流れ星1つ…2つ…
深夜の山で空を見上げながら流れ星を数える。
案外標高が高いのか流れ星が近くに見える。
周りの光も一切ないので流れ星を見逃すことなく数えていく。
そういえば流れ星って星のかけらが燃えて光ってるんだよねって思い出す。
いつの間にか流れ星の数えた数は100を超えた。
流石に飽きてきたのと挟まれた脚が痛いので、人間に変身して罠を解除する。
足の怪我を確認して鶴の姿に戻り、罠に捕まらないように飛び立った。
もうすぐ夜が明けそうだ。
(星のかけら)
鶴の恩返しのオマージュ、自分で罠外しちゃったバージョン
Ring Ring…と鳴る電話は早朝には喧しく、だが無視する訳にもいかないと電話に出る。
『お客様、モーニングコールのお時間です。良く寝られましたか?』
あぁそうだ、ここはホテルでモーニングコールを頼んでいたんだったと思い出す。
電話口に礼の言葉を返し受話器を置く。
洗面所へ向かい顔を洗う。
またRing Ring…と電話が鳴る。
『モーニングサービスのご食事は部屋でとの事でしたよね。今からお持ちしてもよろしいでしょうか?』
10分後にと返し、そのうちに身支度を整える。
届いた食事を食べ、もう一度支度を見直し、問題ない事を確認してホテルのチェックアウトをする。
ホテルの庭で預かってもらった3匹の家来を連れてきてもらい、来た時と同じように船に乗り込む。
やはりこの「ホテル赤鬼(鬼ヶ島南店)」はいいホテルだ。また来ようまた来ようと船の出航を待つのでした。
(Ring Ring…)
桃太郎のオマージュ、鬼ヶ島ホテル経営しててハマっちゃった桃太郎
舟は追い風に押され水面を進んで行く。
風の向くまま流されて今ここはどこだろう?
どっちを向いても水平線で星の位置から方角がわかるだけだ。
追い風向かい風、大波小波、お椀の舟は翻弄されて漂うだけだ。
都がどうとか鬼がどうとかより、お椀の舟が陸に着くことを願おう。
(追い風)
一寸法師のオマージュ、お椀の舟行方不明バージョン
競走だ競走だと周りに勝手にセッティングされ、何かも分からずスタートラインに立たされて、気が付いたらスタートの号令が発せられ、急げ走れと周りから声が飛び交い、とりあえず走り出したのはいいものの、隣で一緒に走る相手も何が何だか分かっていない様子で、むしろ自分に合わせて歩いている様な状態で。
「ねぇねぇ、なんで僕達走らさせられてるの?」
「こっちも分からないよ。いきなり走れって」
走らされていることはもう始まっているので仕方ない。兎と亀、亀と兎、君と一緒に走ってゴールを目指す。
(君と一緒に)
兎と亀のオマージュ、本人達は何が何だか分かっていない状態で走っているバージョン。
今日は風も吹いておらず、穏やかな日差しだ。
冬晴れとはまさに天の助けとも言えよう。
昨日までは吹雪が止まず屋敷の周囲も町全体も積もり積もった雪に覆われて、子供達の雪遊びをする声が響いている。
空を見上げ、昼間でも良く見える月を確認し、縁側に火鉢を用意し暖かい格好をしたら、装置の雪を下ろし準備を整える。
この装置は、日の光に指向性を持たせ月に届ける為の鏡だ。
モールス信号の要領で月に光のメッセージを送る。
しばらくすると月側でも同じ様にチカチカと光が帰ってくる。
その光のメッセージを解読し、また光のメッセージを送る。
冬晴れの遮る物が無い空だからこそのやり取りは日の光が許す限り続くのでした。
(冬晴れ)
かぐや姫のオマージュ、月に居るかぐや姫と地に居る爺婆のモールス信号でのやり取り。