この世の生き物は、みな平等に、生と死を持っている
この世に生まれ、何年か生命活動を行い、自分の所属する社会の中で活動し、そして死ぬ
長さは違えど、いずれ死はやってくる
僕にも、君にも、いつかはやってくる
人として生まれ、僕として生き、いつか死ぬんだ
スゴロクみたいに、ゴールまで後どのくらいなのかはわからない
あと一の目が出たらゴールかもしれないし、まだ何百回かサイコロを振らなきゃかもしれない
でも、ゴールに着いた時に、喜べるように
あぁ、やっとゴールに着いた。頑張ったな。もうゴールでいいや。終わり終わり。って、言えるように
今日も僕は生きる
生きて生きて生き抜いて
そして、満足して死ねるように
あぁ、イライラする
起きてなきゃいけないのに眠いし
二次方程式とかわからないし
なんで眠い頭でわからないことを考えなきゃいけないのかもわからないし
やばい、このままいると本当に寝る
なんか別のことを考えよう
えーと、うーんと、えーっと
よし、数学のことしか考えられない
もう最悪寝るコース確定じゃん
…今更だけど、元カレは眠いのかな
あいつ、なんでもできるからな
眠いとか感じずに、ずっと活動してるんじゃないかな
てか、なんで別れたんだろう
気配りもできるし、優しかったし、尽くしてくれたし
あれ?超優良物件じゃね?なんでフッたんだろ
…愛してはいたかな…でも、恋って感じじゃなかったな…
恋心とかなかったような気もするな
いや好きだったけど、別に恋ではなかったな
愛と恋は、常に一緒にいなきゃいけないのかな
…やばいまた眠くなってきた
やっぱ授業受けてた方が目覚めるわ
…あ、そう言うことなんだ、やっとわかったわ
秋の訪れを感じる
この季節の人々は、人の温もりを求めて恋をしたくなるらしい
肌寒さによって、心も寂しく感じて、温もりをくれる誰かを求める
人間の心理らしい
まぁ、わからんでもない
寒いとなんか寂しい気がするし、人を求めるのもわかる
でも正直、友達とか、家族とか、その辺の人でいいかなとか思っちゃう
そんな僕は、もうしばらく、恋とは無縁だろうな
とか思いながら、今日も友達に飛びつく
人の温もりを求めて
日中の騒々しさが嘘のように消える
時刻は午前2時30分
車は一台も通らず、人一人すらもいない
夜だと言うのに、過剰なほどに置かれた街灯によって昼間のように明るい
上を見上げても、視界に入るのはビルのてっぺんとその隙間の空
星も月も見えない
僕が歩くと、足音が響く
こつ、こつ、こつ、石畳に踵を打ちつけて進む
今もどこかで、騒々しい世界で生きている人はいるけれど、僕は今、静寂の中心で歩いている
それがなんだか不思議でくすぐったい
静寂の中心で生きる人々は、また騒々しい日々に飲み込まれていくだろう
騒々しい日々にもみくちゃにされた人々は、静寂の中心へ向かっていく
その、繰り返し
出会いと別れ
喜びや悲しみ
衝突に和解
再開とまた別れ
僕の人生は、これらの繰り返し
いつもそばに誰かがいる
誰かがいる限り、僕の旅は続く