足り過ぎた贅肉

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その娘は不思議な力を持っていた。涙が宝石に変わるというのだ。
そしてその娘は、国によって保護され人との接触を避けるように地下の施設に幽閉されていた。
一応の自由と健康は保たれ、できた宝石は職員が回収していく生活をずっと続けていた。
そして、ある日新しい職員がやって来て娘の世話をするようになった。
その職員は「あんたの流す宝石で地上の奴らは裕福に暮らし、そのせいで逆に堕落しきっている。仕事をしないでも不自由なく生きられるんだからそうなるに決まってる。ほとんどあんたの流す涙のせいだ。」
とぐちぐち言ってきた。今までずっと丁重に扱われていた娘は驚き、そして今まで感じたことの無い気持ちになり、大粒の涙を流した。
「だから泣くな。涙を流すな!」
そう怒鳴られ、更に泣いた。
遂に部屋は宝石で埋め尽くされ、娘はその圧によって死んでしまった。
宝石はもう増えない。
この部屋の宝石が終わったら地上で恩恵を受けていた堕落しきった国民達は、繁栄していた国は、滅びへ向かうだろう。
ただ一人の娘に頼りきっていたと気付いた者達は後悔に涙を流した。
(涙の理由)

グリム童話・真珠姫のオマージュ
(ただしストーリーの流れのみ)

10/10/2024, 1:06:56 PM