『命が燃え尽きるまで』
医師に宣言された。
その宣言は、私にとってやっと聞けた言葉だった。
そう、医師が言った言葉。それは、「寿命は、、」と言う言葉だ。
私はその言葉を楽しみに病室に居たんだ。
やっと、やっと。やっとなんだ。やっとすぎて、私はもう、わからなくなった。
「せんせい、じゃあ、わたしはもう、おくすりをのまなくてもいいの?」
ずっとずっと、待ち望んでいた。
暗い世界か、パッと明るくなる。
「お薬を飲まないと、きみは生きるのが難しいんだよ」
しってる。そんなこと。
早く、私は寿命を使い切りたかったんだ。
前世どんなことをしたら、こんな寿命の終え方をするんだろうか。
今まではずっとずっとそれだけを考えて、堂々巡りだった。そんな日常が、やっとトンネルからすり抜けるかのように、明るく、眩しく、目の前に現れたんだ。
私はあまりの嬉しさに、周りからしたらとても気味の悪いであろう、笑みを浮かべてしまった。
「きみを助けられなくて、本当に申し訳ない。」
せんせい、そんなこと言って、本当は手のかかる子がやっと1人今日も消え去る予定ができて嬉しいんでしょ?わかってる。わかってるの。わかってるから、そんな、丸わかりな嘘を被らないでよ。
ママとパパが、あなたにどれだけお金をかけたと思ってるの?って、いつもせんせいが、言われていることだって、わたしはしってるんだよ?
わたし、そんな無知じゃないよ。
わたし、そんなにばかじゃないよ。
わたし、そんなにそんなに脳みそないわけじゃないよ。
ねぇ、せんせい。
ねぇ、ママ。
ねぇ、パパ。
早く、消えるから。
そろそろ火が消えそうなろうそくみたいな、ほのかな火すらも、頑張って、消すから。
お願いです。
大好きだったおねえちゃんに、会えますように。
ママとパパが言ってた。
わたしはお荷物なんだって。
ほんとうはいらないこなんだって。
だから、どうか、せめてでも、おねえちゃんのところへ、いけますように。
誕生日まで生きれないことも、この体をずっと操ってたからわかるよ。この体に魂が宿ってたんだから、自分でわかるんだよ。
倦怠感が日々増えていく。
ご飯すら食べれなくて、チューブで食べて、トイレも自力でいけない。
まるで赤ちゃんだね。
そんな自分が嫌で、恥で仕方なかった。
ひとりぼっちの世界で、途方に暮れるのかな。
おねえちゃん、むかえにきてね。
『命が燃え尽きるまで』
『今日の心模様』
日々気持ちが変わるのは当たり前のもので、私はある一つの記憶を思い出した。
その記憶は人に言うような内容ではないし、ここに書くような内容ですらない。
でも、あえて今日の心模様を表現するのであれば、台風並みの雨だと思う。
過去のことが辛くて、しんどくて、助けてと言える相手をあえてブロックした。すべて。
台風並みの雨が来たら、家にある扉や窓を全て閉じて、雨が入らないようにするでしょ?
