10年後の私から届いた手紙
10年後の私から、手紙が届いた。
なんでも、10年後には、お金を払うと過去に手紙を届けることができるらしい。
10年後の私も、、10年前に手紙が届いたらしく、しかし、すぐに捨ててしまい、人生に失敗したらしい。
借金はないものの、毎日苦しい生活を送っているんだとか。
読み進めると、10年後はどんな世界だとか。円安がすごいとか。戦争が始まりそうだとか。地球温暖化は止まらず、ずっと暑くなっているとか。そんな内容だ。
しかし、私は誰かの悪戯だと思った。
「なんだこれ」
私はそう言って、まるめた後、ゴミ箱に投げ入れた。
ゴミ箱の淵に当たった手紙は、「カコン」という音を立てて、そこに落ちていった。
人生は、未来から何かしても、変えることはできないということをテーマに書いてみました。
過去は、変えられない。じゃあ、何を変えるのか。
今の自分しかないでしょ。今のサボり癖とか、生活習慣とか、改善して、未来に繋げるしかないでしょ。
過去は変えられない。未来はわからない。変えられるのは、今だけですよ。
「はい、これ」
はぁ、ぶっきらぼうになってしまう。もっと優しい言葉で言いたいのに
「おう。ありがとよ」
あぁ、乱暴な言い方。なんでこうなっちゃうんだろ。
「ありがたく食べてよね」
違うのに。言いたいのは、こんなことじゃないのに。
「もらったんだし、そりゃ食べるわ」
あぁもう。なんでこんなふうになっちまうんだ。
言いたいのは、こんな乱暴な言葉じゃなくて。
伝えたいのは、こんな酷い言葉じゃなくって。
「好き」の一言なのに。この距離が壊れるのが怖くて、その一歩が踏み出せない。
ホワイトデーには、言ってくれるかな。
ホワイトデーには、言えるかな。
「あなたが好き」
皆さんは、もらいました?僕は…どうでしょうね。
まぁ、もらってももらってなくても、個人的には、本命じゃなければどうでもいいです。お返しはしますけどね。
まぁ、今日2/14、お疲れ様でした。
ハッピーバレンタイン
待ってて
ねぇ、待ってよ
なんで置いていくの?
君はいつもそうだよ
「先に行ってるよ!」って走ってく
私と一緒に歩いてよ
走らなくていいから
ーそんなふうに考えていたー
今までの私は、そうやって思ってた。でも、違う。
大人の世界では、置いてかれるのなんて当たり前で。
自分が走らないと、必要とされなくなって。
誰かと一緒に、なんて、甘い考えは通用しなくって。
君は、一足先に大人になっていたんだね。
私を置いて、自分は大人の世界に。
だから、君は私の前を走っていてね。
あの時みたいに子供じゃなくなった私は、走ってる。
いつか君に追いつくために。
そして、追い抜いて。君に言ってやるんだ。
「先に行ってるよ!」って。そして、私は走るんだ。
私だけのゴールを目指して。
周りのみんなも、それぞれのゴールを目指してる。
その道のりで、交わって、仲良くなる人もいるかもしれない。
でも、その人にはその人のゴールがあって。
私を私のゴールに運んでくれるわけじゃない。
自分のゴールは、自分で辿り着かなきゃ、一生着くことはできない。
その道のりで、辛かったりしたら、立ち止まって、助けを求めてもいいから。
最後に立ち上がって、ゴールにつくのは、自分。
人と関わっても、自分自身がやり遂げなきゃ、たどり着けない。
さぁ、立って。君のゴールはまだまだ遠く。だからこそ、頑張るんだ。
さて、立てたね。強い人だ。えらいぞ。
じゃあ、お互い頑張っていこうか。
「先に行ってるよ!」
君に、伝えたい。
僕の、冷めることのないこの想い。
どうやったら、君に伝わるだろうなぁ。
そんなことを考えながら、今日もまた1日が終わる。
君に伝えられる時間も、だんだん終わっていくことに、僕はまだ気づいていなかったんだ。
この場所で
『10年後!また、この場所で会おう!』
そう言った君は、10年後になった時も、20年経った今も、この場所にはいない。
君は、どこに行ってしまったの?
あの時の約束は、どうなったの?
君がいない春がやってくる。きっと、来年も、再来年も、10年後も。この場所には、一人の春が訪れる。
俺は、何をしているのだろう。そりゃ、10年前の約束なんて、覚えてないだろうし、もっとたってしまった今、君がくるはずもない。
「何、やってんのかな。俺…」
目の前に咲く満開の桜。なんでも、樹齢500年を超えるらしい。
立派に咲く恋色の花を見上げる。さぁ…と、風が吹き抜けて、花弁を運んでいく。
君の元へ届くかな…なんて、考えながら、ぼーっと、眺める。
隣に誰かがやってきた。
「綺麗ですよねぇ、この桜」
話しかけてきた人は、懐かしそうな目で桜を見ている。
「えぇ、本当に。ここで、20年も前の約束のために、毎年やってきてるんですよ。馬鹿ですよね、俺も」
いつまで経ってもやってこない君を思いながら、そんなことを呟く。
「えぇ、本当に。馬鹿ね、あなたも。約束を守るところなんて、変わらないんだから」
泣きそうな声で、馬鹿だと言われたが、彼女の発した言葉に反応して、勢いよく隣にある顔を見る。
そこには、20年前とは大人びて、変わってしまった顔が、20年前と変わらない子供っぽい笑顔を浮かべて、笑いかけていた。