時雨 天

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8/15/2023, 12:20:55 PM

夜の海



真っ暗な海は魅入られる。
波の音がこっちにおいでと誘っているかのよう。
近づくと海の底へと引き摺り込まれそうに思う。
闇のように深くて暗くて冷たい夜の海。――それは美しく、そして怖い。

8/14/2023, 12:26:06 PM

自転車に乗って




子供の時に、長い坂道をどこまで自転車で上れるか、立ち漕ぎをして必死に上ったた記憶がある。
たった一人の友人と肩で息をつき、そして、笑っていた。
緩やかそうに見えるから、上りきることができると思っていたが、そうでもなかった、地獄だったのを覚えている。
半分くらいで、自転車から降りて、押して歩いた。
いつも創作の話をして、盛り上がっていた。私は小説書き、友人は絵描きだ。
坂道を上ると今度は下り。ゆっくり下りながら、まだまだ創作の話を続ける。
自転車に乗って、どこまでもいつまでも、続けていた会話。
それは、大人になった今でも続いている。いつまでも楽しい時間――

8/13/2023, 2:33:39 PM

心の健康



毎朝起きたら、窓を開けて外の空気と中の空気を入れ替える。
窓の側で寝転がり、入ってくる風を感じる。
好きな音楽を聴いたり、好きな小説を読んだり、好きなアイスを食べる。
自分自身が好きなことをする。いっぱいいっぱいになって、溢れてしまわないように。
自分自身を労う、たくさん頑張ったから偉いと誉める。
心の健康第一。自分を大事に大事に、よしよしをしよう。

8/12/2023, 11:51:06 AM

君の奏でる音楽






窓が開いているので、風が入り、白いカーテンを揺らす。
俺は椅子に座りながら、彼女が弾くピアノの音に耳を傾ける。
タイトルは忘れたけど、彼女自身が作曲した曲らしい。
心地よく、日々のストレスが癒やされていくような気がした。
目を瞑って曲に乗りながら弾いている姿。長いまつ毛が印象に残った。
長い黒い髪の毛には、艶があり、日々手入れをしているのであろう。
太陽の光が当たるとキラキラ光って、天使の輪っかができていた。
ピアノを弾く手が止まり、こっちに顔を向ける彼女。

「私の顔に何かついている?」

「いや、別に、ピアノは癒やされるなぁーと」

「ピアノ、弾けないくせに」

クスクス笑って、椅子から立ち上がり、俺のところまできた。
相変わらず整った顔をしている。桜色の唇に目がいく。
ぼーっと見つめていると額を細長い指で弾かれた。

「何考えているの?」

「……別に」

少し痛む額を摩りながら、そっぽうを向いた。
また彼女は笑う、よく笑う。この笑う声は、ピアノとはまた違う音を奏でている。
これも心地がいい。自分の心がふわふわと揺れ動いているのがわかった。

「うそつきー、絶対何か考えているでしょー」

「特に考えていないから」

つんつんと頬を突いてくるのを手で払いながら答えた。
嬉しそうな表情をする彼女。嫌なことを吹っ飛ばしてくれる。
ピアノの音と共に。彼女の奏でる音楽は、俺の癒しだ。

「さーてと、続きを弾こうかな」

俺の目の前で、両手を組んで上へぐーっと伸びる。
そして、またピアノへと戻って行った。
席に着き、指を鍵盤の上へ置くと目を瞑って、小さく息を吸い込んだ。
またこの空間に音が奏でられる。――ようこそ、彼女の奏でる音楽の世界へ

8/11/2023, 2:27:50 PM

麦わら帽子




綺麗に澄んだ青い空、もくもくとした積乱雲、鳴り止まない蝉時雨。
氷が溶ける音が響く麦茶のコップ、ひんやりと冷たい素麺、赤くて甘いスイカ。
エメラルドグリーンの海は、白波が立つ。遠くで鳴くカモメ。
麦わら帽子を被って、真っ白なワンピースを着て、白い砂浜の上を素足で歩く。
すると強い風が吹いて、麦わら帽子が飛ばされた。そして、海に静かに落ちる。ゆらゆらと遠くへ流れていく。
その様子をただ一人、見つめていた。

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