それと同じように、私はわざと、わざとね?扉や窓を全て閉じたの。
でも、別に台風ではないから、外には出れてしまうの。だから、吐き出す手段として、ここに想い想いに、満足のゆくまで文字を書き留めていこうと思った。
今までずっと、誰かしらには死を願われてきた私は、そこから逃げ出して、逆に今、生きてと求められる、なんだか少し不慣れな、そんな私になった。
死を願われることが私の幸せだった。
ただ、ずっとずっと、苦しくて、つらくて、台風の滴る雨のように、私の瞳からも滴るように涙が出てくる。
それは簡単に止まるものではなかった。
台風が颯爽とひとつひとつと県を跨ぐように、私の心も苦しいと言う気持ちを超え、辛いと言う気持ちから抜け出し、そして最後には心臓が痛むくらいに生きていることに関して、ひどく後悔をするのだ。
なぜそこまで死を望まれていて、自分でも死を望んでいるのに、そう簡単に死への一歩を踏み出すことはできなかった。
それはある意味幸せなのかもしれない。
台風が過ぎ去った後の晴れた天気みたいに、いつか私のザーザー雨の気持ちが、晴れ晴れするかもしれない。
そんなわけないか。
一度でも、消えたいと言う気持ちを超えた感情は、一生まとわりつくのだ。
私の人生がこれから、どんなにいい人生になるとしても、きっと過去のことを思い出して、また振り出しの気持ちに戻る。
振り出しの気持ちとは、台風並みの雨。
一度思い出すとそこから抜け出すことは至難の業。
ひとりで抜け出そうだなんて、馬鹿げたことを考えず、人に頼るのが1番だ。
たた、人に頼ることによる欠点が一つある。
それは、弱みを見せると言うことだ。
一度弱みを見せると、私の気持ちがその人のおかげで晴々したとしたとしても、その人が「でもおまえ、あの時こうだったよな、ほんと、私に感謝してよね。」なんて、言いかねない。
そうなのだ。
人は、弱みを見せられ、頼られ、状態がほどほどに出会った頃と同じくらいの精神状態になると、自分が相手を救った。なんておこがましい気持ちを抱き、さらにそれについて、感謝を求める時があるのだ。
それはいい関係と言えるのか。
助けてもらったからと言って、弱みをネタのように毎度出してきて、そして私の心模様が再び台風並みの雨になった時、その人が「あの時救ってやったのに、またかよ。」と言う場合だってある。
全ての人が優しくて、手を差し伸べてくれるわけではないのだ。だから私は、あえて、わざと、意図して、図って、助けてと言える相手をブロックしたのだ。
それは1人という単位では表せない。
2人かもしれないし、3人かもしれない。
そうだなぁ。今日、5人ブロックした。
たった5人、されど5人。
これでいいのだ。
あるアプリのたまたま出会った人たちなのだから、たまたまということで、距離を離すことだってしていいはずだ。
私って、つくづく、メンヘラだなと思う。
グループラインも、絵文字ひとつ送り、朝の5時30分頃に退会するくらいにはメンヘラなのだ。
出会った時のアプリのアカウントももちろん消した。
だから、ね?もう、出会いませんように。
この短い間、ずっとずっと楽しかったし、すごく仲良くなったと思う人だっている。
だからなのだ。
仲良くなってしまったからこそ、距離を置く。
定期的に発動する、人間の整理整頓。いや、断捨離という言葉が合うのかもしれない。
でも、定期的に繋がった人をブロックしてしまうとは言ってあったし、もう、いいのだ。
もし、また話したくなったら自分から声をかければいいのだし。ああ、ブロックしたから、声かけれないね。
新しいアプリのアカウントだって教えてない。
なんなら、だいぶ変な名前にして、多分気づかれないと思う。
ここまで想い想いを書き尽くして、私の心模様は少し変わった。
台風並みの雨が過ぎ去り、霧雨に変わったのだ。
もう、台風という単語は必要ないくらいにはスッキリした。
もし、これを読んでるとしてさ、君はここまで読んで、どう思った?
私のこと、面倒臭いと思った?
