朝、恐る恐る左親指の絆創膏を外すと、空気に触れた親指がプルプル震えていて、真っ白で、
母親から、「ある程度血が止まったら、絆創膏は外すんだよ」と、言われた事を忘れてなくて、
まだ、水にも空気にも慣れていない親指を気遣うように、4本の指も震えていて、
洗濯物を干したり、お風呂掃除したり、トイレ掃除したり、たまに血が滲んでくると、
ティッシュで拭いてやって、
だんだん親指の色も戻ってきて、4本の指の作業に加わってきて、
労るように人差し指が、痛みを確かめていて、
人差し指の腹を親指が撫でて、無で合って、中指が加わって、薬指が加わって、小指が加わって、お互いに労るように痛みを確かめあって、無で合って、
敏感だった親指の先が、空気にも水にも恐れなくなったころ、
わたしは、ふぅーーーっと、親指に息を吹きかけてあげた。昔、母がやってくれてたように。
でも、傷口はまだチリチリと痛くて柔らかくて、やった直後よりも痛みを感じるようになっていて、回復する過程を、痛みで確かめてみる。
今朝は初積雪で、出かける予定があったけどやめた。
お昼食べてから小松菜の副菜を2品と、ポテトサラダを作り、豆乳シチューの材料の白菜をザクザク切っていた時に、自分の左親指の爪と指先も削いでしまって、すぐに絆創膏を探して貼った。
ニトリルの手袋を嵌めて、切っていた白菜を捨てる時に自分の削いだ爪と親指の先っぽを見つけて、全部生ゴミに捨てた。
まな板も包丁も綺麗に洗浄して消毒した。
それから白菜とネギとシメジと玉ねぎと、切って炒めて煮込むだけだったので最後までやり通した。
………白菜をザクザク切っている時に、自分に腹を立てていて心此処に在らず、手元を見ていなかった。だからそんな事になった。
料理が終わって台所を綺麗にしてから雪かきした、、寒いからか、痛みはほとんどない、血だけが大騒ぎしてる。
『北の国から』はなんであんなにオモロイんだろ。
草太兄ちゃんがいろんな人の名言をメモっていて、
草太メモ、「怪我はそのうち治るけど、言葉で受けた傷はなかなか治らん」
草太メモ、「病気は治るが癖は治らん、お前のバカは癖だから治らん」
草太メモ、「バカにつける薬はない、だけど、腕力は多少の気休めになる」
とりあえず、削いだのが親指でよかった。人差し指だったら、逃げ場がなかった。
明日は雪が1日中降る予報。
今日は休みだしひとりだし、昼間は光熱費節約で布団に潜り込んで『北の国から』を観ていたら、近所でまた移住して来る家族が居るみたいで、ピンポンされて、ぅーと思いながら玄関へ。
玄関開けると、雨。
にこやかなご家族に挨拶されて、ご挨拶の品を受け取った。
再び、寒いリビングに戻って、掛け布団に潜り、『北の国から』を観る。
子供って、あんなに走るんだーー……
なんで、あんなに走れるんだろ。
こんな集落に、何を好き好んで移住してくるのやら、、町中に居たほうがいいのにと思ってみたり。
先日、白菜が安かったので、今日は漬物を作った。レモンと生姜と塩と、庭で栽培した唐辛子を入れて漬け込んだ。
この間市場で買った国産のレモンを塩レモン漬けにした。
ゴボウとニンジンを味噌とみりんで漬け込んで3日目、夕飯に食べてみたら美味しかった。夜は少し食べて、よく眠ること。
今晩は風が強いから、明日の朝は道が凍るかもしれない。冬の足音は、夜中に聞こえてくる。
贈り物の中身。
昨日のこと、小さい荷物が届いて、どうやら夫がどこかで注文したらしく、箱は開けずにそのままタンスの上に乗せて置いた。
とても軽い。
で、
夫帰宅後、なんかゴニョゴニョ言いながら開封して、台所に居たわたしの所へ持ってきた。
「これ、台所をあっためる温風機だよ、」と。
「ち、ちっさ!これで?台所があったくなるの?」
「小さいけど、大丈夫なんだって、手のひらサイズでどこへでも持ち運べる、39日間使って駄目だったら返品できるから、」と。。小さい割には、モーターがうるさい。
………ごめん、すぐ、返品したいと思った。ほんとに手のひらサイズで、確かに温風は出るには出るけど、若干あったまるかなーーってほど。11℃の台所が、1時間後には14℃くらいにはなった。1時間位は料理したりするし、煮物していればそれくらいはあったまるし、炊飯していればもっとあったくなる。
せっかく久しぶりのプレゼントだし、「返品したい」、とはすぐには言い出せず…、
わたしの事を考えてくれたのは嬉しいんだけど…。
今日の昼間、この温風機で足をあっためながら、『北の国から』を観ているうちに、、このままでもいっかな、と思えてきた。
わたしのためにと選んでくれたもの、使える使えないで判断してはいけない。
使える、使えないじゃないんだよ!
モーターがうるさいくらいどってことないんだよ!
♪あーあーあああああーあ、
あ、あーあああああー、
んーんーんんんんんー♪
♪んんんーんんんーんんんー♪
♪〜〜〜〜♪〜〜〜〜〜〜♪〜〜
………………………………………………………
さっき夫が帰宅して、昼間の『北の国から』効果がすっかり消えて正気に戻ってたんで、「ごめん、これ返品したい、」と伝えた。
9900円(送料込み)ほどするなら、ホームセンターでそこそこの大きさの静かなヒーター買えます。そっちの方がずっといいです。
北の国からのドラマを一度も観たことがなくて、毎日ではないけれど今頃観ている。。
純が、「電気がない、どうすんの! 冷蔵庫は! テレビは!」のシーン。
引っ越して来た時を思い出した。
決まっていた会社には行かないと言い出した夫に、「仕事行かないでどうすんの! 全員無職でどうすんの! もう東京へは帰れないんだよ! こんなヘボ田舎にみんなで来て、これこらどうするつもり!」
楽しかったなー。
夫に、「車の免許取ればいいんだよ、主婦のパートならいくらでもあるよ」と、言われて、もうそれしかない…と思った。
楽しかったなー。
畑の中途半端な切り株を3つ、2年以上かけて最後の1つを引っこ抜いた時の喜び。。
近所の人に、「畑、イノシシに荒らされたの!」と聞かれて、確かにうちの呑気なイノシシがあっちゃこっちゃ畑をほじくり返していて、、
初めてインゲンを植えて芽が出た時の気持ち、純が大根の芽を見た時と同じ気持ち。
初めて迎えた冬には、「オリオン座の中の星まで見えるよ! 来てごらん、」と、はしゃいだ夫。
鼻毛や睫毛が凍るほどではないから、凍てつく星空、、ではないと思うけれど、
ひとつひとつの出来事を思い出すたび、ピカっピカっとタツノオトシゴが光る。