アクリル

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2/5/2023, 11:32:58 AM

溢れる気持ち


それぞれが昼食を求めて散っていく中、私は虚ろな目をしながら食べていたおにぎりを、危うく落としそうになった。

だって、憧れの人が急に隣で

「おつかれさまです、美味しそうですね、それ」

なんて言うから。

私は動揺を隠して、

「この混ぜご飯のもと、ハマってるんです」

なんて、ときめきも色気もないことを口走ってしまった。

「梅のやつなんですね、私も梅大好きで。いいこと知りました。今日探してみますね」

いつもの優しい声で、心底嬉しそうに笑う彼女。
その愛おしい姿に何度惚れたかわからないが、今回もしっかりと惚れた。

大好きな後輩。
歳下とは思えないほどの人柄と人徳。
思わず手を合わせたくなるほどのものを、彼女は沢山持っている。

私は今日も、梅のコーナーをうろつく。
次はどれを彼女に勧めようかなんて、起こってもいない瞬間に思いを馳せる。

それもいいだろう。

来月、私はこの職場を辞めるのだから。

2/4/2023, 10:25:00 AM

Kiss


目が合わず
声が喉で引っかかる

静かに飲み込んだ
酔いが回って

ぐらりと揺れた視界
ぎり、と抑えられる手

逃げないよ
だから
もうおいでよ。

2/4/2023, 5:20:33 AM

1000年先も


残るだろうか
最も知性のある
人間という生き物の
思考の証拠が。

本が、音楽が、価値観が、言語が。

1/31/2023, 9:55:23 PM

旅路の果てに


泥まみれの靴
聞き慣れた砂利の音
錆だらけの自転車

全てに負けて
最低限を背負って逃げ出した

今、隣で笑うのは
あれほど憎んだあの人
また繋がってしまった

本心では嬉しかった。
今更、それを喜べる関係ではないけれど。

1/30/2023, 4:41:23 PM

あなたに届けたい


言葉も仕草も
洒落たラッピングの箱も
こんな落ち着き払った声音で
不器用に隠されてしまう

直球しか知らない私の
へたくそな隠し事。

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