モノクロの意味、知ってる?
…白黒なこと?やっぱそう思うよね
でも違うらしいよ?
実際は、色に限らず、ただただ単色で構成された写真とか絵のことらしいよ
白黒なのはモノクロームらしい
…誰が、言い出したんだろうね
モノクロとか、モノクロームとか、人間って何にでも名前をつけるよね
神にでも、なったつもりかな
永遠なんて言葉があるけれど、本当は永遠なんてなくて
何事にもいつか終わりが来て、跡形もなく消え去ってしまう
今までのものが嘘のように、霧のように、なくなってしまう
だから、「永遠」なんて言葉にも、終わりが来る
永遠の愛を誓ったって、永遠の約束をしたって、その永遠には、終わりが来る
だから、この世に永遠なんて、本当はない
ない、けれど。
僕が生きている間は、永遠という嘘を、信じたい
僕の人生の終わりと共に、僕が誓った永遠も、終わるけれど
今この時だけは、永遠を誓いたい
涙の理由は、聞いてほしくない
かっこ悪いし、できるだけ涙は隠してたかったのに
こんなふうに君に見られるとか、最悪だよ
そんな私に、君は楽しそうに笑いながら
「そんなに感動しちゃったんだ」
って言ってくる
「だって仕方ないじゃん!あんなふうに死んじゃうなんて…主人公が可哀想だよ!」
「この映画でそんな泣かないよ」
笑いながら、それでも幸せそうな眼差しで見つめてくる君の顔を、私は見ることができなかった
あなたはコーヒーが好きだった
カフェに行っても、このコーヒーはどうとか、このコーヒーはこんなのとか、よく話していた
そんなあなたに染められて、私の家に置いてある銘柄も、あなたがいちばんのお気に入りだ
あなたが出て行っても、コーヒーの好みだけは残っていた
でも、偶然カフェで見かけたあなたは、別の女と時間を過ごしていた
その手元にあるのは、紅茶だった
コーヒーなんて、どこにも見当たらなくて、女と話しているのは、紅茶の話
この紅茶、香りがいいねとか、でも前の紅茶の方が大人っぽい味だったよねとか
もう、あなたの中のコーヒーの熱は、冷めてしまったんだ
私のコーヒーの熱は、いまだに冷めない
あなたが大嫌いでも、コーヒーだけは、嫌いになれない
時計の針が、一定の間隔で進む
時の足音が、静かな部屋に響き渡る
その部屋に一人、仰向けになっている私
電気もつけずに、ベランダから入る風に包まれている
陽が落ちてきて、少しづつ空気が冷めてきた
目線だけを時計に映すと、17:26ごろを指していた
時計の針が重なっていて、一瞬短針が取れたのかと思った
そうか、もう、夕飯の時間か
そう意識した途端に、お腹が空いてきたと感じる
ゆっくり体を起こして、台所に向かう
…冷蔵庫の中になんかあったっけ