ぽんこっぅ

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11/21/2024, 12:46:13 PM

先日の争い事から数日経った。
ヴァンパイアハンター協会からの通知書を読んでどうすればいいのかと頭を抱え椅子に座っていた。
「対吸血鬼特戦部隊」の邪魔をした事への責任追及の通知だった。

もうひとつの事への対処もしなければいけない。
リビングテーブルの上に置かれた奴の首だ。
襲ってきた吸血鬼はすぐに倒したようだが、邪魔しきれなかった特戦部隊に首を斬られて今の状態になっている。
飛ばされた首を拾い逃げ回ってどうにか屋敷に戻ってきたのだ。
この首もどうすればいいの?と奴使い魔のコウモリが周りをパタパタ飛んでいる。
ただ、この吸血鬼、流石に不死であるようでこの状態でも生きてはいる。
先程1回、あくびをしたから間違いないだろう。

2つの問題に対応するには1つの頭では考えがまとまらない。
こいつは一旦コウモリに任せて、協会へ赴いてくるのがいいだろう。
そう準備を始めた時、一瞬の視線を感じた。
コウモリがドアにぶら下がってどうすればいいの?って顔で見ている。
お前の主人だ、側に居てやれ。
そう言ってオレは協会へ急いだ。
(どうすればいいの?)

不死でも首だけだとどうすればいいのか分からないよね。
(お知らせ、しばらくこのシリーズが続きます)

11/20/2024, 2:06:17 PM

その日は朝から街全体が静まり返っていた。
3日前に吸血鬼の元に届いた一通の手紙が原因だ。
『3日後にお前の宝物を奪いに行く。お前の1番大切な宝物を壊す喜びをくれないか?』
手紙にはそう記されていた。
この吸血鬼をよく思っていない他の吸血鬼が躍起を起こしたのだという。
ヴァンパイアハンター協会からも「対吸血鬼特戦部隊」が動くとの知らせが来ている。
奴は街の郊外で既に待ち構えている。

屋敷から出る際に奴はこう言い残して行った。
「この街全てが宝物だ。ワタシを受け入れてくれた人々が宝物だ。大切な場所だ。アイツは何も分かっていない。大切じゃないモノなどこの街には無い。石ころ1つでも傷付けたらワタシは容赦しない。」

あそこまで怒りと覚悟をもった表情を見たのは初めてだ。
それだけこの街が大切な宝物なのだろう。
オレは、少しの躊躇いの後屋敷を飛び出し、特戦部隊の足止めへと走った。
オレにとってもこの場所は大事な宝物になっていたようだ。
(宝物)

本気の吸血鬼さん、自分の行動に躊躇いがあるものの走り出したハンター君、宝物を守れよ。

11/19/2024, 12:46:20 PM

今日は君がここに来た記念日だよと、キャンドルがたくさん刺さったホールケーキをリビングテーブルにドンと置いた。
いったい何本のキャンドルが刺さっているのか、もうケーキの上面が見えない。
そして、壁の燭台から火のついたキャンドルを1本持ってくるとケーキのキャンドルに近付けた。
一気に火がつき火柱が上がる。
ケーキのキャンドルなんて小さく揺れる火が可愛い位なのにこれはもはや火事だ。
さぁ吹き消してと言われるが、そもそも近付けない。
このままじゃケーキが焦げちゃうよアリス?
と、無邪気な顔をしてチェシャ猫が顔を覗き込んでくる。
キャンドルの火の熱波に顔をしかめつつ、いつか火が消える事だけを祈っていた。
(キャンドル)

不思議の国のアリスのオマージュ、早く消して。

11/18/2024, 12:21:17 PM

奴が教会に行っているうちに屋敷の掃除をしていたところ、奴が書いていたであろう日記のような物を見つけた。
日記のような物というのには訳があり、ものすごい期間が空いて書かれているからだ。
内容を見るに、特に大事な出来事のたくさんの想い出が書かれているようで、最初の方のページには使い魔のコウモリが出来た事や、知人の死に関しての事柄が書かれていた。いつ頃書かれた物なのだろうか?
ペラペラとページを飛ばし見て行くと、途中から何も書かれていないページが続く。
書くことに飽きたのか、書くような事が無くなったのか。

ただ、後ろのページの方に新しい紙が追加されたような色味が違うページがある。
そこまで捲って、新しいインクで書かれた文字を見つけた。
少し読み、溜息をつく。
『新しいヴァンパイアハンターがやって来た。住人達に受け入れてもらえるだろうか?良い子だろうか?惰性で生きるワタシに望みはあるだろうか?』
そんな事が書かれている。
自分の事より、オレの事を気にかけている文章だ。

全く、こんな事を書かれたくらいでオレのハンターとしての使命は折れないぞ!…まぁ奴の想い出の一部にもうなってはいるのだろうけど。
(たくさんの想い出)

大丈夫だよ吸血鬼さん、ハンター君は良い子のようだよ。

11/17/2024, 12:33:46 PM

冬になったら雪が降る。
今年はどのくらい積もるだろう?
この高い高い塔の上まで積もってくれればなぁと窓の外を眺めつつ温かい紅茶を飲む。
そうだ、冬の間の分の食糧と暖炉の薪とあたたかい服を用意しないと行けないんだったわ。
髪の毛をフックにかけてスルスルと地に降りる。
薪は塔の中の貯蔵スペースにコツコツと貯めていたからそこまで急いで用意する必要は無さそうだ。
あたたかい服を塔の外付け小屋から出して上の部屋まで持ち上げる。
食糧は、ネットスーパーで頼んじゃおう。ついでに新しい布団も頼んじゃおう。
部屋に戻って、少しぬるくなった紅茶を温め直しにコンロに火を入れる。
開けっ放しの窓から吹き込んだ風に吊り下げたフライパンがカラコロと音を鳴らし、部屋の気温が下がった気がした。
(冬になったら)

塔の上のラプンツェルのオマージュ、ちょっとだけ近代化したもよう

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