蜜みたいに心を蕩かせていたら、おじ様が本をぱたりと閉じました。
そして、私に近づいて、私の頬を撫でながら目を合わせて一言、カラカラ笑いながらこう言った。
「可愛いお嬢ちゃんだな…そんな見つめられたら、おじさん、穴が空いちまいそうだよ」
じっ、と今度は私が至近距離で見つめられる。
でもその目は蕩けはしておらず、狼がうさぎを食べたがっている目だと、私は気がついてしまった。
私はなんだか恥ずかしくなって、ぎゅっと目を閉じた。
カチリ、という秒針の音の後、
おじ様の煙草と珈琲の味が私の唇に触れた。
【今日のお題 ないものねだり】
カツ、カツ、カツ…
今日も軍隊の方の見回りが始まったみたいです
私は急いでお気に入りのミントグリーンのワンピースと白いエプロンを身につけて、くるりと姿見の前で全体を見て、パタパタとお気に入りの窓際へ。
そこからとある将軍様が、家の庭仕事するのを見るために。私はいつもの窓際へ。
つる性赤薔薇で縁った窓から、子猫のように期待して、そっと外を見る。
いました。敷地の向こう、道路を挟んで向かい側。
やぎ髭のおじ様。
おじ様はいつも柔らかな、暖かな方。
でも使えてる兵士様は言います。
「昼行灯に魅せてるだけだ」と。
きっと嘘だわ、と私は思うの。
だっておじ様は、
薔薇の手入れがお上手で、煙草を嗜まれるけど淑女の前では吸わなくて、誰より優しい目をしてて…
そして何より、
愛妻家の家族思いでいらっしゃるの。
でも、でもね?
好きになってしまったの。私。
おじ様のこと好きになってしまったわ。
ないものねだりとわかっていても
「おじ様の奥様になれたらなぁ」と、
そう思うくらい、
あぁ、私はあの方がすきなのです。
怪盗としての仕事を終えて、彼女に会いに行く。
あぁ、自己紹介と説明をしていなかったね。
僕はアルセーヌ・ルパン。史実ではフランス?って場所を舞台に活躍したらしい。
らしい、って言うのは、僕はこの世界に「守護者」という存在として召喚されたから。
この世界での表稼業は手品師。裏稼業として怪盗。そして、本業として「守護者」をしてるんだ。
僕は「ありとあらゆるモノを盗む」能力を持ってるよ。盗み方は企業秘密だけどね。
あ、僕って言ってるけど、僕は男にも女にも、「どっちも」にもなれると思ってくれ。
僕のいる世界では、人間の負の感情や欲望が具現化しちゃうんだ。それらをナイトメア、と呼んでる。で、ナイトメアは「純粋な心」を食い荒らして、力をつけて増殖する。それを食い止めたりやっつけたりするのが「ガーディアン」。で、ガーディアンのための相棒として、僕みたいな「守護者」が召喚されるんだ。
さて、ナイトメアは………あぁ、やっぱり発生していたね。全く酷いな。僕の相棒権召喚者の彼女を狙うなんて。
……彼女の夢が醒める前に、このナイトメアを盗んであげなくちゃね。
深夜1時、僕は夜空を舞う。
今回の仕事はレフィティール美術館に特別展示されているサファイアの首飾りを盗むこと。
作品名を「BlueMoon PhantomThief」
大粒のサファイアをメインに、高品質のタンザナイトとダイヤモンドが装飾されている。
なんでも、この僕の報道を見て作成したらしい。
作者は『ぜひ、私の作品をかの怪盗に盗んで頂きたい』と新聞記者に語っているほどの僕の大ファンだ。なら、僕はその期待に応えないとね。
監視カメラや警察の目をくぐり抜け、あっさりとお目当ての首飾りにご対面し、簡単に盗めた。
僕は知っていた。
ここからがショーの始まりだと。
スポットライト代わりのサーチライトが僕に注目した。
警察官達が一斉に構えの姿勢をとる。
高まる胸の鼓動を抑えながら、僕は警察達に笑顔で挨拶をした。
「ご機嫌よう。警察諸君―。」
さぁ、ショータイムだ!