あら、アンタも旦那と離れて暮らすようになったの?
織姫がお酒の入ったグラスを傾けつつ話しに加わって来た。
ええ、冬の間は部屋が寒すぎて旦那が死んじゃいそうになるし、夏の間は暑くて私が死にそうになるから、選択制別居ってやつね。
そう雪女が答える。
はなればなれで暮らすとして、寂しくないの?
そう2人に聞くと、2人とも間髪入れずに全然!!と答えた。
はなればなれになったと言って愛情が無くなるわけじゃないし、時間を気にせずにこうやって飲み歩けるからね!
2人とも、酔っ払っているのは確かだった。
アナタも別居すれば分かるわよぉ。
そういってグラスにお酒を注がれる。
グラスを見つめながら少し考える。
うん、試しに別居ってのも選択肢に入れてみるのも良いかもしれない。はなればなれになって旦那が寂しがらないか心配だけどね。
そして一気にお酒を飲み干した。
(はなればなれ)
織姫と雪女に相談を持ちかける誰かの話。
はなればなれになっている夫婦の妻側同士の飲み会の様子。
♪迷子の迷子の子猫ちゃん
「何をもって迷子と決めたのか」
♪あなたのお家はどこですか?お家を聞いてもわからない
「野良猫である可能性が高い」
♪名前を聞いてもわからない
「名前が付いている前提で聞くな」
♪ニャンニャンニャニャーンニャンニャンニャニャーン泣いてばかりいる子猫ちゃん
「猫なんだからニャンニャン鳴くだろう」
♪犬のおまわりさん
「警察犬だとしたら、パートナーはどこ?」
♪困ってしまってワンワンワワーンワンワンワワーン
「警察犬が鳴く場合、パートナーに異常を知らす合図」
いや、童謡歌ってる時の相槌にマジレスぶっ込んで来んなや。
(子猫)
犬のおまわりさんを歌う我が子に突っ込まれた思い出。
ぅぅ寒い寒い。
最近一気に秋めいて冷たい秋風に吹かれつつ今日の寝床を探す。
普段ならそこら辺の洞穴や倒木の間など姿が隠れるだけでいいがこの寒さじゃ、ちゃんと探さないと凍えてしまう。
藁か木の小屋がいいなぁと近隣の畑や田んぼの作業小屋を覗いて入れそうな所を探す。
向こうに藁を積み上げたような小屋とその隣に木の小屋とレンガの家が並んでいるのが見える。
先客が居ると面倒だなぁと思いつつ確認の為に近付こうと向きを変えた瞬間、藁の小屋が吹き飛んだ。
びっくりして地面に伏せる。
次の瞬間、木の小屋も吹き飛んだ。
元いた先客だろうか、ワタワタした様子でレンガの小屋に入っていった。
しばらく様子を伺っていたがその後の動きは無い。
今しかないと思い、吹き飛んだ藁と木の板を急いでかき集めすぐ横の森に入る。
適当な洞穴を見つけ藁を敷き木で洞穴を塞ぐ。
冷たい秋風からしっかり守られた即席の寝床でしばらくはゆっくり寝れそうだ。
(秋風)
三匹の子ぶたのオマージュ、吹き飛んだ藁と木の残骸の行方
朝起きたら奴が居なくなっていた。
ハンターとして対象に逃げられた焦りは半端ない。
奴がどこに行ったか早く探さなくては。
自室からハンター道具を持ってきて玄関へ急ぐ。
玄関ドアになにかメモが貼ってあるのにそこで気が付いた。
『リビングの机は見たか?』
リビングの机?いや見ていない。リビングへ急ぐ。
机の上にまたメモがある。
『隣県の知り合いのニンニク農家さんを手伝いに行ってくる。週末にまた会おう。追記、ニンニク貰ってくるから買わないで』
そのメモを見た瞬間に力が抜けて椅子に座り込む。
また会いましょうじゃねえわ!焦ったわ!!ってか隣県のニンニク農家ってオレの実家の事だろうがよ!!今から行くわ!!
全く、あの吸血鬼(?)め!実家の手伝いにオレが行かないからって強制的に向かわせやがって!!困ったものだ!!
(また会いましょう)
ヴァンパイアハンター、実家はニンニク農家だったのか。(吸血鬼いつもニンニクありがとう)
勢いよく坂道を転がる。
穴を避け、段差を飛んで、グングンスピードを上げていく。
他のヤツらもどんどん追いかけて転がってくる。
スリルを求めて始まったこのレースだが、そういえば誰もゴールを決めていない。
穴に落ちて脱落したヤツや、コースから逸れたのかいつの間にか姿が見えないヤツが増えて数が少なくなってきた。
このまま最後のひとりになればこのレースの勝者になれる。
そんな考えに気を取られ、段差を見逃して弾かれてしまった。
勢いに乗ったまま空を飛ぶ。ふわりと浮いた感覚のスリルがたまらない。
うまくコースに戻ろうとしたが宙に浮いていてはどうしようもなく、そのままコースの横のお池にポチャン。
コースアウトだ。
水面でぷかぷか浮いて息を整える。
横にドジョウが顔を出し心配そうに見守っている。
レースには勝てなかったがこれ以上無いスリルは味わえたから良しとしよう。
(スリル)
童謡・どんぐりころころのオマージュ、お池に落ちた理由