冬華(トウカ)

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4/3/2025, 4:17:28 AM

下を向いて歩く
灰色の、硬く冷たい地を感じる
前を見て立ち止まる
赤い光を眺める僕の前を、黒や白の鉄塊が通り過ぎる
俯きがちで歩き出す
周りの足音に追い立てられて、少し早歩き
しばらく歩く
灰色の視界
ふと上を見る
蒼く、深く、清々しく広がる空

俯くんじゃなくて、少し前を向いて歩いてみようかな

3/15/2025, 6:56:42 AM

君を探して、何年経ったのだろうか

君があの書き置きをのこして、どこかへ消えてしまってから、僕は君をずっと探している
会社も辞め、家も売り払い、全財産を持ち、世界を旅するようになった

しかしどこへ行っても、君を見たと言う人や、君を知っている人は、1人も見つからない


もうお金もなくなり、どこかも知らない場所を歩いている
腹も減り、喉も渇いた
目の前が朦朧としてくる
気づくと、地面が目の前にあった

重たい頭を持ち上げて、前を見てみると、さっきまでの荒れた地面とは変わって、青々しく草が茂り、紅い花がところどころで咲いている、綺麗な場所だった

奥には白いワンピースを着た、髪の長い女性がいる
その人が振り向いた時、君のいなかった、今までの、何もない、重苦しい日々から解放された気がした


女性に微笑み、ゆっくりと立ち上がって、ゆっくりと歩いて近づき、優しく、抱きしめた


あぁ、こんなところにいたのか、探していたんだよ

君が、笑っていた気がした

3/13/2025, 11:20:27 AM

僕が言った言葉は、空気に溶けていく
僕が思った感情は、誰にも知られず朽ちてゆく
僕が感じた思いは、気づかれることもなく消えていく

僕が何を言っても、何を感じても、何を思っても、誰にも影響を与えず、何事もなかったかのように元に戻る。いや、形が変わることすらないのかもしれない

そんな僕は、誰が見ても、何も見えない
透明なんだろうな

3/11/2025, 11:24:45 AM

暗闇に浮かぶ、一等星のような
暗い夜空を彩る、小さな星たちのような
人々の道標となった、北極星のような

それが、僕にとってのあなただった
僕をその輝きで照らしてくれて、僕の道標となり、神秘的な光を放つ存在だった

でも、喧嘩して、すれ違って、仲直りもろくにせず、なんとなくの距離感でいた君を、星とは思えなかった

僕にとっての今の君は、道端に転がっているようななんでもない小石で、鬱陶しいと感じるような雑草で、変わり映えのしない理解できない絵画のようだ

君を追いかけることはもうやめてしまった
君を追いかけていると、自分が自分でいられなくなってしまうから


君とは、もう分かり合えない

3/6/2025, 11:00:30 PM

人の思いや想いを運ぶ風とか
春を運ぶ風とか
希望を運ぶ風とか
温もりを運ぶ風とか

風は、たくさんのものを運ぶ
…と言うわけではない

風が運ぶのは、というより、風は、空気を運び、冷たさを感じさせるのだ
人の気持ちとか、希望とか、温もりとか、季節とか、そんなものは、運べない

…これが現実、これがリアル、これが真実

これを知って、僕は心底絶望した
風のことが好きだったのに、風に希望を持っていたのに、風の奇跡を信じてたのに


でも、僕がこの真実を知って、絶望したところで、世界は変わらず回って、人生は進み、風は変わらず吹くんだ
僕って、ちっぽけな存在だよ

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