ああ、それは常々、きっと思っていたよね。
また関わりたいと君が思っていたとしても、私は今は関わりたくない。
もしまた関わりたいと思ってさ、私のこと探して。って、思ったら、またこのアプリで君と関わりたいよと、つらつらと文字にしてみるよ。
みんなに伝えておいてほしいなあ。
みんなと話してね楽しかったよ。って。
君にしか、このアプリでこんな文章書いてることなんて言ってなかったからさ。いやあ、悪いね。手間。かけさせてしまって。
今日の天気は雨。天気予報によると霧雨の方が多いらしい。
私の心も霧雨だよ。
ねぇ、ここまで読んでくれてありがとうね。
すごく好きだったよ。君のことだけじゃない、みんなのことが、とても好きだった。
関わらなくなっても、私の気持ちを書き綴ったこんな文章を読んでくれるかなあ。
どうか、私と関わった人が幸せになってくれますように。私の霧雨で、花壇のお花が綺麗に花が咲きますように。開花しますように。
今日の心模様。
『雫』
まるで夢の中にいるみたいだった。
母親になるという覚悟が決まったのはつい10ヶ月前。
ずっとずっと、お母さんになりたくて、夢見ていた。
旦那もお父さんになりたいと、私と一緒に夢を語ってくれた。夢を語らせてくれた。
今日、私と旦那はお母さんとお父さんになる瞬間だったのだ。旦那はひたすら私の汗を拭ってくれて、助産師さんも優しく声をかけてくれる。あとは我が子が私たちの元に来るだけだった。
女の子と聞いた時、私も旦那も喜んだ。
着せたい可愛いお洋服や、おもちゃ、ベッドにおしゃぶり、他にもたくさんたくさん準備したし、アドバイスももらったんだ。
我が子のために私は健康意識で毎日散歩することを意識した。旦那は私1人だと心配だから。と毎日早く仕事を終わらせてくれて、散歩についてきてくれた。食事にだって、気を遣った。この子がすくすくと大きく、ただ生まれてくれればよかったんだ。生まれつきの障害があってもいい。後々障害が判明したっていい。
私は、生まれる前の我が子がひたすらに愛おしくて、ひたすらに毎日愛でていた。
そんな我が子が、ついに会えるんだと、痛みと共に喜びで震えた。
何時間経ったのだろうか、意識が朦朧とする。
やっと会える存在が遠く感じた。
なぜだか、涙が止まらなかった。
今日は曇り空の時より雨。
何でだろうか、我が子の声なのかなあ、聞こえるんだ。
「くるしいよ」と。
私も苦しいよ、苦しい。でも、あなたも苦しいわよね。
私はふと意識を戻した。
さっきまでがまるで夢の中にいるみたいにふわふわしていて、つらいはずなのに、つらさを感じなかったのに。
我が子の言葉で、私は意識をはっきりと戻したのだ。
そして告げられた。
「赤ちゃんの命と奥様の命、どちらかしか助からないとしたら旦那様はどちらを取りますか?」
やめてよ、そんな、ちょうど私が意識をはっきりとさせた時に限って、そんな話しないでよ。
「そんな、嫁も、我が子も、助かる方法はないんですか?」
「旦那さん、もう出産で20時間経ってるんですよ。ずっと旦那さんがもうちょっとというので、待っていましたが、もう、もう、どちらかしかないんです。」
「なぁ、しずく?俺はまだお前と生きていたいよ、しずくはどう思う?俺たちの子だ、お前がいなきゃ、俺は1人じゃこの子を幸せにできる気がしないよ」
この10ヶ月間泣き虫のあなたは一度も泣かなかったわよね、なんなら、この先も泣かないぞ!と気合い入れてたよね。
私のために涙を流してくれる。それだただひたすら嬉しくて。もっと泣いて、もっと、もっともっと、私の代わりに考えて、困って、命の重みを感じて。
