足り過ぎた贅肉

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12/24/2024, 12:56:36 PM

いきなり突然に目覚めてしまった。
部屋の中は暗く静かだ。
少し身体を起こし周りを見る。
小人達が各自布団にくるまって寝ている。
部屋の飾り付けが変わっている事に気づき近くにあったカレンダーを見る。12月24日に印が付いている。クリスマスイブだ。
私が眠りについたのはまだ暑い夏だったはず。
だいぶ時期が変わっている。
本当は王子様が来てから起きるはずだが、どうしたものか。

静かに考えていると誰かが部屋に入ってきた。
赤い服、髭を蓄えた顔、大きな袋。
サンタクロースだとひと目でわかる格好だ。
サンタクロースはまだ私に気付いていないようで小人達にプレゼントを置いていく。
そして私の元へ来てようやく私が起きている事に気付いたようだ。
戸惑い声で何のプレゼントがいいかな?と聞かれた。
私はもう一度寝る為に、シナリオ通り王子様を待つ為に毒りんごを欲した。
イブの夜にまた私は眠りについた。
(イブの夜)

白雪姫のオマージュ、起きちゃったら王子様来ないからまた毒りんご食う姫の根性凄。

12/23/2024, 12:49:30 PM

掟はひとつ、見つかってはいけない。

そう教え込まれ、何度も何度も仕事を遂行して来た。何度も何度も成功していた。
が、今日今までの成功もスコアも終わってしまった。
プレゼントを置きに忍び込んでベッドの横の靴下に入れた所までは良かった。部屋から出る際にその親と鉢合わせた。見つかってしまった。

親の方も驚いて腰を抜かしている。手にはプレゼント用の箱が抱えられている。この親もプレゼントを置きに来た所だったのだ。

人差し指を立て口に当て、シーっと全世界共通であろう仕草をし、親の横を通り静かに玄関から出ていく。
外に出て、ふぅと一息ついてソリを飛ばす。
チラッと窓から見えた今プレゼントを届けた子の部屋に親もプレゼントを置いている。あの子は2つのプレゼントを見て喜ぶだろう。

見つかってしまった事の始末書を書かなくてはなぁ。
(プレゼント)

サンタクロースの皆様、プレゼント設置ミッション時は親の動きにも注意しましょう。

12/22/2024, 12:24:24 PM

1軒目2軒目は自慢の特技で吹き飛ばしたが、どうもこの3軒目には通用しないようだと諦めた。
だが、特技で吹き飛ばすのを諦めただけで、全て諦めた訳では無い。特技を潰された恨みもある。絶対に中の奴らを見返してやる。

だが、特技以外に自信は無い。腕力で向かっても特技より弱いだろう。どうするべきか悩み、まずは相手をよく観察して対応するべきだと家の周りをぐるぐる回って突破口を探す。
ひとついい場所があった。煙突には蓋が無い。入ってしまえばこちらのものだ。
屋根に登り煙突へ飛び込む。が、飛び込んでからふと思う。
煙が出ている煙突って事は下は火が点いてるんだよなと。
思った時にはもう手遅れ。
下で沸かされていた湯にドボン!!
熱つつつ!!と叫ぼうとして……叫ぶのをやめた。
熱くない。というか、まだ少しぬるい。
沸かしきって煮えたぎる前に落ちたのだ。どうすればいいか分からなくなり、ゆずの香りのする湯に浸かったまま硬直して奴らを見る。
奴らも驚きと戸惑いの表情で見ている。

「ぉお、オ…オオカミさん、湯加減はどうですか?」
奴らの1人がそう声を発した。その問いで理解する。
「まだちょっとぬるいけど、ゆず湯にするならこのくらいでいいのかもしれない」
そう、ここは風呂場だ。
最初の特技の事やコイツを見返してやろうとしていた事など頭から抜けてしまったオオカミはゆずの香りを堪能して帰って行ったのでした。
(ゆずの香り)

三匹の子豚のオマージュ、ゆず湯は少しぬるめにして、浮かべた終えたゆずは水アカ除去掃除などに使うと良いよ。

12/21/2024, 12:08:41 PM

雲の切れ間から見える大空にいつもの異物が浮かんでいる。
城と台座のような球体を合わせたような異物で、かなり巨大な建造物の集まりだ。
それは雲の動きと同じように少しづつ動いている。風によって流されているといえばいいだろうか。天気によっては何日か近くに在る場合もあるし、早い動きで流れていくこともあるし、何日か見えない時もある。
どうやって浮いているのかは分からないし、アレがなんなのかも知らない。
望遠鏡で覗いていると人だろうか?動いているモノがたまに見える。もっと度の強い望遠鏡が必要だ。
それから、数年に一度程度ではあるが、球体部からいきなり謎の光を遠くに飛ばすのもやめてもらいたいものだ。眩しいんだアレ。
大空に浮かぶ異物は今日も変わらず空に浮かんでいる。
(大空)

天空の城ラピュタのオマージュ、王家崩壊前の話。

12/20/2024, 12:39:25 PM

朝からママは出掛けていて、子供達はお部屋の中で遊んだり寝ていたり。ママが帰ってくるまではドアを開けてはいけません。
リンリンシャンシャンと外からベルの音が聞こえてきました。
ママかな?と子供達がドアの前に集合します。

ドアがコンコンノックされ、声がかかります。
「良い子の子供達や、ちょっと早いがクリスマスプレゼントを配りに来たよ」
プレゼントの言葉につられドアを開けそうになる子を制しつつ、ひとりが答えます。
「ママが帰ってくるまではドアを開けちゃいけないんだ」
「プレゼント要らないのかい?ドアを開けてくれなきゃ渡せないよ」
「ママはこんな声じゃないし、リンリン鳴るベルなんて持ってないから、ママじゃないから開けれないよ」

ドア越しに開けて開けれないの押し問答。
ついには外の人が折れて、またリンリンシャンシャンベルを鳴らしながら帰って行ったようです。

その時、玄関ドアの外が見える窓の所で寝ていた子が起きて言いました。
「赤い服の髭のおじさん、トナカイのソリに乗って飛んでくねぇ、むにゃむにゃ」

それを聞いてみんなドアに駆け寄り外を見ます。
本物のサンタだったようで、だんだん遠くに飛んでいくのを見ながら子供達はドア開ければよかったー!!と叫ぶのでした。
(ベルの音)

7匹の子ヤギのオマージュ、ドア開けたら約束守れなかった良い子じゃないってプレゼントはくれなかったりするかもしれないから開けないで正解。(後日クリスマスにはちゃんと貰える予定)

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