おゆさゆ

Open App

たった1つの希望

海で貝殻を拾った
さくらの塩漬けのような
香りと味がしそう

川で石を拾った
人によって青とも緑とも言う
あの信号機のように
丸くて透き通り
すべすべと湿っている

全部持って帰りたいけれど
置くところがないと言われ
仕方なく吟味して
一つを選ぶ


水底の砂をどかせば
探し求めていた石

持って帰れば
仕舞われたまま
持ち主を忘れる


自由に生きる時代
数多の選択肢の中で
選択という不自由の中で

あんなにたくさんあった希望は捨てられ
たった一つ残った希望も忘れ
また新しい別の希望を探しに


あるとき
「わたしののぞみ」
と声にしてみる
言葉がわたしを探し始める
選ばれなかった望みたちが甦る

私の声と言葉が型を作る
内側が希望で満たされる

順番が逆だったのかもしれない
宝石は言葉で創り出せるのかもしれない

たった一つのわたしの希望を

3/3/2026, 9:13:34 AM