「お前には『才能』がない」
「そんなこと、『夢物語』だろう」
「お前がする『べき』ではない」
もう、聞き飽きた
周りの、自らを「平凡」と思っている大人は、僕のことも仲間だと思い、僕が「非凡」になることを恐れている
前に進もうとする足を掴み
背中にしがみつき
腕を掴んで別の道へと引き摺り込む
皆が思う、「平凡」の道へと、連れ去っていく
その重さに抗い、邪魔するもの達を振り払い、皆が語る「夢物語」を叶えるのは、折れることのない心だ
さあ行こう
その、確かな気持ちを持って
どんな辛いことがあっても、周りの人々が足を引っ張ってきても
君の未来は、君自身で掴むものだ
そうだろう?
昨日の雨は止んだが、厚い雲が空に浮かんでいる
空気が冷たいことから、雨が止んで間もないとわかる
厚い雲を縁取るのは、真っ白な暖かい光
湿気が重く、思わずため息をひとつ
足元の水たまりには、波ひとつなく
空がそのまま閉じ込められてるようだ
グッと、錆びた体を伸ばす
今日『も』、雨上がりだ
友達は言った
まだ付き合っていない相手を思い浮かべて、通常状態の自分と違う自分がいたら、恋だ、と
また別の友人は言った
親密な関係になった相手を想って、あたたかい気持ちになったら、それは愛だ、と
でも、ネットに人々、顔も知らない誰か、すれ違った他人は、全員、全く違うことを言う
結局どれが正解?
もしかして、それは、恋でも、愛でもなくて…
約束だよ
『約束だよ、ほら、小指出して』
ゆーびきーりげーんまーんうそついたらはりせんぼんのーます ゆーびきった!
そう言って、笑い合った昔のあの頃が懐かしい
もう、こんな子供騙しの約束なんて、する年じゃないし、信じてもいない
でも、君との約束は、いまだに覚えている
まだ君を信じてる自分が、苦しくてしょうがない
雨が降っている
周りには、色とりどりの傘が広がって、それぞれの道へ進んでいく
僕はその中で、立ち止まったまま
君は、もう先に行ってしまった
別の人と、傘をさすために
強くなる雨
僕の心には、傘をさしてくれないの?