その娘は不思議な力を持っていた。涙が宝石に変わるというのだ。
そしてその娘は、国によって保護され人との接触を避けるように地下の施設に幽閉されていた。
一応の自由と健康は保たれ、できた宝石は職員が回収していく生活をずっと続けていた。
そして、ある日新しい職員がやって来て娘の世話をするようになった。
その職員は「あんたの流す宝石で地上の奴らは裕福に暮らし、そのせいで逆に堕落しきっている。仕事をしないでも不自由なく生きられるんだからそうなるに決まってる。ほとんどあんたの流す涙のせいだ。」
とぐちぐち言ってきた。今までずっと丁重に扱われていた娘は驚き、そして今まで感じたことの無い気持ちになり、大粒の涙を流した。
「だから泣くな。涙を流すな!」
そう怒鳴られ、更に泣いた。
遂に部屋は宝石で埋め尽くされ、娘はその圧によって死んでしまった。
宝石はもう増えない。
この部屋の宝石が終わったら地上で恩恵を受けていた堕落しきった国民達は、繁栄していた国は、滅びへ向かうだろう。
ただ一人の娘に頼りきっていたと気付いた者達は後悔に涙を流した。
(涙の理由)
グリム童話・真珠姫のオマージュ
(ただしストーリーの流れのみ)
最近ココロオドル様な事に出会ってないな。
趣味の事も季節的に出来ないし、読みたいって思う本も見つからない。
まず、仕事が忙し過ぎて疲れてしまっている。
ココロオドル事があればこの疲れも吹き飛ばせる。
なにか見つかるかな?
(ココロオドル)
奴らから逃げて今は使われていない小屋に逃げ込んだ。
息を整え水筒の水を飲み、空になった水筒を投げ捨てて小屋の奥に積まれた古い藁の上に横になり休息をとる。
奴らは復讐の為に雇われた烏合の衆だ。隙を突いて上手く躱して逃げればそのうち諦めるだろう。だが雇い主はいつまでも追ってくるだろう。
たかが握り飯1個、柿1個の事で殺しにかかってくる様な奴だ。
この小屋もおそらく長く居たら見つかってしまうだろう。
束の間の休息だなと身体を起こし窓から様子を見る。
奴らは見えない。
今のうちにもっと遠くへ逃げておこう。
小屋の戸を開けた瞬間どこに隠れていたのか、奴らと雇い主の蟹が目の前に立ち塞がっていた。
(束の間の休息)
サルカニ合戦のオマージュ
僕の足は確かに速くない。
アイツに正面から向かっても到底叶わない。
でも、アイツに勝る持久力がある。
勝てなくてもいい。負けなければいいんだと自分に言い聞かせて足を前に前にと進める。
向こうの丘に続く道の先にアイツの姿が見える。
もう走っていない。
それを見た瞬間に今行かなきゃと足に更に力を込める。
勢いはどんどん増して、気がついた時にはアイツを追い越してゴール目前まで来ていた。
気を抜くな。
残った力を再び込めてゴールテープを切る。
勝てた。遂に勝てた!
そう喜んでいるとアイツが息を切らせながらゴールした。
今回は寝不足で途中で寝ちゃっただけだからな。
と負け惜しみを喚きながらこちらに寄ってくる。
そして2人とも力を込めたハイタッチでこの勝負は終えた。
(力を込めて)
ウサギとカメのオマージュ
あれから数日過ぎたけど、あの人は今大丈夫だろうか?
数日が遠く感じる。
大丈夫ならいいけど、もしもを考えると気になって仕方ない。
(過ぎた日を想う)