おゆさゆ

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3/4/2026, 2:20:30 AM

ひなまつり

桃の節句の食品売り場には
なぜか桜のお菓子がいっぱい

日本人は桜が大好き

桜 蛍 線香花火
風鈴の音 手のひらの雪

望んでも消えてゆく光と音に
自らの自然の命を感じる

お祝いをしよう 今日の節目に

陽射しを知る背中が
風を知る耳たぶが
礎を知る母指球が
時を知る律動が

今ここに生まれた証

ありがとう おめでとう

3/3/2026, 9:13:34 AM

たった1つの希望

海で貝殻を拾った
さくらの塩漬けのような
香りと味がしそう

川で石を拾った
人によって青とも緑とも言う
あの信号機のように
丸くて透き通り
すべすべと湿っている

全部持って帰りたいけれど
置くところがないと言われ
仕方なく吟味して
一つを選ぶ


水底の砂をどかせば
探し求めていた石

持って帰れば
仕舞われたまま
持ち主を忘れる


自由に生きる時代
数多の選択肢の中で
選択という不自由の中で

あんなにたくさんあった希望は捨てられ
たった一つ残った希望も忘れ
また新しい別の希望を探しに


あるとき
「わたしののぞみ」
と声にしてみる
言葉がわたしを探し始める
選ばれなかった望みたちが甦る

私の声と言葉が型を作る
内側が希望で満たされる

順番が逆だったのかもしれない
宝石は言葉で創り出せるのかもしれない

たった一つのわたしの希望を

3/1/2026, 10:55:13 PM

欲望

顔を見たい
名前を聞きたい
触ってみたい

味を知りたい
秘密を知りたい
私のものにしたい


わたしの汚いはらわたを
理解して欲しい
認めて欲しい
許して欲しい

助けて欲しい
愛して欲しい


先生は 親は 友達は
神様は
私を欲してくれますか

私はいつか
わたしを許せるでしょうか

3/1/2026, 5:38:50 AM

遠くの街へ

南緯22度54分、西経43度11分

東京の真裏 遠くの街へ
最短距離
つまり地球の中心を通って
意識を飛ばす

写真や動画
あるいは絵でしか見たことのない街

知らない路地 におい
知らない言葉 鼻母音
知らない空 陽射し

そんな日は
折り畳み自転車をひらいて
散歩に出かけてみよう

いつもの風景 今日のにおい
通り慣れた道 地面をはつる音
同じ空 あれは彩雲と言うのだっけ

遠くの街まで24時間
飛行機の中で

昨日の空から今日の空へ
布団と私の暖かさの中で

知らない街へ行ってみたいな
知らない明日はどんなふうかな

2/28/2026, 9:56:41 AM

現実逃避

夢の中で
私は空を飛ぶ
翼はない
地表を滑るように飛ぶ
風はいつだって心地よい
そしてうまく体に力を込めると
雲の上まで飛ぶこともできる

鳥のように自由にみえるけれど
実はなかなか疲れるしとても怖い
空にも不自由はあったのだ

墜落して目が覚めると
布団のありがたさに安堵する

あるいは金縛り

手足を動かそうと意思すれば
きっと動かない現実に直面してしまう
だからあえて動かさない
ただ恐怖に耐えている

目を開けてしまえば
胸の上に乗って居る何物かを見てしまう
だからあえて目を閉じている

恐怖感と緊張感だけがリズム良く高まっていき
パチンと目が覚めると
やっと束縛からの逃避に成功する


生きることが辛いとき
食事も 呼吸も 辛いとき
死は「逃げ場所」を自称して私を誘う
楽になれる薬があるよ

でも と私は反論する
夢の中にだって現実はある
死んでプリンセスに生まれ変わっても
私はいっだってわたしだし
いつもベッタリ現実とくっついているじゃないか!
逃避した先にも現実は待ち構えているのだ!
いつだって現実から出られないじゃないか!

すると私に論破された死は
魅力を失ってしぼんでゆく

一応 死には勝ったけれど
この現実とどう生きて行こうか
また途方に暮れながら
わたしは腹を膨らませて息をしている


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