瑞葵

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11/22/2022, 4:48:54 PM

私の親友が夫婦になりました。

とてもめでたいことです。

新郎と新婦と私の3人は親友でした。

カエデはいつも言ってました。

「ずっと三人でいよう!」

私の気持ちも知らずにいつも楽しそうで。

そしてカエデが選んだのはアカネでした。
私の儚い恋心は、伝わる前に死んでしまったのです。

そこから月日が経ち、今日を迎えました。
死んだ恋心は全く消える気配がなく、いつもと違うカエデを見て、燃え盛るように熱くなっています。

この三人の関係が今日で終わってしまう。
そうなったらやっと。
やっとこの気持ちに区切りがつくと思っています。
ただの自己満足なのかもしれないけれど。

私はアカネに手紙を渡しました。
一種の呪いです。


「結婚おめでとう。
 物心ついてから今まで隠してたことがあります。
 私は楓のことが好きです。
 ずっと男でありたかった。
 そうしたら楓は私を選んでいたかもしれないから。
 でも、そうだったとしてもきっと明音を選んでたよね。
 私を親友だと言ってくれたことにとても感謝してます。
 いままでありがとう。お幸せに。」


恋だけじゃなくて、幼馴染としての思い出もたくさんあるから、お別れは苦しいけど、私の中でけじめをつけなければ。



さようなら。ふたりとも幸せにね。




_夫婦_

11/21/2022, 11:29:25 AM

「じゃああなたはどうすればいいの?」

27歳。母から問いかけられた。

現実に慣れ始めてしまった。子供の頃に描いていた大人は、こんなんじゃない。もっと楽しくて、自由だと思っていた。

社会人になって、高校・大学とはまた違う空気感に溺れた。

夢見てた大人になれないまま、いつの間にか20代最後の月がやってきた。自分が何をしたいのかもわからない、楽しみもなにもない大人になんてなりたくなかった。私はどうしたいんだろう。どうすればいいんだろう。
すでに両親からの結婚のプレッシャーはかけられなくなった。諦められたのだ。安心している反面、申し訳無さも感じる。
なんの取り柄もなくて、支えてくれる人もいないこの状況に、無意識に焦っているのだろう。子供みたいだ。いや、実際子供のままなのだろう。こんな私だから、母がああいうことを聞いてきたのにも納得できる。気づけたとしても、それに3年近くかかったのだから、何も成長できていない。せっかく未熟さに気づくチャンスをくれたのに、素直に受け取らずに拒否してしまった。
気づくのが遅かったなぁ。今気づいたって遅すぎる。もう取り返しがつかない年月が経ってしまった感じがする。
さあ。私は来月で30歳。未熟な大人。熟しすぎた子供。どっちになりたいか考えつくそう。




_どうすればいいの?_

11/20/2022, 3:09:23 PM

掃除をしていたら懐かしいものが出てきた。
「ぼくのたからもの」
小学生の時に書いた作文だ。昔のことすぎて、あまり覚えていない。

「ぼくのたからものは、野きゅうのバットです。お父さんに買ってもらいました。一生つかいつづけます!」

小学生らしい、普通の内容だ。そういえばこの頃のものってどうしたんだっけ。あぁ、中学に上がるタイミングで捨てたんだ。少ししんみりした気持ちになった。
でも逆に考えてみる。今もバットが変わらずあったらどう思うだろう。......邪魔だ。今はもう野球どころかスポーツすらやっていないのだ。また、今小学生の頃に使っていたものがあったらどう思うか。......これも邪魔。着れない服なんてあっても使うことなんかないし、積み木なんかでは絶対に遊ばない。

宝物って何なんだろう。

いつかは要らなくなってしまうし、捨ててしまう。作文があったおかげでバットのことを思い出せたが、作文がなかったら忘れたままだった。これは言い切れる。なんだか悲しくなった。小学生の頃の宝物はもう捨てた。何が宝物だったかなんて覚えてもいない。

いや、違う。そうじゃないんだ。

「たからもの」は、そのモノ自体のことじゃなくて、それと一緒に作った大きな思い出のことなんだ。そのモノを大切にしていた頃の思い出は暖かくて、その頃に戻りたくなるような儚さがある。
現に、作文を読んで、バットの手入れをたくさんしたことよりも、父に買ってもらったときのこと、友達と野球以外でもたくさん遊んだこととか、当時の楽しかった記憶が溢れ出てきた。バットはもう捨てた。し、その他の「たからもの」もきっと捨ててしまった。「たからもの」だったことすら忘れてしまったモノがほとんどだと思う。

でも何かをきっかけに思い出すかもしれない。
その過去の思い出が、今の「宝物」、昔の「たからもの」が今の「宝物」(思い出)なんだ。



_宝物_

11/19/2022, 3:25:48 PM

あれはいつ頃だったか。確か姉が高校生の時だから、小4か。あの頃の我が家は荒れていた。不良になった姉、それに怒る父、ヒステリックな母。家がそんな感じだから我儘はなるべく言わなかった。僕はまだ幼かったからなにも出来なかったが、なにかしないと崩れてしまいそうな、そんな家だった。
その頃、僕はサンタさんは両親だと知っていた。だけどまだ夢見ていたかった。それに、自分から両親にそれを伝えてしまうとプレゼントがもらえなくなる気がして、言えずにいた。僕まで両親の逆鱗に触れてしまいそうで怖かった。だから、少し変わったプレゼントを頼んだ。
キャンドルだ。
格好いいやつとか、いい香りのやつとか、色んな種類があってもともと気になっていた。本当はサッカーボールが欲しかったけど。流行りのゲーム機が欲しかったけど。我慢した。当時の気持ちを思い出すことはもう出来ない。
だがこれはただの予想に過ぎないが、僕はかまってほしかったのじゃないか?友達にクリスマスプレゼントを聞かれたら「キャンドル」と答える。一目置かれるだろう。家で両親は姉ばかり気にかけるから、近所のうわさ話も姉のことばかりだから。とにかくかまってほしかったのだろうね。
結果、両親は本当にキャンドルをくれた。友達に変わり者と呼ばれるようになって、孤立した。近所のうわさ話には僕どころか姉の話題すら上がらなくなった。
僕は本当に馬鹿なことをした。1年に一回のプレゼント。大してほしくもないキャンドル。変わらない、むしろ悪化した関係。本当にただの馬鹿だ。その気持が今でも一番強い。馬鹿だよな。


_キャンドル_