雨槻

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2/23/2024, 9:46:11 AM

太陽のような

『太陽のようなあなた。いつも明るく笑っていて元気

な人。どんなに辛くても、みんなの期待に答えようと

して、本当の自分を出せずにいるあなた。本当は苦し

いのに、辛いのに、みんなの太陽でいるために一生懸

命に涙を堪えて笑っている。だから、あなたがひっそ

り泣いているのを見て、私はあなたの太陽になろうと

思いました。』その手紙を見ると、視界がぼやけて文

字が見えなくなります。手紙に滲みができて、私の太

陽であったあの人を思い浮かべるのです。いつも私に

笑いかけてくれて、あの日も自分が女子トイレに入っ

たことは内緒だと言いながら私の目元をハンカチで拭

ってくれました。あの時から、いやそれより前から彼

は私のヒーローだった。どんなに辛いことがあっても

彼がいたから私も笑っていられた。彼にとって私が太

陽であったように私にとって彼は太陽だった。

2/14/2024, 11:58:00 AM

『バレンタイン』



義理チョコだと偽ってあなたに渡す本命チョコ。


『幼馴染み』友達としては近いのに,好きな人になっ

た途端急に遠くなる。だから私は今年もあなたにマカ

ロンを渡す。あなたが意味を知っているかはわからな

いけれど。手作りのものをもらう貴方のお菓子の中じ

ゃ霞んで見えるかもしれないけれど。私はマカロンに

想いを託して今年もまた、貴方に嘘を吐く。

1/30/2024, 9:54:57 AM

I LOVE…


I LOVE YOUを「月が綺麗ですね』と訳したのは夏目

漱石だったか。文豪はあまり詳しくない。けれど、や

やこしい話だと思う。シンプルに月が綺麗だというこ

とを伝えたいのに勘違いされたらたまったものじゃな

い。だけど私はその間接的な表現が好きだった。

「月が綺麗ですね」

真横から聞こえてきたその声に気づくのがワンテンポ

遅れた。横を見ると顔を真っ赤にした君がいて、マフ

ラーに顔を埋めている。だから私はこう返そう。

「私は死んでも構わない」

12/7/2023, 1:08:57 PM

部屋の片隅で



部屋に溢れるたくさんの箱。思い出の品を見返しなが

ら必要なものだけ詰めていく。小学校時代のアルバ

ム、友達とした交換日記、好きな人に渡せなかったラ

ブレター。沢山の思い出が出てくる。最後はこの棚

を片付けて終わりだ。棚をどかすと部屋の片隅の方に

光るものが見えた。拾い上げてみるとアイツからもら

ったおもちゃの指輪だった。まさか今出てくると

は、、、まあこの指輪にはもう用はない。私は今日こ

こを出ていく。この指輪もあの頃の思い出と一緒にこ

こに置いていこう。そして私は新しい新居へと向か

う。母の「辛くなったらいつでも帰ってきなさい。ま

ぁ、小さい頃から大好きだったからなんの問題もない

だろうけどね」という言葉を聞きながら。そんな私の

薬指にはアイツからもらった指輪が光っていた。

12/5/2023, 11:31:59 AM

眠れないほど



私は貴方を愛していた。けれど、それはあの頃は許さ

れない恋だった。ずっと愛していたのに。私の身分で

は愛せない人だった。そして、先週彼女が亡くなっ

た。それ以来私の夢には彼女が出てくる。そして最後

には必ずいなくなってしまう。私はその夢を見るのが

怖かった。あんなにも愛していたのに。今の私は貴方

に会いたくなかった。あの頃の私は眠れなくなるほ

ど、貴方のことを考えていたのに。今となっては夢の

中で貴方に会いたくない私は眠れない。今でも私は貴

方に縛られている私はベッドの上でそう実感しながら

左手の薬指にある銀色の輪を見つめていた。

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