足り過ぎた贅肉

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僕の足は確かに速くない。
アイツに正面から向かっても到底叶わない。
でも、アイツに勝る持久力がある。
勝てなくてもいい。負けなければいいんだと自分に言い聞かせて足を前に前にと進める。
向こうの丘に続く道の先にアイツの姿が見える。
もう走っていない。
それを見た瞬間に今行かなきゃと足に更に力を込める。
勢いはどんどん増して、気がついた時にはアイツを追い越してゴール目前まで来ていた。
気を抜くな。
残った力を再び込めてゴールテープを切る。
勝てた。遂に勝てた!
そう喜んでいるとアイツが息を切らせながらゴールした。
今回は寝不足で途中で寝ちゃっただけだからな。
と負け惜しみを喚きながらこちらに寄ってくる。
そして2人とも力を込めたハイタッチでこの勝負は終えた。
(力を込めて)

ウサギとカメのオマージュ

10/7/2024, 1:23:29 PM