アクリル

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7/29/2023, 10:01:47 AM

嵐が来ようとも

 
生き延びてるよ
立派に、いや、図々しく
人間らしく
息をしてるよ

まだ言い切れていない
まだ書ききれていない
聞かせたいことが沢山あるから

戻るその日まで待っていて。


7/9/2023, 10:11:37 AM

私の当たり前


わかりきった顔で
斜に構えて
問い詰められることに恐れながら
無難なことを口に出す

決して世間知らずではないと
思い知らせてやりたくて
傾聴の姿勢を取らせようと躍起になる

何も疑わなくて済んだような人を
つつきながら生きるしかなかったから。

「そうでもしないとやっていられない」

失望したような顔で、半笑いになる私を
そんな表情と声音が癖になった私を

いったい、誰が好くというのだろう。

きっと、天真爛漫に笑う人を
大多数は望んでいるのだ

裏のないまっすぐな感情を
伝え合える素直な関係を
みんな欲しがっているのだ

側から見たって、澄んだ愛情は美しく見えるのだから。

故に、大抵こんな顔をしている私は
世間のテンプレートには沿えない。

けれど、もし奇特な人がいて
湿った半生の私を気に入ってくれるなら 
それが後世の、もう一つの定番になりますように。







6/23/2023, 10:03:25 AM

子供の頃は


朧げに残っている
3歳くらいの時
覚えたての手の形で
3を作って
初めての自己紹介をしたこと。

自己開示を
なんの疑問もなくできていた 
そして受け止めてもらえた

暖かい世界だったと思う 

不思議だよ
歳を重ねるほどに
自分を隠すようになっていく。

5/23/2023, 12:52:52 PM

逃れられない呪縛


とうの昔に
全てを諦める段階など過ぎていました。

あの時、見晴らしのいい場所から 
飛んでいてもおかしくありませんでした。
手が痛くなるほど荷物を持たされて


「邪魔をしないことがお手伝いだ」
「何でもかんでも人任せにしやがって」
「全部自分でやるんだよ」
「あたしの言う通りにしてればいいんだよ」


エゴと大人の焦りに振り回されて
悪い人間に囲まれて
どこへ行っても疎まれていました。

薄暗い表情のまま
友達同士で遊んだこともありません。
ひとりぼっちに慣れて
それを鼻にかけるようになりました。

おひとり様、だなんて言葉が流行り出したことに
ひといちばい喜んでいました。

本当は寂しいこと
本当はおし黙ってしまう自分が嫌いなこと
本当は甘えてみたいこと
本当は頼りたかったこと

ひとりで声を殺して泣いたあの夜
本当は味方が欲しかったのです。

頼れる誰かが
寄りかかれる誰かが。

「頼ったら、絶対にお礼をするから」
「助けてもらったから、今度は私が助けるね。役に立てたらいいな」

そんな、人間らしい会話と
繋がりが
本当は欲しかったんです。


全部ひとりで抱え込んで
大人らしく生きる責任を
今だけは、放棄してもいいですか?

5/15/2023, 1:49:39 PM

後悔


「今更だよ」

諦めているような、冷たくて悲しそうな声が
自責に潰された心に刺さった

私は、また何の役にも立てなかったんだ。


「酷いね、信じてたんだけどな」


信用があった分の失望を感じた
戻らない、取り返せないことを知った

あの時、やるべきだったこと
あの時、できなかったこと
あの時、判断したこと

あの時、ばかりで
もう、後の祭り。

ごめんねで許されたら
警察も医療機関も何もかも要らないんだ

色んなものを失わせた落とし前を
どうつけたらいいんだろう
泣きたいのはそっちだよね


「もういいよ、やり直そう?もう一回」


底無しに優しいあなたは
そっと手を差し出した。

情けなく私はその手に縋って
ふたりで、真っ暗な世界に飛び込んでいった。

「ありがとう」
「次こそ、成功させようね」

轟音とヘッドライト、点滅した信号灯、宙に浮く体
目を見開いて叫ぶドライバー。


もう、がっかりさせないよ。

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