一筋の光
灯りもない暗い道を歩いていた。
しかし、道を歩いているのかもわからない。
ただひたすら歩いていた。どれくらい歩いているのだろうか。
何分、何時間、何日、時もどれくらい経ったのだろうか。
歩いて、歩いて、歩いて……。お腹は空いている、はず。喉も渇いている、はず。
それなのに、食べたい、飲みたい気持ちがわかない。
何故歩いているのかもわからない。だけども、立ち止まらずに歩く。
ふと、誰かに呼ばれたような気がした。周りを見渡すと、一筋の光が。
足がそちらへと向き、歩くから段々と走るに変わる。
何故だか、そっちに行けば出口に出られると思った。
光へと手を伸ばすが、なかなかそこまで辿りつかない。
近くなれば、遠ざかる。また近くなれば、遠ざかる。それの繰り返し。
もう、光の場所に辿り着いてもいいはずなのに。何故か、つかない。
焦り、苛立ち、涙が出ると同時に声も出た。
「帰りたいっ‼︎」
すると、優しい光に包まれた――
目を覚ますと白い天井が目の前に。
聞こえてくる機械の音と全身に来る痛み、そしてフラッシュバックする記憶。
そうか、思い出した。自分は事故に遭ったんだった――
鏡の中の自分
鏡の中の自分は一体どんな子なのだろうか?
いつも人を笑顔にさせる子?
いつも人を不機嫌にさせる子?
いつも一人ぼっちで泣いている子?
いつも人を喜ばせている子?
洗面所の鏡に右手を添える。鏡に映る自分の真顔。
そして、ありきたりな魔法の呪文の唱えてみた。
「鏡よ、鏡。そっちの私はどんな子なの?」
誰が反応するわけでもないのにと我ながら思っていた。
すると、添えていた右手がずぶりと鏡の中へ。
慌てて引き抜こうとするが、誰かに捕まえられていて抜けない。
どんどん引き摺り込まれていく。なす術がない、怖くて涙が出た。
そして、鏡に映る自分の姿を見た瞬間、小さく「ひっ」と声が出る。
そこには、不気味な笑みで私を引き摺り込む「ワタシ」がいた――
眠りにつく前
生命の灯火を燃やしてきた日々。
もうそろそろ、その火がつきそうになるのがわかる。
眠りにつく前に、しておきたいことがある。
たくさん愛をくれてありがとうと伝えること。
ぎゅっと抱きしめられるのが好きだった。まだまだ抱きしめて欲しかった。
でも、もうそろそろ逝かないといけない。
ゆっくりと目を閉じた。少しずつ聞こえなくなってくる優しい人の声。
ぽたぽたと涙が当たる感じも無くなってきた。
泣かないでほしい、いつまでも笑っていて。その笑顔がワタシの希望の光。
生命の火がとうとう燃え尽きた。先にいって待っているから――
永遠に
幸せだった日々。永遠にこの時が続けばいいのに――
懐かしく思うこと
部屋で断捨離をしているとおもちゃがたくさん出てくる。
これでたくさん遊んだなと懐かしく思う。
そして、いつの間にか断捨離などを忘れて、ついつい遊んでしまう。
特に古いゲーム機。埃等が被っているので、それを払うとテレビに繋げる。
懐かしい音楽とタイトルを見ると幼い頃に戻ったかのようだ。
ワクワクが止まらないし、データが残っていたことが嬉しかった。
何百時間もかけて遊んだ記録。我ながら、すごい。
操作し始めると、これだこれだ‼︎と興奮する。
ハッと我に帰った時に、自分は何かを忘れているような。
懐かしさを思うとどうでも良くなってしまった――