冬華(トウカ)

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2/4/2024, 12:54:38 PM

君とのキス。
どこまでも、甘いキス。
ねっとりした、甘いキス。

声が漏れる、上擦った、高い声。
「んッ、はぁッ」
私の声じゃ、ないみたい。こんな声、なんで出るの?
頭がぼんやり。気持ちが昂る。

いつも、あなたの思うまま。掌の上で、コロコロ転がされてる。

あぁ、ダメだとわかってるのに、君が、クズだとわかってるのに、

このKissで、どこまでも堕ちていく。

2/3/2024, 10:54:36 AM




君と僕、僕と君。
ずっと、ずーっと、いつまでも?
僕の隣は君のため。君の隣は、僕のため?
人生100年?死後100年?2度目の人生も100年?
どこの世界を過ごしても、どれだけ時が経とうとも。
ずーっと一緒?どこまでも?
君は応えてくれるかな?
「1000年先も、いつまでも」

2/2/2024, 11:23:42 AM

花屋さんによる。今日は彼の命日だ。
花を見ていると、あまり見慣れない花の名前が目に入ってきた。
「勿忘草(わすれなぐさ)」
その花が綺麗で、じっと見ていると、店員さんから声をかけられた。

「勿忘草、綺麗ですよねぇ。何度見ても綺麗で、私の一番好きな花なんですよぉ」

おっとりとした喋り方で話しかけてきた店員の話を、勿忘草から目を離さずに聞く。

「あ、あと、花言葉も綺麗で、好きなんですよねぇ」

「…なんて、言うんですか?」

花言葉。その言葉を聞くと、気になってしまう。

「えっとぉ、『真実の愛』、『誠の愛』、あとはぁ…あ、『私を忘れないで』っていうのもありますよぉ」

『私を忘れないで』と言う言葉が、天国にいる彼への、私の大好きな彼への想いと重なる。

「…これ、ください」

「はぁ〜い。どなたかに送られますかぁ?」

「彼の、お墓参りに行こうとしてまして。あ、あともう何本か見繕ってください」

それを聞いて、少し悲しそうな顔をしたあと、花を選び始めた。

「…大好きだったんですねぇ、彼氏さんのこと。そんな人に愛されて、きっと幸せだったんでしょうねぇ…」

「…どうですかね、そうだといいのですがね」

そして、カサカサという、ビニールで花を包む音が、静かな、いろんな花の香りがする店内に響く。

「…お待たせしましたぁ」

「綺麗…」

とても綺麗に仕上がった小さな花束。彼にちょうどいい。穏やかな明るい色が、勿忘草の儚い色を引き立たせている。
まるで、あいつみたいな雰囲気のする花束だ。

「…私も、人が泣いてくれる花束を作れるようになったんですかねぇ…」

そんなことを呟いたので、私は、泣きそうになっていたのを誤魔化すように、「ありがとうございました。またきます」といって、お金を置いた後、店を後にした。

澄んだ青空、だんだんと暖かくなっている空気。お墓の間の道を、ゆっくりと進む。

彼の寝ているお墓の前にしゃがんで、丁寧に花を生ける。

「…私を、そっちでも、来世でも、その次の世界でも、忘れないで。なんて、わがままかな」

ひとりで呟く。手を合わせて目を瞑る。ぬるい風が、私と彼の間を通り過ぎる。
優しく包み込むような風に、彼の存在を感じた。
目を開けても、君はいないし、私の独り言に答えてくれるわけでもない。もう一度、目を瞑ってから、「またね」と一言。彼に背を向けて歩き出した。

2/1/2024, 11:52:05 AM

仕事の帰り道、何を考えたのか、いつもより遠回りして帰った。

道の途中には、小さな公園がある。
ベンチが三つ並んでいて、花壇が公園を囲んでる。今は寒くて何も咲いてないけど、春になると何かの花が咲く。
公園の中心には一台のブランコ。

あれを二人で漕いでいた。あの子に恋をしていた。

二人並んで、きぃきぃと鳴くブランコを、青空に飛び出していきそうなくらいに漕いだ。

久しぶりに腰をかける。ギィ…と鳴くブランコ。私たちが歳をとるように、ブランコも、歳をとるみたいだ。

空を見上げると、藍色の空に、白く瞬く星が散らばっている。

あの時とは違う空。あの時とは違うブランコ。あの時とは違う私。

あいつ、元気かな。まぁ、どこにいっても元気だろ。
そんなふうに昔の記憶を思い出して、空を見上げながら穏やかに笑う。

一つため息。ゆっくり立ち上がる。キリキリ…と、チェーンが擦れる音がする。

このブランコは、来週で取り壊されるそうだ。あいつとの思い出も、これでなくなる。

空から見ていて。ブランコに乗りながら。あの頃のように、笑顔でさ。私も、あとちょっとで、そっちに行くから、その時は、あの頃のように、10年前のように、ブランコに並んで座ろう。

約束だ。そう言って、ブランコの前に立つ。一瞬だけ、笑うあいつがブランコに座っているのが見えたのは、気のせいだと思う。

1/31/2024, 12:02:59 PM

旅路の果てに
この世に「生」というものを受けた時から、旅は始まっている。

生まれた時は、目の前に、無限の選択肢が広がっている。
しかし、一度この道を進む、と決めると、どんどんと選択肢は減っていって、最後に辿り着くのは、「死」という旅の終わり。

これは、みんなそうだ。
人の旅路は、それぞれの人生。その道を、どんな選択をして、どんな路を通っていくのか。みんなの自由だろう?
親、先生、おじいちゃん、おばあちゃん。みんなは、長い長い旅路を、歩んできた先輩の旅人。その人たちから、何を話してもらうか。
「このルート、楽しいよ!でも、これは大変だったよなぁ。」
「大変な旅になるぞ。心して挑め。」
「一緒に、この路を歩まないかい?」

そんなふうに、旅の思い出話や、旅の誘いを受け取って、僕たちは旅路を決める。
「お前はこっちに進むべきだ。」「こっちにしなさい」
とか、強制されちゃダメだ。みんな、自由な旅をしていかなくちゃ。一度きりの旅だ。楽しめ。


僕ら、生きとし生けるもの全て、「生」という名の旅をしている。それぞれの旅の先で、最後にたどり着くのは「死」という旅の終わり。
しかし、その途中であった、まだ若い旅人は、その先輩旅人の思い出話を忘れることなく、自分の旅の糧にしていく。

君の旅は、自由か?誰かに、何かを与えたか?
君の旅は、どんな旅だろう。聞いてみたい。
この思い出話が、旅路の果てにたどり着いた時、俺の旅路は、充実していた、そう感じるための種である。

そう、「生」というのは、長く、そして短く、儚い。自分の、自分だけの、旅路なのだ。

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