君の顔は、いつでも綺麗だった
君の体は、どんな時も美しかった
君の仕草は、どんなものでも流麗だった
全部、見てきたから、言える
でも、君の心は、見えなかったんだ
君の心をのぞこうと思っても、いつもカーテンがかかってるみたいに、影は見えても、本質は見えなかった
君が何を考えているのか、何を思っているのか、何も見えなかった
静かな空気が漂う僕の部屋で、夕焼けに染まった白いカーテンがふわりと揺れた
もう、君の心を見たいと願っても、叶うことはない
自分にとって、一番楽な姿勢で
目をそっと閉じる
視界は暗闇
自分の体が、下へと沈んでいくイメージ
ずるずると身体が引き込まれていく感覚
みえてくる
自分の心の色
真夜中の海のような色
暗闇、底がないような深さに、恐怖を感じる
だんだん、息苦しくなってきた
目を開ける
青い世界
すぅーっと、青色が引き、いつも通りの日常が見えてくる
また、自分の日々に戻ってきた
次は、何色が見えるのか、どこまで見えるのか、少し想像してみるが、何も見えては来ない
さて、明日の予定は何だったかな
はぁ…暑すぎる…
ついこの間まで、まだ肌寒かったでしょ?
気温の変化に、体が悲鳴をあげてるし
異常気象じゃない?
報道ではあんまり言われてないけど、熱中症で倒れてる人とかめっちゃいるらしいし
何でこんな時代に産まれちゃったんだろうな
…でも、こんな時代だから、みんなに出会えたんだよな
そうやって出会えたみんなと、この大変な時代を過ごしていくんだな
…そう考えたら、ちょっと悪くないかも
でも暑いのはどうにかしてくれ?
別れの言葉は、何もなかった
さよならとか、幸せになれよとか、少しくらい言うと思っていたけど
何も、言わなかった
そのせいで、君の最後の言葉は、「お前さえいなければ」になった
君は最後に、私の心を重い鎖で縛りつけたんだよ
君は私を愛してくれない
わかってる
いや、わかっていた
でも、君が優しくしてくれる時、
はじめて、君の愛を感じた
ほんとに小さな、蟻ほどの愛
その愛が、病みつきになった
その愛をくれる時、あなたの視界には、私だけがいる
快感だった
でも、そんなちっぽけな愛だと、足りなくなった
だから、君が、本当に私だけを視界に収めてくれるように
あなたを殺した