夜。今日も今日とて疲れた。ということで、さっさと寝る。
ベッドに潜り込むと、すぐに眠気が襲ってきて、体が宙に浮くよう。
そして、目を開けると、そこには満点の星空。そこにいるのは私だけ。
私だけが、この景色を見ている。
深く、落ち着く藍色の空に浮かぶ、白い無数の点。
少しひんやりした風が、そよそよと優しく吹いている。
あぁ、心地よい。ずーっと、浮かんでいたい。
そこで、うとうとし始めると、急に手を掴まれて、空に引き摺り込まれる。
私はそれに抗う暇もなく、藍色の空に吸い込まれて、目を開けると、朝日が目に飛び込んできた。
今日という日が始まった、ということだ。
それを感じて、少しストレス。だけど、見た夢の心地よさを思い出して、微笑みを浮かべた。
今日が、どんなに辛くとも、苦しくとも、私は夢を見る。その夢の中にずっといたいけれど、それは叶わない。
だったら、その夢を楽しみにして、今日を過ごすだけだ。
「行ってきます!」
私の声が、真っ青な空に響き渡る。
ずっとこのまま
ずっと、このままでいられたらいいのに。
君が隣にいて、寄り添って、二人のぬくもりを抱きしめあってる。
ずっと、ずーっと、永遠に、こうやって、できたらよかったのに。
君は、目の前で眠ってる。キスをしても目覚めない、眠り姫。いや、眠り王子かな。
目を覚ましてよ。私の体も、心も、全部あげるから。
どうか、目を覚まして。
私が泣いているといつもやってくれる、なでなで。大きくて、暖かい手が、頭に乗っているのが嬉しくて、好きだった。
ねぇ、私泣いてるよ?なんで、その手でなでなでしてくれないの?
どうか、目を覚ましてよ…
今日は時間がないので、短いです。
一月になったが、僕の住む地方では、寒さがまだ厳しくなっていっている。
そんな寒さが身に染みて、凍ってしまいそう。
手がもう凍っているかもしれない、と思うくらいに冷たくなっていて、君の手の温かさを探してしまう。
君の手は、今でも暖かいかな?私にぬくもりを分けてくれるのかな?
ねぇ、君に会いたいよ。なんで、先に逝ってしまったの?
君の温もりで、私を溶かして…
20歳を超えた皆様へ
20歳。それは、ある意味で「人生」という物語の一区切り。
これからの人生は、今までとは違う、環境や景色を感じながら生きていく。
さぁ、君の物語は、20歳で一度区切りを迎える。
次の区切りは、少し長いけれど、まだまだ先だ。
その人生を、どうやって過ごす?
君の物語は、まだまだ続く。
辛いことも、苦しいことも、楽しいことだってある。
きっと、充実した毎日になるだろう。
20歳、おめでとう。君が20年間、生きてきてくれたことに賞賛と感謝を。そして、これからの80年弱の人生が、良いものであるように。祈りを。
冬華より
ふと見上げた夜空には、のぼり始めた三日月。
三日月を見るのは久しぶりだ。
それにしても、綺麗だと感じる。
最近、色々あったため、疲れていると言うのも、理由の一つかもしれない。
しかし、私は月の形のなかで、三日月が一番好きだと思う。
綺麗で儚く、優しい白い光であるのに、わたしたちを淡く照らしていて、その、消えそうなのに、力強さを感じる光が心地いい。
三日月の光を浴びていると、心が浄化される。
今までの悲しみを、慰めてくれてるみたい。
あぁ、まただ。また、涙が流れてきた。
でも、私が泣くのは、これで最後にするよ。だって、私が好きな、三日月が見ているから。慰めているから。
でも、今夜だけは、あなたを好きでいさせて。
あなたもきっと、許してくれる。三日月も、きっと。だって、優しいんだもん。
私は一度俯き、大きく息を吐いた。私の中の何かが、どこかに飛んで行った。
そして、上を見上げる。涙でぼやけていた視界が晴れる。まだ、視界の端はぼやけているが、三日月ははっきりと見える。
「どうか…元気でね…大好きだよ…」
その言葉は、喉が乾燥していたから、すごく掠れていて、音として出ていたかもわからない。
でも、三日月は、その言葉をちゃんと聞き取っていて、君の心に、届けてくれると思う。
そして、私は目元を拭い、涙を流すのをやめた。
そしてもう一度、三日月に視線を向ける。
私は三日月に微笑んで、歩き出す。
三日月も微笑んで、歩く私のことを、優しく、優しく、見ていた。
私は、三日月の光に照らされていた。