冬華(トウカ)

Open App

虹の始まりには、死者たちが集うらしい。
虹の橋が、天へと続く橋として向こう岸へ渡る前に、自分の後悔を悔やんだり、最後にこの世界を見たり、満足そうに座って待っていたり。
魂それぞれが、それぞれの最後の時間を過ごす。

大切なあの人は、ベッドの上で、あれがしたかった、これがしたかった、まだ死にたくないな、と、後悔を口にしながら、それでも幸せそうな顔で行ってしまった。
あの人は、後悔があるのだろうか。
それとも、この生に、満足したのだろうか。
僕との生活は、どうだったのだろうか。

今すぐ会って、話したい。
虹を探して空を見上げても、そこにあるのは、ギラギラと照りつける太陽だけで、虹なんてあるはずもなかった。

7/28/2025, 11:47:34 PM