カニにおにぎりを預け、サルは木に登った。
柿の実をいくつかもぎ取り食べてみる。
うん、しっかり熟していてちょうどいい甘さだ。
下で待つカニが呼ぶ声がする。
早く柿の実をくれと急かしてくる。
柿の実を持ったまま降りるのは危ないなとカニに声を掛けてから投げて落とす。
が、柿の実は地上に落ちず、急激な突風により飛んで行った。
カニもサルも風に飛ばされる。
風が運ぶ柿の実カニサルはどうする事も出来ずただ風に遊ばれるだけだったとさ。
(風が運ぶもの)
サルカニ合戦のオマージュ、喧嘩勃発する前に風によって続かないようす。
さぁここで問題、questionです。
①同じような肉を咥えたアイツは誰でしょう?
②アイツに吠えると咥えている肉はどうなるでしょう?
正解は、川に映った自分でした。そして吠えた事で咥えていた肉は川に落ちてしまいました。
ついでにその肉を追って自分も川に落ちました。
さぁここで2回目の問題、questionです。
①肉は取り戻せるのでしょうか?
②自分は川から上がれるのでしょうか?
正解は、既に肉は見失っています。そしてこの先は滝になっています。……助けて。
(question)
童話・欲張りな犬のオマージュ、犬はこの後無事に下流で助かったもよう。(肉は知らない)
牧場の仕事をサボって柵の間から抜け出して森へ潜って行く。
「遅いじゃない。昨日、早く来るよって言ってたのに」
と相手が待ち合わせ場所で待っていた。
「ごめんごめん、約束の物を入れたカバンを見つからないように取るのに手間取っちゃった」
肩からカバンを下ろして中身を取り出す。
フワッとチーズの香りが辺りに溢れ出す。
「上質なチーズじゃない!もっと安いのでも良かったのに良いの?」
相手が目を輝かせている。
「うん、どうせならいい物を食べてもらいたいからね」
と相手に差し出す。
「じゃぁ、ちゃんと約束通りに明日からはこの農場だけは襲わないよ」
と言い、相手が自分のカバンにチーズをしまい背負う。
そして、去って行く相手の、オオカミの背中を見届けてから自分も牧場へ戻り、サボっていたのがバレないように仕事をする。
明日からは「オオカミが出たぞ」と騒いで遊べなくなったけど、まぁ、飽きてきてたしもういいや。
(約束)
オオカミ少年のオマージュ、更生した少年バージョン。
あれなんだろう?と寝転がっていた相方が空を指さした。
読んでいた本から目をはなし相方の指さした先を目で追うとひらりひらりと1枚の紙切れが舞っていた。
どこからか風で飛ばされて来たのだろうか?と見ているうちにだんだん高度を下げ公園内の芝生の上にパサッと不時着した紙切れ。
一応ゴミ扱いになってしまうので1番近くにいた自分達が拾いに行く。
「これ、御札?」
と相方が片手でひらひらさせていてよく見えないが、難しい字体で色々書いてある事を察するに御札なのだろう。
「なんの御札だろ?書いてある字も読めないや。」
とこちらに渡された御札は空を舞っていたせいか少し冷たい。
「御札や御札、元の持ち主の場所までおかえり」
と唱えてみる。
「なにその呪文?」
「ちょうど読んでた本に御札で助かる子坊さんの話が載っててね、御札に願いを込めて身代わりになってくれるんだよ」
と説明をする。
あれ?手に持っていたはずの御札が消えている。
「もしかして本当に持ち主の所に戻った?」
「いや、足元に落ちてる」
相方がまた拾い上げる。
御札を挟んで向き合って笑いあった。
(ひらり)
三枚のお札のオマージュ、御札飛ばされて残2枚になっちゃった子坊さん助かるかな?
自宅でゆっくりとお茶を飲み、暖炉前のロッキングチェアでくつろいで、そろそろ寝ようか?と思っていたところで玄関戸が激しく叩かれた。
「こんな遅い時間に誰かしら?」
と独り言を呟きつつ玄関に移動して様子を伺う。
ドンドンとノックが続いている。
『居るのは分かってるぞ!開けろ!!』
と声もするせいで余計怖くなり戸は開けられない。
『罠から助けたのになんで恩返しに来ないんだ!!?』
と更に声が続く。
外に居るのが誰かはこれで分かったが
『恩返しするまで帰らないぞ!!早く開けろ!!』
との声で、あぁもう恩返ししないわと決心がついた。
そのまま玄関を離れ布団に入る。
いつの間にか寝ていたのだろう。玄関を叩く音もあの人の声も聞こえなくなっていた。
(誰かしら?)
鶴の恩返しのオマージュ、恩返ししないバージョン。