初めて一人で旅をした
君が自分勝手に予定して、計画して、つくった旅行計画
それを実行する前に、自分勝手にどこかへ行ってしまった
自分勝手で、自己中で、最低だった君が、最後に残したこの計画
それを、実行してみた
その計画は、時間とか、休憩場所とか、いろいろ細かく調べられてて
結構私のペースに合ってて、私のことを考えてくれたのがわかったんだ
本当は私を思ってくれてた君は、もう隣にいない
勝手に出て行ったって思ってるけど、本当は私に原因があったりして
まぁ、そんな君とはもうサヨナラしよう
感傷に浸りながら、君を想いながら、心を整理しながら
この旅は、君を思う、最後の時間だ
君と見上げる月は、一人で見上げる月より暖かい
いつもは涼しげな光をしているのに、君がいると暖かく輝いている
これは、君の魔法かな
それとも、君は本当は月の住人だったりして
理由がどうであれ、今は君と月が見られる幸せを噛み締めていたい
君がいなくなってから、世界は色褪せて見えた
空の青さは眩しすぎて、外に出ることが嫌になった
行き交う人々の目が怖くて、誰にも会いたくなくなった
君がいたから、僕の心のピースが埋まっていた
それがなくなって、僕の心には空白ができた
君は、僕の人生を、つくっていたんだね
19:00の電車を待つ
この時間の空は、向こうが何も見えないほど暗く、周りでは虫の音楽が奏でられている
誰もいない無人駅で、一人イヤホンを付けて待つ
こうして一人で電車を待つのも久しぶりだ
少し前まで隣にあった熱が、まるで幻のように消えてしまった
夜。誰もいない駅にひとりきり。
今までの暑さが嘘のように、ぬるい風がホームを冷やしていく。
心も、体も、冷えてゆく。
廊下ですれ違っても、同じ教室にいても、朝の電車で見かけても、部活に勤しむ姿を見ても、何も思わなかった。
今までは。
今では、あなたを見かけると、自然と目で追ってしまうし、一挙手一投足に注目してしまう。
髪を撫で付ける仕草。寝癖なんてないのに、髪型を気にしていてかわいい。
真剣に話を聞く姿勢。緊張感を感じさせないけど、失礼でもない、不思議な姿勢で、おもしろい。
太陽のように笑う顔。あなたが笑うと、空気が温まって、すごい。
じっと観察していると、顔を上げたあなたと目が合った。その瞬間に、あなたは微笑んだ。
初めて知る、初めての表情。思わず顔を逸らす。
そんな私に、あなたは近づいてきて、「どしたん?」って、笑顔で聞いてくる。
恋は、今まで何も感じていなかった人に、フィルターがかかったように感じさせる。
好きで好きで、たまらない。