私がずっと夢見たいな気分だったのは、我が子との最後の時間だったからなのかな。あなたが娘を選ぶというのが決まっといたから、せめてでものつもりで、神様は夢の中で私と我が子の時間を作ってくれたのかなあ。
でも、神様が本当にいるなら、もし本当にいるなら、私も我が子も生きてるはずよね。
聞きたくない、でも聞かなきゃいけない、旦那の判断。
「俺は、、、。」
気がつくと、私は冷たくなった赤ちゃんを抱いていた。
旦那は私を選んだのだ。
「あなた、、?」
「ごめん、ごめんなあ。しずくを、とってしまった。
しずくには赤ちゃんが必要だったかもしれないけど、俺には赤ちゃんよりしずくが必要だったんだ。」
「あかちゃん、冷たいね。」
「なぁしずく、この子に名前をつけよう。この子のために買ったもの全てに決めた名前を書くんだ。」
「たった1人の、私たちの子だもの、私もそうしたい。」
「おもちゃだって、絵本だって、全部に名前を書いて、この子を一生赤ちゃんとして、可愛がろう。一生手がかかって、一生かわいい、俺たちの子だよ。」
「うん。」
私の名前はしずく。
私と旦那のもとに生まれた子はレインボーベイビー。
雫
『もしも未来が見えるなら』
もしも話が大好きだった。
小さい頃から、50歳になった今も好きで、よく友人たちともしも話をする。
昔は友人たちとの連絡もなかなかだったが、今は便利な世の中というもので、スマートフォンのアプリでほぼ毎日のように友人たちと会話するのだ。
声を交わさずとも、高校時代の頃のような、あの楽しかった日々を会話するだけで思い出せる。
そんな日々にただ浸りつっける。
良かったことも、悪かったことも、言い合って、何気ない会話を交えながら、今度会おうと約束を交わそうとする。
「なぁ、よしき、来週にでも会いに行ってもいいかい?」
「おまえさん、本当に高校の時から変わらないんだから。」
そういえば、高校の仲良いグループを作ったのは俺だったし、みんなの進路がバラバラになっても会う約束を作るのは俺だった。なんなら、仕事が始まってからの毎年の忘年会も俺が誘って、みんなが仕方ないなあと集まってくれていた。
そんなことにも懐かしみを感じた。
なぜだろうか、なぜみんな集まってくれるのか、俺はふと疑問に思えた。
これがもし夢だとしたら?
もしかして、これは俺の幻で、本当はもうみんなも縁が切れていたりして?
いけないいけない、俺の大好きなもしも話が始まっとしまった。
「なおみとみさき、たくやも呼ぼう。人は多ければ多いほど楽しいんだから。」
「なおみちゃんは最近忙しいみたいだぞ?それにみさきちゃんも関東から出たと言っていたじゃないか、たくやはまぁ、呼んだら来てくれるだろうがわしとおまえさんだけだったらあいつは楽しめないだろう。なんてったって、あいつは生粋の女好きなんだからな!」
はっはっはと笑い飛ばすよしきになんだか不信感を覚えるが、そのまま話を続けた。
「なおみとみさきは来れないのかあ。じゃあ、またみんなでグループで話そうじゃないか。声が聞こえなくとも、昔のようなやりとりをしたらまた楽しめるかもしれないじゃないか。」
「はぁ。」
よしきは大きなため息をつき、小さく息を吸った。
そして、ボソリというのだ。
「現実を見た方がいいんじゃないか?」と。
「現実ってなんだよ、俺はいつだって現実主義さ。」
「もし未来が見えたら、いいのにな。」
「なにがたよ、よしき。」
5分が経ち、10分が経つ。だか何もこない。
なぜだろうか、なんだか鳥肌がたった。
どんどんどん!!!
