時雨 天

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一筋の光





灯りもない暗い道を歩いていた。
しかし、道を歩いているのかもわからない。
ただひたすら歩いていた。どれくらい歩いているのだろうか。
何分、何時間、何日、時もどれくらい経ったのだろうか。
歩いて、歩いて、歩いて……。お腹は空いている、はず。喉も渇いている、はず。
それなのに、食べたい、飲みたい気持ちがわかない。
何故歩いているのかもわからない。だけども、立ち止まらずに歩く。
ふと、誰かに呼ばれたような気がした。周りを見渡すと、一筋の光が。
足がそちらへと向き、歩くから段々と走るに変わる。
何故だか、そっちに行けば出口に出られると思った。
光へと手を伸ばすが、なかなかそこまで辿りつかない。
近くなれば、遠ざかる。また近くなれば、遠ざかる。それの繰り返し。
もう、光の場所に辿り着いてもいいはずなのに。何故か、つかない。
焦り、苛立ち、涙が出ると同時に声も出た。

「帰りたいっ‼︎」

すると、優しい光に包まれた――




目を覚ますと白い天井が目の前に。
聞こえてくる機械の音と全身に来る痛み、そしてフラッシュバックする記憶。
そうか、思い出した。自分は事故に遭ったんだった――

11/5/2023, 1:58:25 PM