と強く扉が叩かれた。
田舎ならではの鍵開けっぱなし文化で、俺はこの瞬間、死ぬことが決まったのだ。
「おまえさん、昔話は覚えてるか?」
よしきは出刃包丁を握っていた。
ここから俺の命のタイムリミットが1秒、また1秒と縮まっていったのだ。
「そんなの、しすぎてどのことかわからない」
「あーそうか、お前はそう奴だったもんな?」
よしきは俺の腹をいきなり刺し、にっこりと笑った。
「お前たちはいつも俺をネタで人殺しって言ってたよな?いじられキャラだから?俺のことを人殺しって言ってたんだよな?」
恨みを超えたような表情でよしきはまた俺の喉元を刺してきた。
「最初はな?殺しやすい女から殺したんだよ。なおみちゃんも、みさきちゃんも、妙に変が遅いと思わなかったか?なんなら、同じタイミングで携帯電話を変えたと言ってたなあとか、思わなかったのか?」
痛みで頭の痛みで思考が停止するが、確実にわかったことが一つある。
殺人鬼に仕立て上げたのは俺たちだったんだ。と。
「おい、答えろよ、最後に脳天をブッ刺してやるからさあ。あの頃に俺に振りかざした言葉、全部言ってみろよ、目つきが悪いから将来殺人鬼だな。とか、豚や牛を捌く仕事がお前にはちょうどいいんじゃん?とか、、」
「うっ、、」
血溜まりができるほどに時が経つ。
ああ、俺の青春って、よしきをいじめることだったのか、、。よしきの青春を、殺人鬼に育てる時間に使っていたのか、、。
苦しい。苦しい。声も出ない。
もし未来が見えるのなら、、と後悔したが、遅かった。
「よ、しき。。。」
「もしも未来が見えたならな。」
『無色の世界』
日々を彩るのは一体なんなんだろう。
メシを食い、作業をこなし、またメシを食う。
だるいなあと内心思いつつ、また振り分けられた作業を終業時間までする。
そんな毎日をひたすら、ただひたすらに続ける。
冷たい空気も温かい空気もない。
そこにあるのはただのコンクリートの壁一面。
たまに友人と会い、少々会話を弾ませ、また会いに来るよと友人が消え去る。その時だけ、たった少しだけど、人の温もりを感じて、でも、それでも俺の世界は無色。ただひたすら無色なんだ。
深海に潜ったみたいに目が開かない。
山の最高峰へ来たような息苦しさ。
ここへ来て8年と23日。
いつ俺の人生が彩られるかなんて考える時間もなく、何もない、無色に彩られた部屋で夜メシまで時間を潰す。
金があれば美味いものが食える。
金ばあればだがな。
俺は夜メシを食うとすぐ寝る。
6時20分には起こされるからだ。
たいして毎日体を動かしているわけではないが、ただひたすら、早く眠るんだ。
ただそんな日々を送る。
今日が月曜日とか、明日は火曜日とか知らない。
今何時かなんて、この部屋にいる時はわかるわけないし、気がつくと朝がやってくる。
8年と24日目がきた。
今朝の天気は妙に輝いて見えた。
だが、それが終了の合図だと、悟った。
「出房だ」
見慣れた顔の聞き慣れた声に、周りの皆が言われる言葉をあれはついに今日言われた。
この言葉を聞くと皆涙を流したり、叫んだり、嘘だ嘘だと見慣れた顔の聞き慣れた声のあいつに問うんだ。
8年。24日。それは俺にとって短いもので、早いものだった。俺は見慣れた顔の聞き慣れた声のやつは淡々と説明していく。それは、俺が死ぬことを指す説明だ。
聞いたところで結末は死ぬことで、流し聞きをした。
最後の晩餐。何を食べたいか聞かれた。
正直なんでも良かった。なんなら食べなくても良かった。だが、聞かれたことにはやはり答えないといけない。俺は見慣れた顔の聞き慣れた声のやつにきいた。
「多くの奴が食べたがるのはなんですか?」
「最近だとステーキだな。」
「そうなんですね、、」
沈黙が続く。
俺決め、口を開いた。
「ごま塩ごはんで。」
俺の8年と24日はいつまでも無色だった。
最後に食べるメシは、白と黒。
無色の世界に彩られなものは必要なくて。
それは俺のせめてでもの償いだった。
「じゃあ、ごま塩ご飯を食べた後、また声かけるからな。」
そこからは時がゆっくりで、いつだいつだと最後の景色を見渡した。そして、なかなか呼ばれないから、眠りにつこうとした。そんな瞬間だ。奴が来た。そして俺は察した。最後の眠りは今日の朝で終わりなのだ。
もう2度と眠気で眠りにつくことはないのだ。
「いくぞ」
連れられる部屋に文句も思い出話もしない。
「じゃあな。」
立たされたとこに、俺はもう死ぬんだな。と目を瞑った。
無彩色の世界。